カリキュラム・ポリシー

カリキュラム編成の方針

本学の教育到達目標として卒業時の医学生に求められる幅広い能力を掲げていますが、これらは診療や社会活動等で必要とされた時に統合して適切に発揮されることが期待されます。医師としての責任感、地域医療や研究への関心、学習への責任は、学生自身が自覚し、身についた習慣として行動することに意義があります。一方で、学生は多様な個性を持ち、関心を持つ領域も学習の進み方も一人一人異なります。多様な学生の個性を尊重しつつ全員が卒業時に教育到達目標に掲げた能力を修得するためには、様々な経験を入学当初から卒業まで繰り返し積み重ねて学ぶ必要があります。

教育到達目標を卒業時に達成するカリキュラムを作成するにあたり、変更の主旨として、アウトカム基盤型教育の推進とカリキュラムの特色を説明しています。後に作成した、カリキュラム・ポリシーの根拠にもなっています。

医学科教育の変更の主旨(2009年)

鹿児島大学医学部は、教育の重点化を重要な柱のひとつとして掲げる。カリキュラムと教育に関連する規則、運営、評価を改善し、教員、学生、医療専門職および地域関係者が一体となって教育を推進する。
現在の統合型カリキュラムをさらに発展させ、優れた問題解決能力を有した臨床医および医学研究者の育成をはかることを目標とする。特に、鹿児島の医療圏の特徴を生かし、地域医療を教育の様々な段階で取り入れた教育プログラムを構築する。
学生は患者とのふれあいや様々な医療現場での体験と臨床実習を通して患者と医療制度を理解し、医師に求められている人間性や責任感を自覚し、良医になるための明確な目標を掲げて学ぶ。医療者の一員として行動し、実践的応用力とプロフェッショナリズムを修得する。また、臨床医、研究者を問わず必要である論理的な思考に基づく問題解決能力、課題探究心を育むべく研究体験も取り入れる。このような6年間一貫教育により患者・社会から必要とされる医師、医学研究者の育成を行う。
教育到達目標に則した教育方法と自己主導型学習を取り入れ、学生は課題の発見、情報の収集、知識の応用と科学的な思考による問題解決を学び、6年終了時には、全ての学生が到達目標を学習成果として修得することをめざす。
これらの教育により、卒業時に学生は医師としての誇りと責任感、学習に根ざした自信と新たな目標を持って研修を開始できることを期待するものである。

  1. 優れた問題解決能力を有した臨床医および医学研究者の育成をはかるために、統合型カリキュラムによる段階的、一貫教育を行います。期待されたアウトカムである教育到達目標を卒業時に修得しているために、段階的に学習を進め、統合的能力の育成を行う教育課程です。
  2. 鹿児島の医療圏の特徴を生かし、地域医療を教育の様々な段階で取り入れた教育プログラムで学習します。大学病院での高度先進医療から離島へき地を含む地域医療までを含む医療圏を学習のフィールドとします。地域の医療現場で患者・社会の多様性を理解し、社会のニーズに応える医療を学ぶコミュニティ基盤型教育は、国際的には大変重要視されている医学教育です。
  3. 講義、実習に加え、入学時より少人数での統合型学習、自己主導型学習により、学生は課題の発見、情報の収集、知識の応用と科学的な思考による問題解決を学びます。生涯学び続ける医師の基盤として、主体的、能動的に学ぶ技能と態度・習慣を修得します。
  4. 学生は患者とのふれあい、シミュレーションを用いた臨床技能の実習、附属病院、離島を含む様々な医療現場での体験、医療者の一員として行動する臨床実習を通して、実践的応用力と医師に求められている人間性や責任感を修得します。理論の学習、体験、振り返り、討議により、診療・コミュニケーション・対人関係を学びます。1年の早期より継続的に患者様、医師・医療者と触れ合い、医療現場での実習を行って、医師としての役割を認識します。
  5. 臨床医、研究者を問わず必要である論理的な思考に基づく問題解決能力、課題 探究心を育むべく研究体験も行います。全員が研究室での自主的な研究活動を体験し、研究・開発の重要性を理解し、科学的思考を修得します。
  6. 各段階で学習成果を評価して学習を支援し、実技試験を含む総合的評価を行います。個々の学生の学習を支援し、卒業時の学生の能力を保証するための教育到達目標達成度の評価を独自に開発し、実施しています。
鹿児島大学
鹿児島大学医学部
鹿児島大学病院
附属施設等