大会長あいさつ

限られた看護資源の活かし方

 ここ30余年の看護情報の発展は目を見張るものがある。複雑な交代制勤務をコンピュータで解く試みに端を発した看護情報システムは、今や電子カルテシステムの中核を成すシステムの一つに成長した。チーム医療を支える電子カルテ機能により、PDCAサイクルである看護過程を基本としながらも、看護目標から患者目標へ、看護記録から患者記録へと、チーム医療の実践に即した変貌を遂げつつある。この変化は、コンピュータ・サイエンスやネットワークの発展という大きなエネルギーを得て、あたかも看護界の産業革命とも言えよう。伝票と手書きで処理していた看護業務が電子化され、迅速・確実に処理されるようになり、効率化・合理化が達成された。また、患者誤認防止や指示の正確な伝達がシステム化され、医療安全上の運用において、看護職員は大事な役割を果たすようになった。さらに最近では、Bigdataの解析という言葉を良く耳にするようになった。看護界においても、蓄積された膨大な看護情報の二次利用が、今後の大きな課題として受け止められるようになった。

 

 一方、少子高齢社会の急速な進展と限られた医療資源の有効活用という点から、地域包括ケアシステムの構築が、わが国の喫緊の課題となっている。地域における医療機関の機能分化・連携と強化が、これから急速に進められる。可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるようにという取り組みは、超高齢社会を迎えたわが国にとって、cureからcareへのパラダイムシフトを意味している。このような時代にあって、看護職に求められる役割や機能は、ますます多様化の一途をたどることであろう。

 

 私達は、人々の健康と生活を守ることを使命としている看護に従事できる喜びと、その責務の重さを実感しながら日々の実践を重ねている。これから社会が看護職に求めるニーズに応えていくためには、アセスメント能力を高め、ICTというエネルギーを効果的に用いて、時代を大きく変えていく必要がある。そのような気持ちを込めて、第18回日本医療情報学会看護学術大会は、明治維新ゆかりの地である鹿児島において、「限られた看護資源の活かし方」というテーマで開催させていただくことにした。雄大な桜島と錦江湾を眼下に、明治の偉人たちが感じたであろうパワーとエネルギーを是非充填していっていただきたい。本会が、限られた看護資源の活かし方について、マイルストーン並びにロードマップを見据える良い機会となることを切に願っている。皆様のご参加を心からお待ち致しております。

 

第18回日本医療情報学会看護学術大会
大会長 宇都 由美子(鹿児島大学)

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