先輩の声


西村 賢人(2020年度入局)

 2020年度神経科精神科へ入局した西村賢人と申します。現在大学病院で後期研修医として働いています。
私は鹿児島出身ですが、他県の大学へ進学し、初期研修も含め8年間県外で生活していました。学生時代から一番興味があったのは精神科でしたが、初期研修時代に内科の魅力に触れ、迷っていた時期がありました。
 二者択一の局面に立たされていたそんな時、地元の鹿児島大学の神経科精神科へ見学に行き、神経のスペシャリストとして内科的アプローチを持ちつつ、精神のスペシャリストとして人との対話を重要視するスタンスを目の当たりにして、是非この科に入りたいと思いました。
 入局後も、他大学出身ながら優しく受け入れていただき、熱心に指導してもらっています。医局では上下の垣根なく、笑い話もあり、真面目な相談もあり、とても雰囲気がいいです。居心地のいい医局を是非一度見に来てもらいたいです。
 精神科は特殊にみられることも多いと思いますが、それは患者さんの精神状態を客観的に評価しようと試みる点にあります。職人的な技術を要し、通常の検体検査や画像検査などでは割り切れない難しさもありますが、他にはない精神科の魅力です。先輩の先生方を見て、自分で実践して身に着け行く、天井知らずに磨ける技術だと感じています。 それに加え、鹿大では生物学的なアプローチにも盛んに取り組んでおり、全国的にみても高度な臨床推論が展開されていると思います。
 福祉サービスの利用など、退院後の患者さんの生活を考えていくことも大きな魅力の一つです。病院の外での患者さんのQOLに寄与できるのはやりがいです。
 精神医学は医学の中にありますが、実態は曖昧模糊とした人の社会で生じたひずみを扱うことになります。そのためには医学だけでは太刀打ちできません。
 映画や文学、ゲームや音楽、スポーツや政治経済といった様々な興味が人を知る手掛かりとなりえます。皆さんの興味が武器となりえる神経科精神科へ足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。


下島 里音 (2020年度入局)

精神科医を志した理由

 学生時代、公衆衛生学の授業で「我が国に関して算出された障害調整生命年(Disability Adjusted Life Years, DALY)によると、疾患区分の中で精神神経疾患が最も高く、疾患別においてもワースト20のうち5つが精神疾患となっており、精神疾患が人類に与える影響が大きい。」ということを知りました。一方、統計学上は必ず身近に精神疾患を抱える人がいるはずですが、外見上はその人が精神疾患で苦しんでいることを理解してあげられない場合があり、精神症状の悩みを抱えながらも周囲の人々に相談できず苦しんでいる患者さんも多いのではないかと考えました。そこに医師としてのやりがいや幅の広さを感じ精神科医を志しました。

入局の理由

 令和元年6月に新潟で開催されました精神神経学会での私の発表に偶然中村教授がきてくださいました。発表後に今後につながるアドバイスを頂き、自身の中で大変充実した学会となりました。出身大学に残り将来的に鹿児島に戻る予定でしたが、鹿児島大学神経科精神科教室では刺激になることが多く、医局の先生方から多くのことを学べるのではないかと考え入局いたしました。

入局してみて

 精神療法や薬物療法はもちろんですが、「この患者さんの精神症状の原因が何であるか。現状で実施できる検査で原因を追究し、患者さんを救うことができるのではないか」と器質的要因から生じる病態についても丁寧に精査し、カンファレンスを通してそのことについて協議するなど、臨床と研究をバランスよく学べる教室だと思いました。入局したばかりといったこともあり、先生方から多くのことを学ぶため毎晩へろへろになってますが、、、(笑)。しかし、疑問に思ったことやわからないことはいつでもどの先生にも(もちろん中村教授へも)気兼ねなく相談できるので、恵まれた環境にあると思います。


古江 ナオミ(2020年度入局)
 私は2018年に鹿児島大学を卒業し、鹿児島大学病院で臨床研修を終えて、今年鹿児島大学の神経科精神科に入局しました。精神科に入局した理由はいくつかありますが、決め手となったのは、児童精神医学を学びたいと思ったことです。学生時代にボランティア活動で発達障害のある子供たちと関わる機会があり、小児に携わる仕事をしたいという気持ちがあり、研修医2年目で精神科を研修した際に、精神科医として小児の診療ができることが分かり、精神医療に興味を持ちました。
 また、患者さんと時間をかけて向き合い、病気が寛解した後も、患者さんだけでなくご家族もサポートしていくという面にもやりがいを感じられると思いました。治療効果を認める疾患も多く、患者さんが笑顔で退院していく姿を見ることができるのも魅力だと思います。
 精神科では、気分障害や統合失調症、認知症、てんかん、神経疾患、発達障害、摂食障害など様々な疾患があります。また、器質的異常により精神症状が出現することがあり、勉強することは幅広く、学問としても興味深いと感じます。小児や高齢者まで幅広い年齢層に接することができるのも魅力的です。
 入局して2ヶ月がたち、治療がうまくいかずに悩むこともありますが、同期や先輩の先生方に親身に相談に乗っていただき、良い環境で仕事ができていることにとても感謝しています。私は地域枠生なので、身体疾患も診ることができる外勤先に行かせていただき、総合診療の知識も学ぶことができています。患者さんと深い関わりができる精神科の仕事にとてもやりがいを感じています。
 将来的には、専門医と指定医を取得した後に、児童精神医学を勉強したいと考えています。専門の診療科を決めるのはとても迷うと思いますが、ぜひ研修や見学で鹿児島大学の精神科に来ていただけたらと思います。進路を決めるヒントが見つかるかもしれません。少しでも興味があれば、大歓迎です。
 皆さんと一緒に働けるのを楽しみにしています。


石塚 貴周 (2007年度入局)
 私が精神科への入局を決めたのは、2年間の卒後臨床研修が終了する直前でした。幾つかの科で迷っていた私が精神科を選ぶ決め手となったのが、当科を研修した際に、「精神科におけるエビデンスに基づく医療」を学んだことでした。振り返ってみると、その頃の自分にとっての精神科のイメージは、いわゆる「精神療法」であり、現代的な医療とはやや異なったものに感じていたのかもしれません。精神科は「心」を扱う科ですが、「心」と体は密接な関係があり、病気の背景には脳や身体、そして遺伝子までもが関係しています。「精神科医」はそれらを総合的に考慮し「医療」を行わなくてはならず、「精神科は人を診る科である」ことを当時の教授である佐野輝先生やグループ長であった中村雅之先生に教わり、精神科の見方が変わったのを覚えています。また、精神科疾患は、他科の疾患に比べてその原因や根本的な治療法などが解明されていないものが多く、そこに科学的な興味を持ったというのも精神科を選んだ理由の一つでした。
 私は2007年に入局し、今年で入局14年目になり、精神保健指定医、日本精神神経学会専門医に加えて日本老年精神医学会専門医も取得しました。精神科は、統合失調症やうつ病などから発達障害、てんかん、認知症に至るまで幅広い疾患を担当しています。当科では精神科医として様々な疾患に対応できるよう、直接的な上司であるグループ長を中心に指導してもらえますが、専門医を取得した後は、興味を持った分野を掘り下げることもサポートしてもらえます。私は大学院の研究テーマが認知症だったことが縁で、認知症をサブスペシャリティとし、現在はもの忘れ専門外来なども担当させていただいています。
 精神科は直接的に生死に関わる病気は少ないですが、その反面、社会生活に大きな影響を及ぼし、その人の人生を左右するものが多く、精神科医にはただ単に病気を治すだけではない重要な責任があると思っています。それは、精神科医としての苦悩でもありますが、大きなやりがいでもあると思います。また、患者さんの治療にとどまらず、患者さんから多くのことを学び、自分自身も成長させられる、そんな科でもあると実感しています。
 医局の雰囲気は明るく、和気藹々としており、先輩・後輩の仲もよく、中村教授を中心に相談しやすい職場だと思います。信頼できる先輩方に出会えたことで今の自分があると思っているので、自分自身もそのような先輩になれるよう努めています。
 また、季節ごとの行事を大切にしている医局でもあり、花見や医局旅行、ビアガーデンでの暑気払いなど、医局員同士やコメディカルスタッフなどが楽しく交流出来る場をもうけ、チームの結束を強めています。看護師など病棟の仲が良いことも自慢の一つであり、若い先生方にとって、とても働きやすい環境だと思います。
 精神科は患者さんと話すことが基本ではありますが、患者さんと向き合い、そしてこころに寄り添うことが最も大切であり、喋りが得意でなくてもその気持ちがあれば大歓迎です。古い言い方になるかもしれませんが、立派な精神科医になるには「修行」が必要だと思います。その「修行」をどこで最初に行うかは非常に重要な選択であり、当科ではすばらしい環境が整っていると実感しています。興味を持っていただけたら是非ご相談ください。


﨑元 仁志(2011年度入局)
「世の中には体は生きているが、心が死んでいる者がいる。反対に、体が滅んでも魂が残っている者もいる。心が死んでしまえば生きていても、仕方がない。魂が残っていれば、たとえ体が滅んでも意味がある」
吉田松陰の言葉です。私は、人の死はどこからなのかということに対して、心が死んでしまっては意味が無いということから精神科医を志しました。
 私は他大学を卒業後、他の病院で初期研修を行い、2年間は同大学の卒後臨床研修プログラムで研修を行い、鹿児島大学の精神科へ入局をするのか、そのまま同大学の精神科に入局するのかを悩み、平成23年に鹿児島大学の神経科精神科に入局を決めました。理由としては、鹿児島大学神経科精神科は全て医師が気分障害圏、精神病圏、認知症、てんかん、児童思春期など幅広い分野で診療を行っており、指導医も多いからです。2011年度に入局後、1年間医員として学ばせていただいた後に、「遺伝ってなんだろう、すごいよね」といった簡単な理由から翌年に大学院へ入学し、有棘赤血球舞踏病モデルマウスの行動実験をテーマに学位を取得致しました。その後は日本精神神経学会専門医や精神保健指定医、日本老年精神医学会専門医を取得し、現在は大学病院で診療や後輩指導をするかたわら、種子島にあるせいざん病院の認知症疾患医療センターで診療をしております。種子島の医療は老々介護が多く、患者様の問題点としてよくあがります。家族内に精神病を有する方がいると、家族も問題を抱えやすくなり、特に患者と生活を共にする場合は、患者の障害が大きければ大きいほど療養上の世話や日常の世話などで家族の負担は大きくなると言われており、家族ごと抱えることも多いです1)。精神科医は病気の症状だけではなく社会面、経済面、心理面などを幅広くとらえ、全人的な医療をする必要
があります。様々な角度から患者さんを診たいという方はぜひ精神科を考えてみてください。
 非常に気さくな医師が多い医局です。気になる方はぜひ声をかけてください。
1)大島ら精神神経学 雑誌,96(7),493-512,194.


齊之平 一隆(2015年入局)
 鹿児島大学精神科医局盛り上げ(飲み会)部長の齊之平と申します。
 私は鹿児島大学ではなく他大学出身ですが、大学6年時に鹿児島大学精神科医局を見学させてもらい、とてもアットホームな医局の雰囲気に魅了され、初期臨床研修でも4ヶ月研修をしました。
 精神科医療は難しく、取っ付き難いイメージですが、中村教授を始め、上級医の先生から分かりやすくご指導を頂き、また、特定の疾患に特化せず、広い範囲の疾患を学ぶことができました。当医局では精神科医療の基礎を学びつつ、希少な症例も経験することができ、almightyな精神科医を目指すことができると思います。元々精神科志望でしたが、幅広い疾患を経験できることから、入局を決めました。
 精神科専門医や精神保健指定医取得にも力を入れています。私も最短(入局後4年目)で精神科専門医、精神保健指定医を取得させて頂きました。また、鹿児島県は精神科病院が多く、関連病院での経験も充実しています。私は、鹿児島県立姶良病院で精神科救急や医療観察法病棟等を経験させていただきました。
 精神医療といっても様々な選択肢があり、選択分野が多い点も鹿児島大学精神科の特徴だと思います。
 一文目に「盛り上げ部長」と書きましたが、医局の先生方みなさんが雰囲気作りにも一生懸命取り組み、本当に笑顔が絶えない医局です。是非、見学に来ていただき雰囲気を味わってください!


新井 薫(2014年入局)
 外部リンク:日本精神神経学会『精神科医のキャリアパス』