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モヤモヤ病Q&A

先日、7歳になる娘が、大声で泣いた後に左手足がしびれると言いだしたので、近所の小児科医に行きました。
病院についた時にはしびれはとれていましたが、小児科の先生から、これまで同じような事がなかったか聞かれました。

実は、3ヶ月前にも同じようなことがありました。
また、ラーメンをフーフーとさまして食べた時に手がしびれると言ったこともあります。
そういう話しをしたら、小児科の先生は「モヤモヤ病の可能性がありますから脳外科を紹介します」と言われました。
はじめて聞く病名でびっくりしました。


モヤモヤ病って何ですか?

私たちの頭には、左右の大脳の大部分に血液を送る内頚動脈と、小脳、脳幹また大脳の後方部分に血液を送る椎骨−脳底動脈と呼ばれる血管があります。
モヤモヤ病は、内頚動脈が頭の中に入った直後に、左右ともに狭くなったり、詰まったりする病気で次第に進行していきます。時間とともに脳を流れる血液が不足するため、なんとか血流を保とうとして、脳の底部にある毛細血管がふくれて、異常な血管網を作ります。
脳の血管撮影では、これらの毛細血管網が、タバコの煙のようにモヤモヤとして見えるので、モヤモヤ病と名付けられています。


この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?

この病気はアジア系の人々に多く、欧米に比較すると約10倍くらいの頻度で認められます。2003年の調査では日本全体で患者数が7700名くらいと推計されています。


診断をつけるためにどんな検査が必要ですか?

まずは、体に影響の少ないCTスキャンやMRI検査を行います。
モヤモヤ病では、CTスキャンやMRIでは大脳に脳梗塞のあとが見つかることがあります。また良く、みると脳底部のモヤモヤ血管がブツブツとした多数の点として見えます。また、MRIで脳の血管を写す方法(MRA)では内頚動脈が頭の中に入ったあとで狭くなったり、つまっているのがみつかります。
なお、手術を前提とした検査としては脳血管撮影(DSA)が行われます。


図1 モヤモヤ病患者のMRI。
脳底部のモヤモヤ血管がブツブツとした多数の点として認められます(サークルの中)。

脳底部のモヤモヤ血管


図2 モヤモヤ病患者さんのMRA
内頚動脈が頭のなかに入ったところでつまっています(矢印)。

モヤモヤ病患者さんのMRA


図3 別のモヤモヤ病患者さんのMRAです。
両側の内頚動脈の閉塞(矢印)とモヤモヤ血管(矢頭)が認められます。

両側の内頚動脈の閉塞とモヤモヤ血管


図4 モヤモヤ病患者の脳血管撮影(DSA)。
内頚動脈の閉塞と脳底部モヤモヤ血管(サークル内)が認められます。

内頚動脈の閉塞と脳底部モヤモヤ血管


この病気はどのような人に多いのですか?

この病気は女性が多く、男女比は1 : 1.8です。
患者さんが最初に病院にかかるのは5歳前後の小児期と、35歳前後の成人期が多いです。最近は成人例が増加し、また無症状で見つかる例が増えています。


この病気の原因はわかっているのですか?

原因としては体の免疫の異常や血管の炎症などが考えられてきましたが、未だ確定していません。一部で遺伝子の問題も指摘されています。
約10%の患者さんでは、その御家族に同じようにモヤモヤ病が見られることがあると言われています。原因については、現在も研究が進められています。


この病気ではどのような症状がおきますか?

脳に必要な血流が保たれなくなったときに症状を出す脳虚血型と、脳出血をおこす出血型の二つがあります。また少数ですが、痙攣発作が主症状のてんかん型も在ります。

脳虚血型吹奏楽器を吹く、熱い物を吹きさましながら食べる、大泣きすることなどの深呼吸や過呼吸によって、脳の血流がさらに低下し、結果として手足の脱力、言語障害、意識障害などを起こすものです。この症状は数分で治まる場合が多いのですが(一過性脳虚血発作)、ひどい場合は症状が残ります(脳梗塞)。

脳出血型は小児では稀ですが、成人になってこの病気が見つかった人の半数が脳出血で発症しています。正常血管に比べてもろいモヤモヤ血管の破裂が原因です。症状は脳出血の部位や程度により様々ですが、麻痺などの後遺症を残したり、重篤な場合は命に関わることもあります。

また現時点で無症状の方(無症候性モヤモヤ病)でも、年間2〜3%の可能性で脳卒中を生じることが分かっており注意が必要です。


図5 脳出血(矢印)で発症した成人のモヤモヤ病。

脳出血で発症した成人のモヤモヤ病


この病気はどういう経過をたどるのですか?

脳虚血型では虚血発作が反復するにつれ麻痺や知能障害が増悪していく例が見られ、小児例では発見時にすでに重度の脳障害をしめしているケースもあります。
成人に多い脳出血で発症するタイプでも繰り返す出血によって重い後遺症を残す場合があります。出血で発症した例が、再び出血するおそれは20〜40%です。


この病気にはどのような治療法がありますか?

内科的治療としては脳虚血型やてんかん型モヤモヤ病に対して脳血流改善剤や抗てんかん剤がそれぞれ投与されます。
外科的治療としては小児の脳虚血型に対する脳血流バイパス術(吻合術)が有効です。脳血流バイパス術は外頚動脈から分かれて本来は頭皮や側頭部の筋肉に流れ込む動脈(浅側頭動脈)を脳の中の血管につなぐ手術です。受け手である脳の中の血管が細すぎてバイパス手術が出来ない場合は筋肉の一部を脳の表面に設置する方法もあります。
成人でも脳の虚血症状が頻回に起こる方には、脳の血流状態を評価した上で、血管吻合術をおこなうことがあります。


図6 モヤモヤ病の脳血管バイパス手術

モヤモヤ病の脳血管バイパス手術


脳血流バイパス術にはどんな利点がありますか?

手術後半年もするとバイパス血管から充分な血流が脳に流れ込むようになるため、それまで起こしていた脳虚血発作は減り、時には全く起こさなくなります。また、バイパス血管によって脳の血流が回復するため、モヤモヤ血管が減少して、脳出血の危険性が減少する可能性があります。


図7 脳血管バイパス術後の外頚動脈撮影(DSA)。
元来は頭皮に向かう血管から多数の細い枝が分かれて、脳を潤しているのがわかります。

脳血管バイパス術後の外頸動脈撮影(DSA)


モヤモヤ病が疑われたら、どの科を受診したら良いですか?

この病気は、脳神経外科医のうち、特に脳卒中を専門にしている医師が担当しています。脳外科専門医であり、同時に脳卒中専門医の資格を持っている先生に相談すれば安心ですね。


日常生活で気をつけることがありますか?

この病気の脳は血流が不足しがちで、容易に脳梗塞になりがちです。高度の脱水状態になると血が固まりやすくなりますのでスポーツをする際に適度の水分補給は必須です。大人で好ましくないのは、たばこです。たばこの成分は脳の血管を収縮させますので、全くよいことがありません。
脳血管バイパス手術が終わり、十分脳血流が改善した場合、生活上の大きな制限はありません。子どもの場合、長期間にわたって学校の体育や音楽を禁止するのは将来を考えてもあまりよくないことです。治療後はほとんどの場合、体育やリコーダーなども徐々に始めてもらいます。多くの例で、やがて水泳や長距離走も可能となります。


モヤモヤ病に対して、公的な援助は受けられるのでしょうか?

モヤモヤ病は厚生労働省の特定疾患に指定されています。特定疾患に指定されているのは疾患には、治療費に公費が支出されます。
モヤモヤ病と診断されたら、地域の保健所で届け出の用紙を受け取り、診断された病院でその用紙に記入してもらいます。診断の根拠となったMRAまたは血管造影写真とその書類を保健所に提出し、都道府県の審査で認定されると、補助が受けられます。この調査の期限は1年間なので、1年ごとに更新手続きが必要です。


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