| ●髄膜腫 | ||||||||||||||||||||||||||||||
現在の日本で最も多い脳腫瘍は髄膜腫です.中年以降の女性に多く,女性は男性の1.5〜2倍の頻度になります.髄膜( meninges)と呼ばれる脳を包んでいる膜から発生するのでHarvey
Cushingが髄膜腫 ( meningioma)と名付けたそうです.髄膜とは,硬膜,クモ膜,軟膜の3種類の膜のことです.硬膜は頭蓋骨を裏打ちしている硬い膜です.クモ膜は,クモ膜下出血と言う言葉に出てくるクモ膜で,この膜の下にクモ膜下腔という脳脊髄液を貯めた空間があります.軟膜は脳の表面と一体化した弱い膜です.髄膜腫は硬膜に付着して内側に向かって発育することが多いため,硬膜から脳へめり込むように大きくなります.できやすい場所はありますが,脳を包んでいる硬膜のどこからでも発生します.希に,視神経(視神経を包む膜は硬膜の延長)や松果体部分(クモ膜がある)に発生することもあります.頭痛や頭部外傷の検査でたまたま見つかる場合もありますが,腫瘍ができた場所により,麻痺や痙攀,視力障害,嗅覚障害,聴力障害など多彩な症状を呈します.腫瘍は一つだけのことが多いのですが,2つあるいはそれ以上の多発性の事もあります.
一般的には良性で,髄膜から発生しているため,脳との境界ははっきりしています.上のMRI写真のように弓隆部(脳の丸くふくらんだ外側)にあり,あまり大きくない場合は,問題なく摘出できます.しかし,腫瘍が静脈洞(脳を灌流した後の静脈血が集まる,硬膜に包まれた大きな血管)を取り込んだり,頭蓋底(脳の下,脳が載っている面)の硬膜から発生し重要な神経や血管を巻き込んでいる場合,全摘出は難しくなります.髄膜腫は血流の多い腫瘍で,特に大きな腫瘍では手術に際して出血が多くなります.そのため前もって血管内塞栓術を行い,腫瘍に行く血液の流れを止める操作を行う場合があります.
髄膜腫は脳の硬膜ならどこにでも出来ますが、特に発生しやすい場所があり、それぞれの部位で現れる症状に特徴があります。ただ、どの場所に出来た髄膜腫でも治療の主役は手術で、脳や神経の機能を損なうことなく全摘出することが必要です。 1.円蓋部髄膜腫は大脳の表面に出来ます。 左手の麻痺を呈した髄膜腫
右足の麻痺を呈した髄膜腫
視野欠損を呈した髄膜腫
4. 嗅窩髄膜腫 嗅覚低下を呈した髄膜腫
5. 小脳橋角部髄膜腫 左聴力低下を呈した髄膜腫
6. 大孔部髄膜腫 後頭部痛と飲み込みの難しさを示した大孔部髄膜腫
7. 小脳天幕-大脳鎌移行部髄膜腫 頭痛、認知症状、歩行障害を呈した小脳天幕-大脳鎌移行部髄膜腫
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