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プロラクチノーマの治療 QandA

最近、月経不順や不妊症で、産婦人科を受診され、プロラクチノーマと診断され、脳外科を受診される患者さんが増えています。以下にプロラクチノーマという病気と治療法についてQandA方式でお話します。

  1. プロラクチンとは何ですか
  2. それではプロラクチノーマとは何ですか
  3. プロラクチンの値が高くなると何が問題ですか
  4. プロラクチンが高い(高プロラクチン血症)とどうして生理や排卵がなくなるのですか
  5. おっぱいが張って、勝手にお乳が出たり、妊娠できないことを除いたら、プロラクチンが高くても心配ないのですか
  6. 乳汁漏出と月経障害・不妊を除いたらどんな症状がありますか
  7. プロラクチノーマって、女の人にだけ出来るんですか
  8. プロラクチノーマの診断はどうするのですか
  9. プロラクチンが高くなるのはプロラクチノーマ(プロラクチン産生下垂体腫瘍)だけですか
  10. 次の診断ステップは?
  11. プロラクチノーマの治療はどうしますか
  12. 薬の副作用はどうですか
  13. 薬は毎日飲むのでしょうか
  14. 薬はみんなに効きますか
  15. プロラクチノーマに対する手術とはどんなものですか
  16. 手術時間や体への負担はどうですか
  17. 手術の成功率はどのくらいですか
  18. この手術の難しい点は?
  19. 手術の合併症はどうでしょうか
  20. それでは、どのような場合に手術が行われるのでしょうか
  21. 最初から手術を行うこともあるのですか
  22. 手術療法に関するガイドラインはありますか
  23. このなかでいわれている経験豊かなというのはどのくらいの経験のことでしょうか
  24. 手術後の再発の可能性はどうですか
  25. その他に、手術を行う場合がありますか
  26. 一旦、薬物療法をはじめた後、手術を選択することは可能でしょうか

プロラクチンとは何ですか

ヒトの大脳の下にある脳下垂体(図1)はたくさんのホルンモンを作る大切な器官です(図2)。子供が成長するのに必要な成長ホルンモンも、この脳下垂体で作られます。プロラクチンも脳下垂体ホルモンの一つで、妊娠の末期にはたくさん作られ、乳腺の発育を促し、赤ちゃんの誕生に備えます。また、赤ちゃんに授乳している期間も、プロラクチンはたくさん作られます。プロラクチンがたくさん作られている間は、生理が止まり、次の赤ちゃんが出来にくくなっています。
こうして、お母さんは生まれたばかりのこどもにたっぷりのお乳をあげることが出来、その子の育児に専念することが出来るのです。

脳下垂体がある場所脳下垂体から分泌されるホルモン

それではプロラクチノーマとは何ですか

プロラクチノーマは下垂体の中のプロラクチンを作る細胞が増加して、腫瘍になった状態です。プロラクチン産生下垂体腫瘍とも言います。腫瘍からプロラクチンが多量に分泌されるため、妊娠や出産後でもないのに血液の中のプロラクチンの値が異常に高くなります。

プロラクチンの値が高くなると何が問題ですか

出産後でもないのにおっぱいが張り、軽い刺激で勝手にお乳がでます(乳汁漏出[ろうしゅつ]といいます)。生理は不順になったり止まったりして、妊娠は出来ません。ちょうど、赤ちゃんを産んで、授乳している状態と同じになります。

プロラクチンが高い(高プロラクチン血症)とどうして生理や排卵がなくなるのですか

脳の視床下部(ししょうかぶ)というところにはたらいて、性腺刺激ホルモンの分泌を弱めます。また、卵巣にも働いて性ホルモンの分泌を抑えるためです。若い人で無月経になっている患者さんのうち2割は高プロラクチン血症が原因だと言われています。

おっぱいが張って、勝手にお乳が出たり、妊娠できないことを除いたら、プロラクチンが高くても心配ないのですか

脳の視床下部(ししょうかぶ)というところにはたらいて、性腺刺激ホルモンの分泌を弱めます。また、卵巣にも働いて性ホルモンの分泌を抑えるためです。若い人で無月経になっている患者さんのうち2割は高プロラクチン血症が原因だと言われています。

乳汁漏出と月経障害・不妊を除いたらどんな症状がありますか

下垂体の上には視神経が通っています。ですから腫瘍が大きくなると視神経を圧迫する可能性があります。こうなると、視野が欠けたり、視力が下がってきます。

プロラクチノーマによる視野の障害

プロラクチノーマって、女の人にだけ出来るんですか

もちろん男性にも出来ます。男性のプロラクチノーマで血液中のプロラクチンの濃度が高くなると、男の人の場合でも、性腺(睾丸)の機能が低くなりますので、性欲減退やインポテンツになります。しかし、女の人の生理不順のようにはっきりとした症状が出にくいので、発見が遅れ、大きくなって視神経を圧迫するようになって発見されることが多いです。

プロラクチノーマの診断はどうするのですか

採血で、血中プロラクチンの濃度が高いことを確認するところから始まります。どの値以上を高プロラクチン血症とするかは測定法によってことなりますが、一般には25 ng/mL以上を高値とすることが多いです。

プロラクチンが高くなるのはプロラクチノーマ(プロラクチン産生下垂体腫瘍)だけですか

そうではありません。プロラクチノーマ以外の原因で最も多いのは薬の副作用でプロラクチンが上昇することです。プロラクチンを上げる可能性がある薬としては、抗胃潰瘍剤、抗うつ剤、血圧の薬などです。ほかにもいくつかプロラクチンを上げる原因がありますので、高プロラクチンと診断されてもすぐに脳下垂体腫瘍(プロラクチノーマ)を疑うのではなく、薬物の影響など他の原因を考慮しなければなりません。

次の診断ステップは?

高プロラクチン血症の原因が薬の副作用でないことが確認できたら、頭のMRIをとります。3mm以上の大きさの腫瘍であれば、MRIで確実に診断できます。

プロラクチノーマのMRI

プロラクチノーマの治療はどうしますか

一般にカバサールやパーロデルといった薬物療法を行います。服用を続けていれば、大部分の患者さんでプロラクチンの値は正常になり、生理は回復します。また腫瘍自身の体積も小さくなりことが多いです。ただしこれらの薬は、腫瘍からのプロラクチンの分泌を抑えるのが主な働きで、腫瘍細胞を殺す力はありませんので、一般に生理が止まる50歳くらいまで薬を飲み続ける必要性があります。

薬の副作用はどうですか

吐き気や立ちくらみなどがあります。ただし、こうした副作用の多くは、薬を少量ずつから飲み始めることや、就寝前に服用することで軽くすることが可能です。ただし、肝機能障害などの重大な副作用が現れたら、服用を中止しなければなりません。

薬は毎日飲むのでしょうか

パーロデルは毎日飲む必要がありますが、カバサールは週に1,2回の服用で、充分な効果が得られます。

薬はみんなに効きますか

残念ながらプロラクチノーマのうち、1-2割は薬が充分に効きません。その場合は手術療法が選択されます。

プロラクチノーマに対する手術とはどんなものですか

経鼻手術という方法をとります(図参照)。これは顕微鏡や内視鏡を使って片方の鼻の穴から、下垂体を取り囲む骨のくぼみに到達して、腫瘍を下方から摘出する方法です。

経鼻手術写真経鼻手術図

手術時間や体への負担はどうですか

下垂体手術に慣れた脳外科医が行えば、手術時間は2時間以内で、手術後は翌日から歩行も食事も可能です。

手術の成功率はどのくらいですか

比較的小さな腫瘍であれば、一回の手術で腫瘍の大部分を摘出し、プロラクチンを正常化させる可能性は9割くらいです。

この手術の難しい点は?

手術では腫瘍を摘出するだけでなく、下垂体をきれいに残すことが大切です。手術でプロラクチンの値が下がっても、脳下垂体が傷ついてしまっては、生理が回復するチャンスがなくなってしまうからです。

手術の合併症はどうでしょうか

可能性としては、先に挙げた下垂体の障害のほかに、視神経の障害が起こる可能性があります。しかし、経験を積んだ脳外科が行えばこれらの合併症が起こることは極めて稀です。

それでは、どのような場合に手術が行われるのでしょうか

薬が飲み続けられない場合、薬を飲んでもプロラクチンの値が正常にならない場合です。

最初から手術を行うこともあるのですか

経鼻手術写真あります。腫瘍が比較的小さくて、周囲組織にしみこんでいないことがMRIで確認出来た場合、手術によるプロラクチンの正常化の可能性が高く、手術の安全性も高いのです。あくまでも患者さんの希望によりますが、若い患者さんで、今後20年、30年にわたって薬を飲み続けることの負担を考えて最初から手術療法を選択される場合も多いです。
図の患者さんは、27歳ですが、長期の薬物療法の負担を考えて、経鼻手術を選択しました。手術によってプロラクチンの値は正常化し、手術4ヵ月後に妊娠されました。

手術療法に関するガイドラインはありますか

明確なガイドラインではありませんが、以下に厚生労働省科研 間脳下垂体機能障害調査研究班の手による『プロラクチン分泌過剰症の治療の手引き、平成17年度改訂版』から手術法に関する部分を抜粋し引用します。

プロラクチン分泌過剰症の治療の手引き、平成17年度改訂版

このなかでいわれている経験豊かなというのはどのくらいの経験のことでしょうか

具体的には決められてはいませんが、アメリカのたくさんの病院を対象としたアンケート調査の結果ではそれぞれの病院における下垂体手術の経験数が500例を超えれば、手術の安全性は大幅に高くなることが報告されています。

手術後の再発の可能性はどうですか

手術で、一旦プロラクチンの値が正常になった患者のうち長期的に経過観察して、プロラクチンが再び高くなる人は20%くらいです。

その他に、手術を行う場合がありますか

視神経近くまで伸びている比較的大きな腫瘍で、カバサールやパーロデルだけで妊娠した場合、妊娠が判明した段階でこれらの薬物は中止します。このため妊娠中に腫瘍が大きくなり、視神経を圧迫するようになる可能性があります。そういう場合は、あらかじめ手術で視神経への圧迫をとってから薬物療法を行うのが安全でしょう。

一旦、薬物療法をはじめた後、手術を選択することは可能でしょうか

半年以上薬を服用した後は腫瘍が固くなって手術は難しくなります。ただし、腫瘍が小さくて、MRI上、周囲の組織に浸潤がみられない場合は、手術で全摘出することも可能です(図)。もちろん、薬を使用していない場合に比較して手術は格段に難しくなりますので、プロラクチノーマの手術をたくさん経験している脳外科医に相談することが大切です。

薬物療法後のプロラクチノーマ手術

薬物療法によってプロラクチンの正常化が得られなかったプロラクチノーマの手術。 左が手術前、矢印が腫瘍。右が術後。腫瘍は全摘出されている。手術前無月経であったが、手術半年後から規則性月経が回復した。

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