研究・診療実績

進行中の臨床研究・疫学研究

イベントスケジュール

ご自身の手術のDVDを差し上げます。

鹿児島大学病院脳神経外科の最新手術

国際協力と外国人医師の育成

第22回脳腫瘍の外科学会

第126回
日本脳神経外科学会九州支部会

第40回日本脳神経CI学会総会

第17回日本日本術中画像情報学会

脳神経外科お問い合わせ先

視床下部過誤腫

視床下部過誤腫(ししょうかぶ・かごしゅ)とは何ですか

視床下部は脳の中心でその下面にあり、代謝やホルモン分泌、自律神経機能、記憶や感情を左右するきわめて重要な脳組織です。視床下部過誤腫は、視床下部の中、あるいは視床下部に接して発生した灰白質の塊です。灰白質とは元来は大脳の表面などにある神経細胞の豊富な脳組織ですが、視床下部過誤腫は、異常な灰白質のかたまりが、先天的に視床下部に出来てしまったものです。

どんな症状がおこるのでしょうか

代表的な症状は1) てんかん、2) 思春期早発(思春期が通常より早く起こる)、3) 精神発達の遅れ、4) 行動異常(落ち着きがない、怒り発作など)です。

この病気ではどんなてんかんがおこりますか

代表的なものは笑い発作です。特に笑うような場面でもないのに引きつるような笑いが起こります。これがてんかん発作であることは同時に脳波を測定するとてんかん波が出現することによってわかります。この笑い発作の後に体全体をひきつける発作(強直発作)や強直間代発作が起こることもあります。笑い発作は生後直ぐに起こるものから数年後に起こるものまでありますが、多くは生後1年以内に起こります。年長児になると、短時間の意識消失、自動症と呼ばれる異常行動、転倒発作(ドロップ・アタック)なども加わってきます。

知能や心の発育はどうなりますか

視床下部過誤腫の子供では、てんかん発作が強い子供ほど精神発達遅滞(言葉や知能の遅れ)が強くなります。

思春期早発とは何ですか

幼児期や年小期にもかかわらず、思春期の身体の特徴を呈するようになることです。声がわりも起こります。

過誤腫の診断はかんたんですか

MRIで容易に診断が可能です。特に冠状断像や矢状断像(縦切り)を用いれば大部分で診断が可能です (図1)。

視床下部過誤腫(矢印)

視床下部過誤腫は大きくなりますか

なりません. 生まれつきに出来たものですから、10年たっても20年たっても大きくはなりません。

視床下部過誤腫を持った子供は皆同じような症状になりますか

視床下部過誤腫は視床下部への食い込みかたによって2種類のタイプに分けられます。この2種類のタイプ分けは鹿児島大学脳神経外科の有田医師が1999年(広島大学在籍当時)に提唱した分類法ですが現在世界中で用いられています。それぞれのタイプ別で、症状の出方は大きく異なります。

  1. 視床下部内に入り込むタイプ(Intrahypothalamic type)
    このタイプは、全例で笑い発作などのてんかん症状と知能発育障害を起こし、約6割で思春期早発症状を起こします。
  2. 視床下部に接するタイプ(Parahypothalamic type)
    このタイプではてんかん症状や知能発育障害はまれです。約6割で思春期早発症状を呈します。約3割は無症状でみつかります。

この両方のタイプはどのくらいの割合で起こりますか

鹿児島大学脳神経外科の有田医師が経験した26例中では、視床下部内に入り込むタイプ(Intrahypothalamic type)は11例で、視床下部に接するタイプ(Parahypothalamic type)は15例でした。

視床下部内に入り込むタイプ視床下部に接するタイプ

視床下部過誤腫によって起こるてんかんには薬が効きますか?

様々な抗てんかん薬を試しますが、てんかん多少改善しても、発作がなくなることは稀です。

それではどんな治療法があるのでしょうか

てんかん発作は視床下部過誤腫自身の電気的興奮が原因であることがわかって来ていますので、この過誤腫自身の電気的興奮(発作波)を止めることがてんかん発作をコントロールする最良の方法です。
そのためには以下のような手段があります

  1. 過誤腫を手術で摘出する (摘出術)
  2. 手術で過誤腫を周囲の視床下部から切り離す (離断術)
  3. 過誤腫をガンマナイフなどの局所放射線照射で焼く
  4. 過誤腫に電極を挿入して、高周波電流で熱凝固する
  5. 過誤腫と視床下部の間に電極を挿入して、慢性的に高周波電流を流し、てんかん波の広がりを妨害する

それぞれの治療の効果はどうでしょうか

いずれの治療でも発作が完全になくなったり、9割以上減少したりする可能性は5割以上です。ただしどの治療法でも効果が乏しい症例があります。

副作用はどうでしょうか

ガンマナイフは殆ど副作用のない治療法ですが、充分な効果が得られるのは約半数です。高周波熱凝固、過誤腫の摘出術、離断術はガンマナイフに比べれば効果の高い方法ですが、記憶力の障害、体温変化、過食と肥満などの副作用が報告されています。

9歳の男の子 (笑い発作と全身けいれんを繰り返していました)
ガンマナイフ照射後6ヶ月目から全ての発作が消失しました
ガンマナイフ照射前ガンマナイフ照射後18ヶ月
定位的熱凝固療法の治療計画図

治療はいつ始めるのが良いでしょうか

笑い発作が出ているのであれば、やがて知的な障害が起こってきますから、少しでも早く治療を始める必要があります。薬物治療を半年行って効果がなければ、ガンマナイフや手術療治療を行わなければなりません。

薬が効かない場合、どの治療法を選べば良いのでしょうか

鹿児島大学脳神経外科では、まず安全性の高いガンマナイフ治療をお勧めしています。効果がなければ、高周波熱凝固を選択します。それでも効果がなければ過誤腫の摘出術などより難しい治療に進みます。

具体的には誰に相談したら良いでしょうか

てんかんを専門とする脳外科医に相談してください。特に、視床下部過誤腫の治療経験がある脳外科医が良いでしょう。

思春期早発症の方の治療はどうでしょうか

視床下部過誤腫による思春期早発症はLHRH(黄体形成ホルモン放出ホルモン)の注射剤を月に1回投与することによって改善します。詳しくは内分泌を専門とする小児科の先生に御相談下さい。

このページのトップへ