鹿児島大学医学部産科婦人科学教室

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子宮動脈塞栓術(UAE uterine artery embolization)

子宮動脈塞栓術ってなに?

 子宮を栄養する血管(子宮動脈)を一時的に詰まらせることによって、子宮からの出血を止めるために従来から用いられてきた方法です。
 最近では、この方法で子宮腫瘍(子宮筋腫や子宮腺筋症)を縮小させ、症状を改善できることがわかってきました。
 お腹を開ける(開腹手術)ことなく、症状改善が望める点で注目されてきた新しい治療法です。

方法

足の付け根の部分より血管(大腿動脈)を穿刺し、血管内へ細いカテ−テルと呼ばれるチュ−ブを挿入します。
 まず、カテ−テルの先端を腹部大動脈分岐部付近にまで挿入し、X線で見えるように造影剤と呼ばれるものを注射し、血管を確認(骨盤動脈造影)します。
 次に、選択的に子宮に血液を送っている子宮動脈の中にカテ−テルを挿入します。そして、ゼラチンスポンジという塞栓物質と呼ばれるものを注入します。ゼラチンスポンジはおおよそ1ヶ月で吸収され、体内より消失します。この塞栓物質を左右両側に注入します。

適応

1.子宮筋腫→子宮筋腫ってなに?
注1) すべての子宮筋腫が適応となるわけではありません。
注2) 筋腫のある場所、大きさなどで適応にならない場合もあります。
(例えば、筋腫が変性を起こした後、腹腔内へ落ちて感染を起こす可能性があるため子宮の外側へ発育する漿膜下筋腫は除きます。)
注3) 現在、子宮内膜への影響について、はっきりした見解が得られていないため、将来妊娠を希望される方の適応は慎重を要します。十分な話し合いを行ったうえで実施するかどうかを決めます。(妊娠は、子宮内膜に受精卵がくっつくことによって成り立ちます)
注4) 以前から、子宮筋腫に対する治療としては手術療法(子宮摘出術、筋腫核出術など)、薬物療法などがありますが、子宮動脈塞栓術はわりと最近の治療法になります。

2.分娩後大量出血
3.子宮頚部癌の大量出血

合併症・副作用

1.痛み

 塞栓術を実施した当日から翌日にかけての痛みがもっとも問題になります。
 血流が止まることによって起こるといわれています。個人差がありますが、適宜、痛み止めを用います。

2.発熱、全身倦怠感、食欲不振

 塞栓術後、2〜3日の間 発熱、全身倦怠感、食欲不振などがあることがあります。

3.感染症

 術後週週間以内に起こる場合とそれ以降に起こる場合があります。

4.血栓、塞栓症

 他の臓器への血栓あるいは塞栓症が起こることがあります。肺、下腿静脈など、それぞれ発生した部位特有の症状があります。

5.アレルギ−反応

 血管造影剤に対するアレルギ−反応が見られることがあります。

6.血腫

 穿刺部(股関節)に血腫(血のかたまり)ができることがあります。
 注1)他にもありますが、外来受診時にさらに詳しく説明します。
 注2)3、4、5、6については滅多に起こることはありませんが、絶対に起こらないとは言い切れません。

受診から入院、退院後の定期検診について

受診から入院、退院後の定期検診について

注記

1. 塞栓術によって、子宮はある程度小さくなりますが、子宮筋腫がよくなって子宮が元の大きさに戻るわけではありません。
2. 塞栓術後、子宮筋腫の変性部分に感染を起こし抗生物質などを用いても効果が得られない場合、手術して子宮摘出になることがあります。
3. 子宮筋腫の診断で管理しているものの中の、約1%に子宮肉腫という悪性のものが含まれていることがあります。管理していく中で、それが疑われた場合には、手術をして子宮摘出となることがあります。
4. 塞栓術を受けても、管理していくうちに、筋腫が小さくならず、大きくなってくる(再発)場合があります。この場合も、手術をして子宮摘出となることがあります。
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