白内障の手術
五十六歳の公務員女性です。

昨秋、右目に痛みがあり眼科に行きました。
三ヶ所受診しましたが、痛みの原因は判明せず白内障といわれました。

今年初め右目を手術し、視力は眼鏡を使って1.0にまで回復しました。
ところが、左目も白内障であることがわかり、秋に手術予定です(現在の視力は0.1)。

お尋ねしたいのは、「白内障の手術による効果はいつまでもつか」ということです。

友人から「二十年はもつ」と聞きました。今手術しても、二十年後ぐらいには再び視力が悪くなるのでしょうか?また、もう一度手術ができるのでしょうか?

左目の今回の手術は我慢して、何年か先に手術をするように少しでものばそうかとも思っています。
現在、更年期障害のホルモン補充療法をしています。

白内障の手術について教えてください。

半年ほど前の手術が順調に経過しているようですから、 ご自身の体験からも白内障がどんなものであるのか、どんな手術なのかよくおわかりのことと思います。

一般的なことを説明してみましょう。目の中にはカメラのレンズそっくりの水晶体が収まっ ております。もともと透明な水晶体が濁るのが白内障です。 混濁の程度が進むにつれて視力が落ちてくるのです。

白内障の最もありふれた原因は、加齢とともに自然に水晶体が濁ってくるものです。
このような老人性白内障が起こりはじめる年齢や進み方は個人差がとても大きいのですが、 高齢者が増加するにつれて、白内障の手術治療を受けられる方が増えてきております。

白内障が進行すると、日常生活が不便になりますが、幸いなことに手術によって視力を回復させることができます。
高齢化社会で増加するニーズに応えるべく、世界中の眼科医が白内障手術がうまくいくようにに努力を重ねてきました。
現在では、患者さんにあまり負担をかけることなく、安全な手術を行って視力を回復させる ことができようになりました。 目の病気に対する手術の中で最も多く行われているのが白内障手術です。しかも、濁りを取り除くだけでなく透明な人工水晶体を移植して、昔のように厚くて重い眼鏡を掛けて視力を矯正する必要もなくなりました。


白内障の手術の後に再び視力が落ちたり、再手術が必要になることがあるのでし ょうか?

ふつうは順調に経過して、一度回復した視力が再び低下することはありません。つ まり手術の効果は永久的といってよいのです。移植した人工水晶体が濁ることもあり ません。

ただし、手術の時に水晶体の濁りの除去が不十分であると、半年から一年くらいの間に濁りが増えることがままあります。

わずかでも濁った膜が瞳孔の中央に生じると、回復した視力が再び落ちてくることがあります。
しかし、仮にこのような事が起こっても、レーザー光線で簡単に取り除いて容易に視力を回復させることができます。

白内障の手術のあと何年もしてから、 あるいは二十年もたってから視力が低下するような場合は、白内障とは別の原因を考えなければなりません。
高齢になって起こりやすいのは、糖尿病、緑内障、加齢黄斑変性などです。

いずれにしても、このような場合はその原因を確かめて治療することが大切です。


左目の手術は延ばしてもよいでしょうか?

現在の視力が0.1くらいにまでなっているのであれば白内障がかなり進んでいると思いますので、我慢するよりも手術されることを勧めます。

何年か先になっても手術の結果に影響はないと思いますが、あまりに進行してからでは手術がやっかいになることがあります。

いずれにしても、手術を受ける時期は患者さんの判断にまかせております。


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