眼球振盪（がんきゅうしんとう）

十六歳の男性です。
小さいときから斜視で、強いメガネをかけても視力があまり上がりません。
医者の話では眼球振とうだそうですが、手術などで治る見込みはありますか？
両眼とも裸眼で0.1、メガネをかけてもやっと0.6程度です。
眼球振盪とはどのような病気なのですか？
普通、両眼は一体としてバランスをとって動きますが、このバランスがくずれて、意思に無関係に振動する状態で、眼振ともいいます。
動き方も左右へ規則正しく振れる「振り子眼振」や一方向にだけ急に振れる「衝動性眼振」などがあります。

自覚症状は？
視力が弱いことが多いのですが、外から見てハッキリ眼球の揺れがわかっても、本人には感じない場合もあります。

どこが悪いのですか？
目の異常で起こる場合のほか、耳の前庭器官の異常で起こる場合、脳の中枢の障害（脳腫瘍、血管障害、多発性硬化症など）から起こる場合があって、目の異常以外の症状を伴う場合には、たいてい耳鼻科や神経内科で診断を受けて見つかります。

目の病気の場合の治療法は？
この場合も三種類くらいあって、根本的な原因はまだ十分には解明されていません。
一つは生まれたときから視力不良性眼振で、茶色の色素が足りない白子（しろこ）眼や先天性白内障、全色盲、未熟児で視力が弱い人にみられることがあります。
この場合、眼振そのものを治すのは難しいのですが、先天性白内障はなるべく早く手術すれば視力もかなり回復します。
全色盲や白子眼は茶色のコンタクトレンズをつけると、まぶしさが減って楽になります。

この方の場合は？
これだけでは分かりませんが、眼位性眼振といって、一定の方向を見たとき眼振のおさまる病気かもしれません。眼振がおさまる方向で視力をはかると、かなりいいのです。
ただそれが左右どちらかに傾いていると、つい首を傾けて見る姿勢になりますから、正面にこの静止位置がくるように、眼球の調節筋肉を手術して治すこともできます。
ただこれらの場合の視力障害は、メガネの効果はあまり期待できません。

もう一つのケースは？
濳伏眼振といって、片目を覆ったときだけ眼振を起こすものです。これも原因がハッキリしませんが、斜視の手術と同様のやり方である程度治せます。
一度精密検査を受けることをおすすめします。
なお、耳の病気や脳の中枢の病気からの眼振は、それぞれの原因を治療するとほとんど治ります。
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