胆道閉鎖症
 生まれたときの黄疸が完全に取れないまま、段々強くなる病気です。


乳児期に黄疸を認める主な病気としては胆道閉鎖症、乳児肝炎、胆道拡張症などが挙げられます。
黄疸が徐々に強くなって便の色が薄くなってくるような場合には、胆道閉鎖症の検査を早くする必要があります。その理由は乳児肝炎や胆道拡張症の場合、それが原因で死亡することは極く稀です。しかし、胆道閉鎖症の場合は肝臓の繊維化(肝硬変と似ている)が進行するためにそのままでは1才前後で死亡するからです。ですから疑わしければ胆道閉鎖症の検査を早くしたほうが良いのです。


■どんな検査ですか。
◎血液で肝機能をみる他、検便で便に胆汁が混じっているかどうかを調べます。さらに十二指腸まで細い管を入れて十二指腸液に胆汁が含まれているかどうかを見たり、アイソトープを用いた検査で胆汁が腸管内に流れているかどうかを調べます。また、超音波検査で胆管の大きさを見て区別できることもあります。このような検査でも診断が付かないことがあります。どうしても胆道閉鎖症を否定できないもの、極めて疑わしいものについては最終的には手術で直接胆道を造影して診断します。


■もし、胆道閉鎖症だとすると、肝臓移植しか助かる方法はないように聞きましたが本当ですか。
◎胆道閉鎖症に対する手術としては肝臓の入り口(肝門部)で肝臓と小腸をつなぐ葛西手術が一般的です。生後90日以内にこの手術を受けた症例の60〜70%は黄疸が消失します。さらに生後60日以内に手術をした方が肝機能の正常化する確率が高いので、その点からも早めに検査をされたほうがよいと思います。この葛西手術でも黄疸が持続したり、黄疸が消えても徐々に肝機能が悪くなる場合は肝移植の対象となります。

◎本邦での脳死肝移植は未だ頻回に行われているわけではなく、誰でもすぐに移植できるわけではありません。また、生体肝移植は多くの手術が我が国で行われていますが、健康な人にメスを入れるために患者本人のみならず提供者となる家族の過多の精神的ストレスも考慮しなくてはなりません。胆道閉鎖症の治療は葛西手術と肝移植を治療の両輪として考えなければなりませんが、移植を受けた患者さんは長期にわたって免疫抑制(拒絶反応を防ぐお薬)を服用する必要があります。

◎移植をしなくてもすむように葛西手術の成績を向上させるべく努力しています。それにはまず早期発見が大事ですから、黄疸が強くなり、薄い黄色〜灰白色の便が続く場合は小児外科を受診されることをお奨めします。便比色表をクリックしてNo.1〜3の便が続いているようでしたら小児外科を早めに受診するか、お近くの産科、小児科の先生にご相談ください。

便比色表