鼠径ヘルニアについて

鼠径ヘルニアとは昔は脱腸と呼ばれていた病気です。男の子が分かりやすいので男の子を例にとって説明します。

胎児の睾丸(精巣)は胎児の後腹膜(お腹の後ろ、背中に近い部分)にあって7ヶ月の頃に陰嚢へ下降します。そのとき、腹膜の一部が(腹膜鞘状突起)が一緒に飛び出て陰嚢の方へ向かいます。精巣が陰嚢に降りると腹膜鞘状突起は一部を残して退縮してゆきます。これが様々な状態で残ったのがそけいヘルニア嚢です。このヘルニア嚢に腸が出たり、お腹の腹水がたまったりしたのがそけいヘルニアです。たとえば腸が出っぱなしになった場合、次第に堅くなり戻らなくなることがあります。このような状態を陥頓状態といいます。陥頓状態が長く続くと脱出した腸管の血液の流れが悪くなり、壊死に陥ることがあります。

(文責:高松、2002年9月20日作成中)