小児細菌性髄膜炎の疫学研究

 

小児の細菌性髄膜炎は現在でも、死亡率約5%、後遺症が約30%にみられる重篤な細菌感染症です。原因菌は、乳幼児ではインフルエンザ菌約が60%、肺炎球菌約が30%を占め、その他に、髄膜炎菌、リステリアなどがみられます。新生児では、B群レンサ球菌と大腸菌が多い傾向にあります。しかし、国の感染症サーベイランス事業による細菌性髄膜炎の発生状況調査は、一部の基幹定点医療機関からの報告に基づいているため、全数を把握できず正確な発生状況は明らかにされていません。私たちは、小児細菌性髄膜炎をなくすことを目標に、鹿児島県における発生状況や臨床経過を調査しています。

 

鹿児島県の細菌性髄膜炎サーベイランス

鹿児島大学病院小児科の調査によると過去8年間(20012008)で127名の患者が発生し、神経学的後遺症や合併症をきたした患者は22名(17.3%)、死亡者は5名(3.9%)みられています。このうち約60%がHibを原因とするものでした。

前方視的研究(2007年〜)

2007年からは、鹿児島県小児科医の協力を得て、患者家族の同意を得た上で、すべての小児細菌性髄膜炎をそのつど報告し、集計しています。またその結果は、鹿児島県健康増進課に連絡し、県民にも還元しています。(「鹿児島県の小児化膿性髄膜炎のサーベイランスと疫学研究」代表研究者 西 順一郎、鹿児島大学大学院医歯学総合研究科倫理委員会で承認済)

 

全国調査(厚生労働省班会議)

厚生労働省の「小児細菌性髄膜炎及び全身性感染症調査」に関する研究(班長:独立行政法人国立病院機構三重病院名誉院長 神谷 齊)では、小児細菌性髄膜炎の正確な発症状況の調査を、全国9道県を対象に2007年から開始しました(北海道、福島、新潟、千葉、三重、岡山、高知、福岡、鹿児島)。鹿児島県も対象県のひとつとして、当科の西が研究協力者として、県内の小児科医に協力してもらい調査を開始しています。細菌性髄膜炎の現在の発生状況を正確に把握し、またHibワクチンの普及によってどの程度の減少効果があるかを数年にわたって前方視的に調査することを目的にしています。

 

Hibワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンの普及を

Hibワクチンは、インフルエンザb型に対するワクチンです。日本でも200812月から接種が始まりましたが、任意接種のため高価な費用がかかります。市町村からの公的補助が接種率向上には欠かせません。鹿児島市は2008年度から全国で初めてHibワクチンの一部公的補助を予算化しました。また20094月からは、伊佐市が全額補助を開始しています。私たちが、市へのお願いに用いた資料を提示しますので、ぜひご利用ください。公的補助が他の市長村へも広がってゆくことを願っています。                      Hibワクチン公的補助のお願い文書