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■小児細菌性髄膜炎の疫学研究(鹿児島スタディ) |
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鹿児島大学病院小児科 西 順一郎 |
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小児の細菌性髄膜炎は現在でも、死亡率約5%、後遺症が約30%にみられる重篤な細菌感染症です。原因菌は、乳幼児ではインフルエンザ菌約が60%、肺炎球菌約が30%を占め、その他に、髄膜炎菌、リステリアなどがみられます。新生児では、B群レンサ球菌と大腸菌が多い傾向にあります。しかし、国の感染症サーベイランス事業による細菌性髄膜炎の発生状況調査は、一部の基幹定点医療機関からの報告に基づいているため、全数を把握できず正確な発生状況は明らかにされていません。私たちは、小児細菌性髄膜炎をなくすことを目標に、鹿児島県の小児科医のみなさんのご協力のもと、鹿児島県における発生状況や臨床経過を調査しています。 |
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■鹿児島県の細菌性髄膜炎サーベイランス |
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鹿児島大学病院小児科の調査によると過去10年間(2001〜2010)で150名の患者が発生し、神経学的後遺症や合併症をきたした患者は26名(17.3%)、死亡者は5名(3.3%)みられています。原因菌の判明した中で、65%がインフルエンザ菌b型(Hib, ヒブ)、28%が肺炎球菌が原因菌でした。2010年の原因菌は、9名(ヒブ6名、肺炎球菌3名)、2011年は9名(ヒブ4名、肺炎球菌2名、その他3名)となっています。ヒブ髄膜炎は、2008〜2009年の11名から、2010年6名、2011年4名へと、減少のきざしが現れています。今後の推移をさらに見てゆく必要があります。 |
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■ヒブワクチン接種率の推定 |
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任意接種であるため正確な接種率はわかりませんが、鹿児島市の公費助成利用率(3歳以下)は、2010年12月時点で、平成20年度対象者63.1%、平成21年度対象者67.4%、平成22年度対象者57.2%でした。任意接種で半額補助としては、比較的高い利用率ではないかと考えます。平成23年3月には一時接種見合わせがありましたが、4月以降の接種は順調に進んでいます。平成23年度の接種対象者の利用率は、61.4%です。肺炎球菌ワクチンも59.6%となっています。 |
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■鹿児島市内外別のヒブ髄膜炎症例数 |
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■前方視的研究(2007年〜) |
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2007年からは、鹿児島県小児科医の協力を得て、患者家族の同意を得た上で、すべての小児細菌性髄膜炎をそのつど報告し、集計しています。またその結果は、鹿児島県健康増進課に連絡し、県民にも還元しています。(「鹿児島県の小児化膿性髄膜炎のサーベイランスと疫学研究」代表研究者 西 順一郎、鹿児島大学大学院医歯学総合研究科倫理委員会で承認済)。 |
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■全国調査(厚生労働省班会議) |
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厚生労働省の「ワクチンの有効性向上のためのエビデンス及び方策に関する研究」(班長:神谷 齊、現庵原俊昭)では、小児細菌性髄膜炎の正確な発症状況の調査を、全国10道県を対象に2007年から開始しています(北海道、福島、新潟、千葉、三重、岡山、高知、福岡、鹿児島、沖縄)。鹿児島県も対象県のひとつとして、県内の小児科医に協力してもらい調査を行っています。細菌性髄膜炎の現在の発生状況を正確に把握し、またHibワクチン・小児用肺炎球菌の普及によってどの程度の減少効果があるかを数年にわたって前方視的に調査することを目的にしています。2007〜2009年3年間の鹿児島県5歳未満人口10万あたりHib髄膜炎罹患率は13.3、肺炎球菌髄膜炎は7.1でした。1道9県平均(2009年)は、Hib髄膜炎罹患率7.1、肺炎球菌髄膜炎2.6であり、本県は比較的高い罹患率を示しています。 |
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■Hib・小児用肺炎球菌ワクチンの安全性調査 |
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ヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチンは、海外においては有効性とともに高い安全性が示されていますが、日本では多数を対象にした有害事象調査はまだ十分行われていません。2009年2月〜2011年2月まで、有害事象の頻度を正確に把握するために、接種医師のご協力のもと前方視的調査を行いました。詳細はHib・小児用肺炎球菌ワクチンの安全性調査をご覧ください。 |
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■Hibワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンの普及を |
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Hibワクチンは、インフルエンザb型に対するワクチンです。日本でも2008年12月から接種が始まりました。小児用肺炎球菌ワクチンは7種類の血清型の肺炎球菌を標的としたもので、2010年2月から発売されています。いずれも任意接種のため高額な費用がかかります。市町村からの公的補助が接種率向上には欠かせません。鹿児島市は2008年度から宮崎市とともに全国で初めてHibワクチンの一部公的補助を開始しました。また2009年からは、伊佐市が全額補助を開始し、曽於市でも補助が始まっています。2010年には、薩摩川内市、いちき串木野市、南さつま市、出水市、長島町、さつま町でも一部助成が開始(または決定)されています。鹿児島市医師会と私たちが、鹿児島市へのお願いに用いた資料を下に提示しますので、ぜひご利用ください。小児用肺炎球菌ワクチンも、西日本で初めて伊佐市が全額補助を開始し、志布志市、出水市、長島町、さつま町でも開始(または決定)されています。 2011年1月からは鹿屋市、2月からは鹿児島市で国と市による全額補助が開始されています。4月以降はほとんどの市町村で全額補助が行われるようになりましたが、さらに早期に定期接種化されることを望んでいます。 髄膜炎は乳児期早期に多いことから、2〜3か月からの接種が重要です。鹿屋医療センターでは、パンフレットを作成し、出産を終えたお母様方に配布しています。許可を得てワードファイルで掲載しますので、各病院で使いやすいように変更してぜひご利用ください。 |