国際学会の報告

 

36th Annual Meeting of the EBMT (European Group for Blood and Marrow Transplantation), 2010/3/21-24 Vienna, Austria

岡本康裕

2010/3/21-3/24にオーストリアのウィーンで開催された第36EBMTに参加しました。年々規模が大きくなっているようで、ヨーロッパだけでなく、アジア各国や、米国からの参加者も増えていました。また、4年前に参加した時と比較して、EBMTのグループとしてのプロジェクトの成果が、数多く発表されており、また新しい臨床研究の提案がなされていました。私は2日目のポスターセッションで、「Pharmacokinetic study of intravenous busulfan in hematopoietic stem cell transplantation: results of a prospective study with 25 children」を発表しました。ワインと軽食の出るセッションで、気楽なdiscussionしかありませんでしたが、症例報告などはなく、充実した研究がたくさん報告されていました。いつかoral presentationをしたいと感じました。

ウィーンでは、オペラを鑑賞し、美術館、博物館を訪れ、リフレッシュもできました。

St. Jude - VIVA Forum in Pediatric Oncology 2010. 2010/3/3-5, Singapore

岡本康裕

2010/3/3-3/5にシンガポールで開かれた第4VIVA-St. Jude Forumに参加しました。シンガポール大学のDr.Allen Yeohが中心となり、寄付金とボランティアによって運営されるフォーラムで、アジアの小児がんの治療成績の向上を目的としています。いわゆる学術学会とは異なり、1)St.

Judeのスタッフによる教育セミナー、2)working groupの成果発表、3)ポスターによる研究発表、4)症例検討会から成っています。1)の教育セミナーでは、基礎的な研究から、血液腫瘍、固形腫瘍、移植など臨床までの幅広い分野がカバーされ、最新の小児がんを集中して勉強できました。St. JudeDr. PuiTotal XIVというプロトコールの成績を最近NEJMに発表したばかりですが、Total XVはさらによい成績が出そうだということでした。またAMLに対するNK細胞移植では症例数は少ないですがEFS100%でした。また、Dr. Mullighamの一連の網羅的遺伝子異常の最新データも示されました。

私は、前日の3/2VIVA-ASIA group workingで九州山口小児血液がんグループ(KYCCSG)のALL96の成績を発表し、3/5working groupの成果発表のセッションでも、発表しました。また、3/4BMT working groupにおいて、鹿児島大学の移植成績を発表しました。今後はworking groupごとに、プロジェクトを立ち上げて、進めていくことになり、私も二つのプロジェクトに携わることになりました。来年までに一定の成果を出さないといけません。シンガポールはアジアの小さな国ですが、学校では英語による教育を受けており、生活様式や思考は英国式で、彼我の違いを改めて感じました。

The 5th TEPHINET Southern Asia and Western Pacific Bi-Regional Science Conference

Korea 2009.11.5-6

徳田浩一

2009115日・6日に、韓国のソウルで開催されたThe 5th TEPHINET Southern Asia and Western Pacific Bi-Regional Science Conferenceに参加しました。同学会は、公衆衛生の現場で活動する世界の実地疫学者が、健康被害事例(集団感染、災害など)に対して実施した調査対応策を研究報告するものです。都合上、5日間の会期の2日しか参加できませんでしたが、各国における活動やお国事情が垣間見えて興味深かったです。今回は、やはり新型インフルエンザに関連した発表が多く、日本の国立感染症研究所からも8演題の発表がありました。

実地疫学の世界では有名なMark White氏のPublic Health Ethicsに関する講演が印象的でした。〔Do good1.Benefit many people  2.Largest possible benefit  3.Longest lasting benefit Do little harm1.Risk and benefit of interventions  2.Consider opportunity costs  3.Avoid blaming people 慌ててメモしたので正確ではないかもしれませんが、話の中で上記のように言及されました。ともすると自分の考えるbenefitだけを目的に突っ走ってしまうこともありますが、それが誰にとって、どのくらいのbenefitなのか、熟慮した上での対応が必要と考えさせられました。責めてはいけない(特に自分を棚にあげて)も反省させられる言葉でしたが、Do little harmなので少しだけならいいのかもしれません。

韓国訪問は初めてでしたが、鹿児島からの直行便で1時間20分と、海外渡航とは思えないくらい楽でした。昨年は口演しましたが、今年は発表がなかったので集中して聴講できました。新型インフルエンザのため、医局でも多くの先生方が国際学会への参加を見送られましたが、本疾患の病態がウイルス学的・疫学的に次第に明らかとなり、またいくぶん沈静中の時期に学会が開催されたので参加することができました。韓国料理も美味しかったですが、店員が皿にどんどん盛ってくるキムチ攻めには参りました。

 

Training Programs in Epidemiology and Public Health Interventions Network (TEPHINET), Malaysia 2008.11.1-6

徳田浩一

この学会は私が国立感染症研究所で研修したFETP(実地疫学専門家養成コース)の国際学会です。42か国のFETPから演題数255題(口演79題、ポスター176題)の発表がありました。マレーシアでの開催のためか、北アメリカやヨーロッパからの発表は少なかったのですが(USAUK・ドイツなどは1題ずつのみ)、アジアは当然として、アフリカ、中南米からは多くの発表がありました。内容は基本的に集団発生事例調査に関するものが多かったですが、先進国からは公衆衛生関連の研究的内容の発表が多いように感じました。

 私は3日目に、昨年に調査支援した、ある国立大学病院における百日咳集団発生事例についての口演発表を行いました。質疑応答で3つ質問を受けましたが、今回は周到にQ&Aを考えていたので比較的落ち着いて答えることができました。また発表後にも韓国やフィリピン、国不明の人など、数人から質問やコメントを受けました。

 国際学会にきちんと参加したのは初めてでしたが、日本以外にも英語を苦手としている国がたくさんあることに少しほっとしました。南米はほとんどの国の発表者が質疑応答で通訳を必要としました。東欧の人達もつらそうでしたし、インドの人は流暢ではありましたが、インド訛りが強すぎて逆に英語圏の人達が聞くのにつらそうでした(私は全く聴き取れませんでした)。自分もあきらめずにさらに努力しようと感じました。

 マレーシアは予想以上に都会でした。なか日に自由時間があったので少し遠出をしましたが(車で片道2時間ほど)、郊外にも小規模だけど整然とした街がつくられていて、道路も都市からずっと遠くまで整備されていました。フィリピンでは都市の周辺だけでなく、中にもスラムが多かったので、その差に驚き、マレーシアは豊かな国であると感じました。

The Second Asia-Pacific Congress of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery, Korea 2008.5.27-30

上野健太郎

 527日から30日にかけて開催された環太平洋アジア小児循環器学会に参加してきました。今回で2回目になるこの学会はアジアを中心とした小児循環器内科医、外科医、新生児科医が中心となって活動をしており、2年に1回行われています。今回は嬉しい事に、韓流ブームの中心である韓国済州(チェジュ)島で行われました。日本ではASDAmplatzerが施設限定で盛んに行われるようになりましたが、今回カナダでのPm VSDの成績(遠隔期を含めた)の報告がありました。当然、合併症としてのARの問題点、遠隔期でのAV blockの出現なども報告がありましたが、成績は良く500数例中2例のみ困難であっただけで概ね良好とのことで、期待が高まります。またFontan術後遠隔期でのPLEProtein Losing Enteropathy)の話題がありました。Fontan術後の約 3-15%に起こるとされており、血清蛋白が正常であるにもかかわらずサイレントに症状が進行していくこともあり、Fontan術後の心機能の評価が見直されていました。中心静脈圧の上昇、血行動態の急激な変化、TNF-αの上昇など起因するところが多く、高蛋白食、ACE阻害薬やCarvedilolなどを長期的に使用していく必要があるケースもあるようです。

 トロント病院の先生からはCHDの成人期での問題点の報告がありました。問題点としては、60%が不整脈、30%が心不全、10%がそれ以外(IEなど)であり、ヨーロッパ諸国でも循環器内科に連携する際に、そこで約20%がドロップアウトしており遠隔期の問題も多いことから深刻な問題であると考えられます。肺高血圧やARDSALIなども小児科医にとっては悩まされる問題ですが、心疾患術後のプロスタサイクリンアナログ・iloprost吸入の有用性、ボセンタンとの併用の有用性や、ALIなどでの open lung conceptも循環動体に大きな影響を及ぼすことなく換気状態の改善に繋がるようであり、刺激になる演題ばかりでした。

 最終日のGala Dinnerでは同席したソウル国際大学の小児循環器の先生方とお話しする機会がありました。道は険しいですが、振り返らずにたたかっていきましょう!と笑顔で終始激励してくださった先生方とコミュニケーションをとる機会が得られたのは本当に素敵な時間でありました。次回は2010年日本で行われます。演題を出せるように努めたいものです。学会に来ているはずなのに、1日平均15,000歩以上歩いていました。

 

野村裕一

 上野先生も報告してくれたように、Amplatzer等のカテーテル治療は日本が後進国で、さみしい思いをさせられます。いろいろ総説的なレクチャーが勉強になりました。発生のレクチャーは残念ながら寝てしまいました(日本語でも寝てしまったかもしれませんが・・・)。発表では、CTMRIでのRV機能評価に関連した演題がいくつかみられました。今後は3Dエコーでの右室機能評価だな、と思いつきました。原発性肺高血圧では近年薬物がいろいろ使えるようになってますが(つい最近バイアグラがPHに保険がとおりましたし)、コンビネーションで使うことについての話をとても興味深く聞きました。フローランにしてもボセンタンにしても2年くらいは効果があるようですが、それくらいで頭打ちになるので、その時点で他剤を重ねることで有効なようです。ここ3年以上鹿児島県でPPHの小児がいないので、そろそろかとは思っていますが、ここ最近の進歩でもっとQOLの良い管理・治療ができるようになってると感じます。今年は昨年の予定がずれこんで、たてつづけに台湾、韓国でしたので、あわただしくなってしまいました。来年はオーストラリアで世界小児循環器学会があります。それに向けてリサーチを開始していきたいと考えています。

 

大竹山令奈

 4月に野村先生に今回の学会に誘っていただき、初めて国際学会にいってきました。海外といっても韓国の人は日本語がとてもうまく日本語でほとんど事がすみました。治安もよくて素敵な国だなと実感しました。でも学会はもちろん英語でした。何とか理解しようとしましたが聞き取りにくい英語の発表の際には意識が遠くなってしまいました。なんとか理解できた発表は私にとって初めてのことばかりでどれも新鮮で勉強になりました。Gala dinnerの際、隣の席は韓国の新生児循環器専門の先生でした。いろいろとわかりやすい英語で話をしてくださりましたが内容はなんとか理解できましたが自分の伝えたいことを英語で表現するのは難しく苦戦してしまいました。今回一番の収穫は英語をもっと頑張ろうと実感した事だったかもしれません。また病棟になれることに必死でつい自分の身の回りで起こっていることが全てのような気がしてしまっていましたが世界の広さを改めてつくづく感じたことも収穫だったと思います。今度はもっと発表が聞けるように英語も医学の勉強も頑張っていこうと思っています。

11th Asian European Workshop on Inborn Errors of Metabolism (AVWIEM), Korea, 2008.4.18-23

池田さやか

 名前のとおりアジア、ヨーロッパの医師・研究者を中心としたワークショップなのですが、今年は開催国が韓国だったことも

あり、例年よりヨーロッパからの参加者は少なかったそうです。それでもポーランド、エジプト、スロバキア、ドイツ、イタリ

ア、香港、韓国、日本と非常に国際色豊かな活気のある会でした。

 短時間でアミノ酸、アシルカルニチン、その他多くの代謝産物を検出することが可能なタンデムマススクリーニングは、既に欧米で導入が進み、成果をあげています。中でも中鎖アシルCoA脱水素酵素(Medium-chain acyl-CoA dehydrogenase, MCAD)欠損症は欧米では5,000人から1万人に1人の発症と非常に多く、新生児マススクリーニングの最重要対象疾患です。脂肪酸酸化異常疾患なのですが、8時間以上の絶食や感染罹患時、手術後に突然ライ症候群様の症状を示し、昏睡、痙攣、死まで1-2時間と臨床経過が極めて早いのが特徴です。初発での致死率が高く(25-30%)、乳幼児突然死症候群の

原因の一つだとも言われています。生後4か月から3歳が好発年齢で4歳以降の発症はまれということで、とにかく治療は感染や嘔吐下痢、手術時の異化亢進を避けるため、早めに糖液の輸液をスタートすることが必要とのことでした。日本でもタンデムマススクリーニングの導入が始まり、本邦における詳細な頻度が分かってくるにつれ重要な疾患になりうると感じました。診断のポイントとして低血糖時に尿ケトン陰性であること、(通常は低血糖時は必ず尿ケトンは陽性のはず)低血糖時のアシルカルニチン分析(脂肪酸代謝異常症だけでなく有機酸尿症の診断にも有効)とのことでした。他、患者さんの臨床症状、検査値を示しながらどういう風に診断していくのか、実際の臨床に即した発表もあり大変勉強になりました。今回参考文献として、東北大学遺伝科松原洋一教授が翻訳された「小児代謝疾患マニュアル」(診断と治療社)を持参していったのですが、

訳注として最新の知見も書かれており、この本のお陰で大分discussionを理解することができました。携帯できる良書だと思います!ワークショップ自体は30人前後の小規模な会でしたが、小規模故にすぐに出席者全員と顔見知りになり、Round Table Discussionでの症例検討、食事会、最終日のカラオケ大会とずーーっと英語漬けで、色々な国の先生方とコミュニケーションをとれるのが楽しくて仕方ありませんでした。学問と音楽と笑いに国境はないと感じた貴重な5日間でした。このような機会を与えて下さった溝田先生始め内分泌グループの先生方、佐伯教授(現徳島文理大学)、小林先生、その他小児科、分子病態生化学講座の先生方、誠に有難うございました。

9回国際川崎病シンポジウム 台湾 April 2008

江口太助 

ポスター発表で緊張していたのですが、質問は日本人の方で「HMGB1とは何ですか」でしたので助かりました。3年後はもう少し英語のレベルを上げたいと思いかえってきました。学会はヘッドホンが配られ、日本語の同時通訳が聞けたのですが、強がって聞かなかったので発表の内容がほとんど残っていません。川崎病の発表ではあまり冠動脈流のリスクファクターの検討で血行力学の検討が無いのでどうにかして検討できればよいのにといつも思います。乳幼児の拡張期血圧はどうしたら正確にはかれるのか思いつきません。学会2日目の朝食の時、川崎冨作先生夫妻と同じテーブルで摂りました。奥様がウエートレスに箸はどこですかと尋ねていましたが、ウエートレスは日本語は分からなかったようで逃げるように去っていきました。すかさず、僕は奥様に「箸を取ってきましょう」と言い夫妻に取ってきました。今回の学会での一番の思い出になりました。しかし、「鹿児島大学の江口です」と言い忘れてしまったのが心残りです。

 

櫨木大祐

先進の研究報告はgenomeレベルのものが多く,僕の乏しい英語力ではついて行くことが困難でした(英語力の程度としては,次回開催国をフィリピンと聞き取っていたのですが,野村先生の報告を見て初めて東京と知ったくらいです)。が,睡魔に襲われたのは会場が異常に寒かったためであり,雪山での遭難中に眠たくなってしまうのと同様だったのだと信じています.台湾は最高気温33度ととても暑く,タクシーの暴走運転が横行し,少し郊外に出ると歩道には犬の糞が結構な頻度で落ちていました。しかしながら小龍包はとてもおいしく,中心部はかなり都会的で,宿泊したホテルもレーガンやクリントンが泊まったこともある名門で,滞在中とても楽しく過ごさせていただきました。また主催者の歓迎ぶりもすさまじく,初日には中国雑技団のショーや,女子十二楽坊みたいな人達の演奏を見ることが出来ました。

 

野村裕一

日本からの発表内容のかなりは日本の学会の焼き直しで新鮮味はやや乏しいのですが(うちからの発表の2題もそのとおりなのですが)、多くの総括的なレクチャーがあり、改めて勉強になりました。まだまだ解明すべき疑問に改めて気づき、研究意欲をかき立てた次第でした。「なぜ、川崎病は冬に多いのか?ウイルス感染との関連は?」「日本やアジアでは年々増加傾向なのに、アメリカでは増加傾向がないのか?また、なぜ、北朝鮮では川崎病がないのか?」「川崎病の重症度(ガンマグロブリン不応)評価のスコアが日本では有名ですが、これがアメリカの報告ではまったく有用でないのは、単に人種差だけでよいのか?」 等々、たくさんアイデアだけは沸きましたが・・。故宮博物館は前評判が良すぎて、かえって少しがっかりな感もありましたが、でもやっぱりすごかった!です。機会があれば、やはり「必見」でしょう。

 

森田康子

印象深かったのは初回IVIG不応例についての発表でした。初回IVIG不応例に対してIVIGを追加した群とステロイドを使用した群を比較したところステロイドを使用した群の方が冠動脈病変を発症の割合が高く、また、追加治療に対する不応例ではステロイド投与群に比べてIVIGを行った群の方が冠動脈病変を発症の割合が高いとのことでした。いろいろな方法で再治療を行う症例においては冠動脈病変の発症が高く、またそれぞれの治療においても、severe hypotensionhemodynamic instabilityを増加させ、追加治療としてのIVIGもしくはステロイドを使用するかは主治医の裁量に委ねられるということでした。そのほかの発表、ポスターの発表でもIVIG、ステロイドパルス、インフリキシマブ等治療についての発表が多数ありました。昨年の10月から医師会病院に赴任していろいろな川崎病の症例を勉強させてもらっています。学会に参加して川崎病は奥が深いなと改めて感じました。世界1高いビルにのぼり、そこからの夜景は最高でした。とても有意義な学会でした。何事もなく?無事日本に帰りつけました。

19th International BFM meeting, Glasgow, Scotland April 5-6, 2008

岡本 康裕

2008/4/5-4/6に英国グラスゴーで開かれた19回のInternatinal BFM meetingに出席しました。会場は、ス コットランドのグラスゴー大学で、見るからに歴史のありそうな会場で、メイン会場は古いチャペルでした。BFMは元々ドイツのベルリン、フランクフルト、ミュンヘンの医師が始めたALLの治療グループで、今では東西ヨーロッパ、南米を中心に広がり、白血病・リンパ腫を広く扱っています。BFMはよい治療を広めようと考えており、日本のJPLSGも正式メンバーになっています。クローズドの会議で、私はJPLSGALL委員として参加を許可されました。会議では主に、ongoingのプロトコールの報告と、次期プロトコールの提案、共同研究の提案がなされました。日本からはNHLALLresistant diseaseに関して報告があり、(私は聞いていただけです)contributionを示すことができました。このようなBFMの臨床研究のよさに対し米国が危機感を持って、POGCCGが一緒になって、COGを作りました。COGDr. NackmanSt. JudeDr. Puiも招待されていて、オープンな議論がされていました。COGは合併のおかげで登録数が多くて、ongoingのプロトコールの登録を締め切ってもしばらく結果が出ていないという状況で、research questionを探すのに苦労しているという贅沢な話でした。彼らは詳細な成績には触れずに、次のプロトコールの概要を早口で報告しました。一方のSt. Judetotal XVでは4年のEFS90%を越えそうだという噂があったのですが、観察数、期間が伸びるとさすがに成績は下がって90%を下回っていました。BFMもだいたい同じくらいの成績でした。日本の多くのプロトコールを数年のうちに次々を発表できること、私が発表者の一人となれることを期しました。留学中にお世話になったDr. Puiや同期のフェローであったAllenに久しぶりに会い、頑張らなくてはと改めて感じました。

American Society for Microbiology 107th General Meeting, Toronto, Canada May 21-25, 2007

藺牟田直子

トロントは、高いビルの上にもっと高い空が広がり、その空は青く澄んでいて、総ガラス張りのビルに空と湖の青と木々や芝生の新緑が映り、水色と緑のとてもきれいな街でした。

ASMは今回で4回目の参加でしたが、会場内に溢れるパワーとエネルギーに圧倒されつつ、学会は知ることを求め情報を集める場所であることを改めて感じました。今回は、西先生が 日本の下痢原性大腸菌のO型別に関する疫学研究、私が腸管凝集性大腸菌の凝集に関与する大腸菌外膜排出ポンプTolCの研究をポスター発表させていただきました。ポスターを貼り終わるとすぐに質問が始まり、割り当て時間は1時間30分でしたが実質2時間近く西先生と二人で、というより西先生が質問に応答してくださいました。ほとんど絶え間なく質問があり、英語力にかなり乏しい私は質問に答えるというより伝える努力をしているうちに時間が過ぎていたような気がします。また、シンポジウムなどでは西先生や藤山先生が涼しいお顔で聞いている中、私は何を話しているのか聞き取れないながらも、知りたい、分かりたいというワクワクするような好奇心を抑えるきれず、電子辞書を片手にスライドやポスターと睨めっこしていました。

最終日の学会の帰りに地下鉄が止まってしまい、トロント大学近くのホテルまで7駅ほど歩いて帰ることになってしまいました。ひたすら街を歩いていると西先生が急に立ち止まり「ここにちょっと寄っていこう」と言われました。そこは、小児科医にはとても有名らしいトロント小児病院でした。建物の中には自由に入ることができ、受付のあるフロアーには色とりどりのキャラクターの絵や噴水、スターバックス、バーガーキングまであり、点滴をしながら歩いている子や車椅子の子どもがいなければ病院ということを忘れてしまいそうでした。トロント大学のキャンパスを通って帰りましたが、この大学は歴史が古く、インスリンが発見されたところとして有名です。図書館にも寄り、私の初めての英文論文の載った雑誌を見つけてくださりびっくりしました。この感動を忘れずに、学会で学んだことを更に今後の研究に生かしていきたいと思います。このような機会を与えてくださった医局の皆様に心より感謝申し上げます。

33rd Annual Meeting of the European Group for Blood and Marrow Transplantation, Lyon, France, March 25–28, 2007

河野嘉文

今年はフランス第3の町で金融あるいは工業都市として知られるリヨンで開催された。バーゼル大学血液内科に留学していたときに、当時のボスであった故Speck教授が主催した第12回大会(インターラーケンで開催)に参加して以来、機会あるごとに参加してきたが、毎年のように大きくなっていく学会である。現在は約600の施設から、年間24000例の移植例が登録されている。多種多様の施設が共同研究を比較的ゆるやかなルールで実施し、かつ自国のプロトコール研究も並行して行う方法で、まずは移植のレベルアップという時代から、evidenceを欧州から発信するというスタイルに変貌してきた。そこには初期のスキーリゾートで楽しむ姿勢は消滅し、4日間とも早朝から夕方までスケジュールが詰まっていた。

造血細胞移植術の施行数が増加しているため、いろいろな臨床データの分析は少なくとも数百例、多ければ3000例くらいの解析でなければ注目されなくなった。しかし、TRMGVHD、ドナーの選択、など解決されていない問題ばかりであり、造血細胞移植術の奥の深さを物語っている。大きくなったがゆえに、口演発表を一部しか聞くことができないので、もう少し発表演題数を絞ってもよいのかと思う。今回から不採択の誌上発表があったが、その対策の一つであろう。また、最近でも「とても倫理委員会は承諾しないであろう」と思われるような治療を報告するフランスやイタリアには、日本はとても同じ土俵でデータを出すことは無理だと思った。

すごく印象に残る講演は聞けなかったように思うが、高齢者の移植適応が拡大しつつあり、将来的に人口の1%が造血細胞移植を受けるというような予測が発表されていた。普及するには医療費との兼ね合いが必要であろうが、金持ちには選択肢が広がっているのが現実である。一方で、乳がんの大量化学療法のように2002年以降まったく実施されなくなった自家移植もあり、今後も時代の流れあるいは流行によって対象疾患は変遷しそうである。その乳がんの大量化学療法+自家移植施行例の長期経過観察結果が報告されていた。層別化が難しい振り分け試験だと当時から思っていたが、100%有効性を否定できるようなものではないことを確認した。Prospective randomized trialにも臨床的に解決できない限界があると感じる。ひとつの研究結果が論文として報告されると、すぐに盲信するような考え方はさけたいものである。研究には流行があり、最初はよい面だけが報告される。

再移植例の小児患者で、70%以上の生存率を誇るCD3/CD19陽性細胞除去移植術に関連するHandgretingerらのチームの報告が目立ち、成人例で検証途上のデータもあった。再発難治例が対象だけに信じがたい面もある。日本造血細胞移植学会のランチョンセミナーで提示されたので、ご記憶の諸氏も多いと思う。

イタリアのチームが臍帯血を骨髄に直接輸注する方法を30例の移植例で報告していたが、白血球の回復が2〜3日早く、血小板数の回復が少し早いことがどの程度のインパクトがあるのか、10年前に嬉々として純化末梢血幹細胞を骨髄に注入した自分たちの自戒の念も含め、もっと本質的な研究がされるべきだと感じた。建設的に考えれば、GVHDが出ないとか、10分の1の細胞数で生着しうるとかの知見が出てくる可能性を求めての研究であろう。

全般的には新規薬剤の効果を確認する臨床研究報告が多い中、移植中に特に胸部CTを撮影する必要性があるので、CT検査室にいくための無菌管理服(逆隔離の意味もある)や、臍帯血細胞を凍結乾燥する(lyophilization)する方法の開発は、思わず立ち止まって注目した。無液体窒素や冷凍庫を使わない細胞保存方法の開発をさぐる発想が大事である。

ここ5〜6年間で日本を含めアジアからの報告が激増したが、韓国の報告数の増加には目を見張るものがある。年間300例の移植を行ってきたカソリック大学やソウル大学をはじめ、韓国内のデータの充実ぶりが際立っていた。日本からの報告も次第に多くなり、最終日のoral session 13(Stem cell donor/Stem cell sourceでは7題中3題が日本からの演題であった。ASHとは違った面で勉強になる学会の位置づけになってきたと思う。