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教室の紹介 introduction

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ご挨拶

鹿児島大学医学部薬理学教室は、平成14年4月に、大学院の医学研究科が歯学研究科と統合され、医歯学総合研究科として部局化されるに伴い、生体機能制御学講座の生体情報薬理学分野となりました。「薬」と言うと、真っ先に病気を治す「薬物治療」が連想されますが、「薬」の有用性として、生体の生理的反応のメカニズムやその制御機構の解明に役立つということがあります。現在一般的に広く使われている薬物の標的となる生体分子の約3分の2は、受容体やホルモンなど生体内情報伝達系関連です。そこで、本教室では、DNAから生物個体までを対象として、生体内情報伝達メカニズムに関連する包括的な研究・教育を行うことにより、未知の生体内情報伝達を明らかにし、逆薬理学的手法により創薬へと発展させることを目指しております。今や医科学研究は、工学、農学、心理学や社会学など多彩な学際領域と緊密な連携を取りつつ、急速に発展してきております。
 若い医科学研究者には、医科学研究とは臨床の現場に密着或いは最終的に還元されるべき研究であることを念頭に、独創的かつ国際的評価を受ける研究を心がけさせたいと思います。

研究内容

(1)PACAP (Pituitary Adenylate Cyclase Activating Polypeptide)は、1989年に、当研究室の宮田らによりラット下垂体アデニル酸シクラーゼ活性を指標としてヒツジ視床下部より単離、構造決定された神経ペプチドで、VIP (Vasoactive Intestinal Polypeptide)と高い相同性(68%)を示し、セクレチン・グルカゴンファミリーに属する。38個のアミノ酸からなるPACAP38とそのN末27個からなるPACAP27の2種の分子様式がある。中枢神経に最も多く分布し、ニューロトランスミッター、ニューロモデュレーターとしての機能以外に、神経突起の進展促進作用や、一過性脳虚血後の遅発性海馬ニューロン死やグルタミン酸による神経細胞死の抑制することからPACAPの神経栄養因子としての機能が注目されている。
@PACAP遺伝子の組織特異的発現調節機構の解明;神経細胞におけるPACAP遺伝子発現には神経選択的サイレンサー(NRS)が関与することを明らかにした。また末梢では精巣に多く分布するラットPACAP遺伝子の精巣特異的遺伝子発現について、ヒト遺伝子の翻訳開始点から13.5kb上流に精巣特異的エクソンを同定し,ヒト精巣におけるPACAP遺伝子発現調節に関与するヒト精巣特異的PACAPプロモーター領域の同定と解析を行っている。
APAC1遺伝子発現の正と負の調節機序;PAC1遺伝子は神経細胞への分化や,神経栄養因子の曝露によって発現が増強され,逆にERストレスや脳虚血等の病態時に発現が減少することが知られていることから,PAC1の発現調節メカニズムを分子生物学的な手法を用いて解析し、SP1がその中心的な転写因子でありトランスグルタミナーゼ2が関与することを明らかにした。
BPACAPの痛覚伝達における役割:PACAPをマウスに硬膜外投与すると持続性の疼痛様行動を引き起こし、そのメカニズムにアストロサイトの活性化が関与することを明らかにした。
CPACAPの神経保護作用関連因子:PACAPがラット中大脳動脈閉塞による一過性局所脳虚血モデルにおいて梗塞巣縮小効果を示すことから、PACAPの脳卒中などへの臨床応用或いは、新しい虚血性神経細胞障害治療、神経細胞保護法の開発をめざしている。PACAPの直接的神経細胞保護作用の分子メカニズムの解析とともに、グリア細胞と血管系細胞の機能的連関性に着目し、グリア細胞と血管系細胞の情報伝達におけるPACAPの生理的意義の検討により、PACAPの神経細胞死抑制機序を直接作用と間接作用の両面から統合的に解明することを目指し、PACAPの保護作用に関わるアストロサイト由来の因子についてジーンチップを用いて網羅的解析を行い、候補因子としてC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)を同定し、その機能解析を行っている。

(2)オーファンGPCR (G protein coupled receptor)のリガンド探索研究
GPCR(G蛋白共役型受容体)は7回の膜貫通部位を持つロドプシンファミリーに属し、細胞膜に存在する受容体の内、最も大きなファミリーで、ヒトの遺伝子としても5番目に大きな遺伝子ファミリーを形成している。オーファンGPCRとはまだリガンドが同定されていない受容体のことであり、現在150種類余り存在し、そのリガンド探索は、ゲノム創薬の大きなターゲットとなっている。
@生理活性脂質受容体の機能解析:血管系細胞などに特異的に発現するGPCRに着目し、動脈硬化など炎症の病態における生理活性脂質受容体(GPR84,GPR120,GPR18,GPR34,GPR40など)の機能の解明を進め、GPR34がNアラキドニルグリシンの受容体であることや、マクロファージの機能転換に関与することを明らかにした。脂肪酸受容体であるGPR40が脊髄にも分布し痛覚伝達に関与することを明らかにした。
Aオーファン受容体に対する新規生理活性物質の探索:神経の発生・分化・生存維持に関わる未知のシグナル伝達の解明を目指し、様々な細胞内シグナリングをモニターすることにより、網羅的なスクリーニングを可能とするCELRA (cis element luciferase reporter assay)法を確立し、神経特異的に発現するオーファンGPCRを中心として、リガンド探索を進めている。

(3)難治性疼痛発症の分子メカニズムの解明と新規疼痛治療薬開発に関する研究
長引く炎症や神経障害後に生じる疼痛(神経因性疼痛)は、現在においてもなお最も治療に難渋する疼痛であり、外傷後神経痛(幻肢痛など)、脳卒中後疼痛、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経痛、がん性疼痛などにおける痛みの主要な原因となる。今後急速に高齢化社会を迎える本邦において、これらの難治性疼痛に対する有効な治療法の開発は社会的急務となっている。我々は、カラゲナンによる急性炎症モデル、完全フロイントアジュバントによる慢性炎症モデル、座骨神経部分結紮モデル、糖尿病性神経因性疼痛モデル、視床痛モデルなど様々な疼痛モデルについて、疼痛行動学・電気生理学・生化学・分子生物学的手法など、多角的アプローチを取り入れ、また学内外の共同研究を通じて、新規難治性疼痛治療薬の開発を目標にした基礎的研究に取り組んでいる。

(4)高次脳機能発現過程におけるエネルギー代謝調節機構の解明
脳はグルコースのみをエネルギー源とする偏食な臓器で, 体の20%のグルコースを消費することが知られている. グルコースは血中からアストロサイトを介して神経細胞に供給され, ミトコンドリアにおいてエネルギー通貨, ATPの材料となる. この過程は厳密に制御されており, エネルギーが必要な時空間を選んで供給されなければならない. 我々は, 高次脳機能が発現する過程において, このようなエネルギー供給がどのように制御され, いかに動物の振る舞いとして表出されるかを行動学, 分子遺伝学, 分子生物学, 生化学的な手法で明らかにしようとしている.

(5)マーモセットによる生活習慣病霊長類モデルの開発
野元助教授が在任中に開始したマーモセットの自家繁殖を継続し、研究科の複数の研究室と共同飼育することにより、現在100頭あまりと国内でもトップレベルのコロニーを保有している。マーモセットは旧世界猿に属しヒト或はチンパンジーから遠いものの、成獣でも体重が500グラム程度しかない小型サルであることから取り扱いやすい。また年に2回程度妊娠し、一度の分娩に2から3頭出産することから、繁殖効率が高い。我々はヒト特有の疾患である生活習慣病の霊長類モデルの創出に取り組んでおり、将来的に生活習慣病の病態解析或は治療薬開発に役立てたいと考えている。

教室の沿革

 生体情報薬理学分野(旧薬理学講座)の創設は、昭和19年4月に前身の県立鹿児島医学専門学校において、熊本医科大学より小島喜久男が初代薬理学教授に着任したことに始まった。記録によると、戦後混乱期の物質が乏しい中、助手に松崎善彦と肥後勇(その後それぞれ助教授に昇進)を迎え、「ヤリクリ教室」さながらに教室の創立に努力した。」その後、藤崎正、中島知徳、古謝武志、清水隆雄など多くの優秀なスタッフを迎え、昭和52年4月の定年まで、循環・呼吸の薬理、駆虫剤、ハブ毒、或は漢方薬と多方面の研究を展開した。なお、小島教授は、在任中より気管支喘息などの持病で健康を害され、退官された年の暮れに逝去された。
昭和52年9月に、2代目薬理学教授として、福田健夫が九州大学より赴任した。福田教授のもと、教室の主な研究テーマは、中枢神経薬理学となり、藤崎助教授、古謝講師、清水助手、入船助手らとともに脳内アミンと行動薬理、抗けいれん薬、タウリンの中枢神経薬理、脳内セロトニンと鎮痛、などに関する研究が活発に行われた。福田教授は、筑波大学の神経内科から出水干二を助教授として迎えるなど、臨床医学と関連性の深い薬理学研究を展開されたこともあり、麻酔科、第3内科、整形外科、産婦人科、薬剤部などから多くの若い大学院生或は研究生を迎え、薬理学教室は活気のある研究室へと発展した。残念ながら出水助教授は平成元年に肺がんのため若くして亡くなられた。平成2年に本学第3内科より野元正宏を助教授として迎え、げっ歯類からマーモセットなど霊長類を対象とした薬理学へ、また行動薬理学から、脳微小透析法による脳内アミン動態の解析などの神経化学的研究へと研究領域が大きく発展していった。福田教授は平成12年3月に定年退官された。
平成12年11月に、3代目薬理学教授として、宮田篤郎が国立循環器病センターから赴任した。平成13年5月、野元助教授は愛媛大学医学部に新設された臨床薬理学講座の初代教授として転出した。宮田教授は、清水講師と岩田助手に加え、平成15年4月に京都大学医学研究科博士課程を終えたばかりの井上和彦を助手として迎え、それまでの教室のテーマであるパーキンソン病、痛覚伝達に関する神経薬理学的研究に加え、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド(PACAP)に関する研究を展開した。平成14年4月に医学研究科と歯学研究科が再編統合され医歯学総合研究科として部局化されるに伴い、医学部薬理学教室は、生体機能制御学講座の生体情報薬理学分野となった。さらに平成16年4月に、鹿児島大学は、国立大学法人鹿児島大学へと変わった。平成19年9月に岩田講師は、鹿児島純心女子大学看護栄養学部教授として転出した。平成21年4月に金沢大学薬学部より神戸悠輝を助教として迎え、さらには平成22年5月に東京医科歯科大学医学部より栗原崇を准教授として迎え、現在に至っている。

1)小島喜久男教授時代(昭和19年から昭和52年)(小島喜久男教授退官記念業績集より抜粋)
チオアセタゾンの駆虫作用について、頸動脈洞反射と薬物の呼吸作用、周期性波動呼吸に関する薬理学的研究、薬物中毒の救急療法、硫黄鉱山中毒、細胞内微小電極による心臓機能の薬理学的解析、生薬の研究、有機水銀中毒及び解毒に関する研究、ハブ毒の中毒学的及び免疫学的研究

2)福田健夫教授時代(昭和52年から平成12年)(福田教授退官記念業績集を参考)(福田健夫教授退官記念業績集より抜粋)
脳内アミン変動動物の行動薬理学的研究、けいれん発現機構に関する研究、血液脳関門の透過性に関する研究、PCBの中枢毒性、タウリンの中枢薬理学的研究、脳内セロトニン変動と鎮痛効果、カプサイシンによる角膜混濁に関する研究、不随意運動に関する薬理学的研究、パーキンソン病治療薬に関する研究、不随意運動発現機構に関する研究、興奮性アミノ酸とその拮抗薬に関する研究、けいれんの発現機構と抗けいれん薬に関する研究、鎮痛薬の作用機序に関する研究

生体情報薬理学

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