鹿大院医歯学総合研/医学部/旧第二生理学

研 究 業 績


 神経病学講座・神経筋生理学分野(旧第二生理学教室)では、神経・筋細胞の興奮性の基礎をなす細胞膜のイオンチャネルに関する総合的な研究を行っています。現在の主な研究テーマは以下の通りです。

 1. 神経、筋のCaチャネルの調節機構に関する研究

 2. イオンチャネルの分子構造、遺伝子に関する研究

 3. 海産生物毒のイオンチャネルに対する作用

 4. 神経細胞のイオンチャネルの生理学的研究

 5. イオンチャネル異常が関与する神経筋疾患の病因、病態に関与する研究


 aチャネルの調節に関する研究

 Caチャネルの調節に関する研究では、約20年程前に亀山らがCaチャネルの活性を調節する未知の細胞質因子の存在を発見して以来、その分離、同定をクロマトグラフ法などで行うとともに、その作用機構についてパッチクランプ法を用いた研究を行ってきました。その結果、調節因子は、プロテアーゼインヒビターであるカルパスタチン、Ca結合蛋白カルモジュリン、ATPであることが明らかになりました。作用の強さの点から、カルモジュリンとATPが生理的に重要な因子であると考えています。現在、カルモジュリンのCaチャネル調節機構に重点をおいて研究を進めています。


 イオンチャネルの分子構造、遺伝子に関する研究

 Caチャネルの分子構造について、チャネルリン酸化やカルモジュリン結合部位などの観点から研究を進めています。また、Naチャネルの遺伝子構造をスプライシング解析により研究しています。


 海産生物毒のイオンチャネルに対する作用

 水産学部の尾上名誉教授の指導により、オニダルマオコゼのヒレ毒verrucotoxinの心筋イオンチャネルに対する作用機序を研究しています。Verrucotoxinがβアドレナリン受容体を介してAキナーゼ依存的にCaチャネル電流を増大させることや、αアドレナリン受容体を介してCキナーゼ依存的にATP感受性Kチャネルを抑制することを明らかにしました。


 神経細胞のイオンチャネルの生理学的研究

 神経細胞のイオンチャネルの研究については、中国医科大学の研究グループと共同して、Naチャネルの発現や分布などについて研究を行っています。


 イオンチャネル異常が関与する神経筋疾患の病因、病態に関与する研究

 神経疾患・老年病学分野(旧第三内科)との共同研究として、Issacs症候群(神経性ミオトニア)の発症機序について研究を行い、患者血清中に抗Kチャネル抗体が出現し、神経のKチャネルを抑制することを明らかにしました。さらに、このような自己抗体に起因する病態が他の類似疾患でも見られることを明らかにしました。


発 表 論 文 (2016-1999)


 英文論文

 和文総説

5.

亀山正樹、蓑部悦子、徐建軍、韓冬雲、H. Asmara、亀山亜砂子、封瑞、劉書源、?麗英. カルモジュリンとATPによるL型Cav1.2 Ca2+チャネルの調節. 日本薬理学雑誌 1445号:222-6, 2014

4.

亀山正樹、封瑞、劉書源、蓑部悦子、徐建軍、亀山亜砂子、Hao麗英. L型Cav1.2 Ca2+チャネルのATPによる調節. 日本生理学雑誌 76巻5号:191-1922014

3.

亀山正樹. 健康談議痛くて不快な「こむら返り」.国保かごしま 第552 18-19, 2009

2.

亀山正樹, 林茂昭. Kチャネルと末梢神経疾患.医学のあゆみ 201(13):1138-1142, 2002

1.

亀山正樹, 亀山亜砂子, 貝原宗重. CaチャネルとCaチャネル阻害薬.Cardiologist 3(6): 385-389, 1998