教授あいさつ

Welcome aboard!

 鹿児島大学呼吸器内科は2010年6月開講。今年4月にプレハブの研究棟から共同研究棟への医局を移転しました。診療や教育が軌道に乗ってきましたし、研究体制も整い、論文業績も出せるようになりました。

 当科は、肺炎、喘息、肺癌、COPD、間質性肺疾患、呼吸不全などの診療・教育・研究を担当する呼吸器に特化した内科です。しかも、免疫能が低下した場合にみられる日和見感染症、膠原病や様々な疾患に伴う肺病変も当科の診療範囲ですので、全身を診ることを常の姿勢としています。さらに、分析力と判断力をもった臨床医を育てるために、社会的・心理的な視点からも質の高い医療を提供することを心がけ、積極的に研究も推進しています。

 呼吸器内科医は、内科医としての呼吸器部門を担当するだけでなく、クリティカルな救急・集中治療の現場に対応するために、呼吸管理・画像診断・気管支鏡検査・胸腔ドレナージ・呼吸機能検査などの専門的知識や技術を身につけます。さらに、かかりつけ医としての診療や健診に応用できる基本手技と汎用性があります。肺病変は全身のさまざまな疾患に伴うことも多いので、新しい内科専門医制度にも十分に対応することができます。「内科専門医」の取得はもちろん、「呼吸器専門医」の資格取得までの指導体制と研修システムを充実させ、確実にルートを歩む機会を準備しています。勿論そこでは、モチベーションを持って努力を続けることが必要です。そして是非、海外留学も考えてみましょう。

 環境要因や病原体の変化により呼吸器疾患の患者数は増加の一途をたどり、WHOは今世紀の人類にとって呼吸器疾患が最も重要な問題になると警鐘を鳴らしています。高齢化社会を反映して、日本でも呼吸器疾患が急増すると予測されており、今後、われわれ呼吸器内科医の果たすべき役割はますます重くなるばかりです。難治性の呼吸器疾患の病態解析や新しい治療法の開発、肺の再生は困難な領域ですが、それらを乗り越え、患者さんを救う一助となることが我々のよろこびです。  最近では、肺癌の分子標的薬や免疫療法の進歩、死亡率を改善するCOPD治療薬の登場、肺線維症に対する新薬など、いくつものブレークスルーにより、呼吸器疾患では多くの恩恵がもたらされています。呼吸器内科は、間違いなく今ハイライトされているのです。

 呼吸器は生死にかかわる重要臓器であり、呼吸器内科は医師として “やり甲斐のある科”です。また、開講以来、内科を総合的に診る姿勢を貫いてきました。若い諸君は戸惑うかも知れませんが、教室には立場を越えた開放的な議論の場があります。先輩達は君らの意見に耳を傾けてくれることでしょう。そして、積極的な意見交換が相互理解を生み、新生 鹿児島大学呼吸器内科を躍進させてくれると信じているからです。我々は、メンバーの自律性を促し、後進を育てる重要性を医局員全員で共有しています。新しい人材を迎える扉は大きく開いているのです。
 Welcome aboard! Welcome to your CHEST family!ともに勇気と使命感を持って、新しい世界を切り開きましょう。

( 2015年11月 )


鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 呼吸器内科学 教授
井上博雅