第32回:床ずれ予防と管理

まめに体位変換、観察を

 床ずれ(じょくそう)は、脳卒中や脊髄(せきずい)損傷などの人が長時間寝たきりになることで生じます。
 じょくそうは、体の重みで血流が悪くなった皮膚や筋肉の組織が、徐々に壊死(えし)して起こります。仙骨部など骨が出っ張った部分にできやすく、皮膚のただれから潰瘍(かいよう)になる場合もあります。骨まで達するような重症では、皮膚移植も必要になります。痛みや不快感のほか、出血や分泌物の漏出が感染症を誘発して体力を消耗し、本来の病気のリハビリも困難になります。
 50歳、男性のAさんは、脊髄動脈の損傷で下半身まひとなり、当センターに入院されました。仙骨部に直径約3センチ、深さ0.5センチのじょくそうがあり、ジクジクした浸出液も出ていました。
 治療では、(1)二時間ごとの体位変換で背中の圧迫を避ける、(2)シャワーと傷の処置で患部を洗浄して分泌物を洗い、血流を改善、(3)人工ゲル皮膜をはり乾燥を防いで、上皮細胞が早く再生できるようにする。人工ゲル皮膜は週一回交換、(4)栄養改善とタンパク同化ホルモンの処方−を行いました。当センターで開発した「人工炭酸泉浴剤」を使った温湿布も使いました。炭酸ガスと温熱の作用が血行を改善し、治癒を促してくれるのです。
 Aさんの場合、下半身まひで体重が腎(でん)部に集中するため、はったゲルがめくれたり、別の部分がただれたりして一進一退でした。それでも六カ月後には何とか治癒。車いすの移乗や自己導尿もできるようになって退院しました。
 じょくそうは予防が一番大切です。漫然と寝かせたまま点滴を続けず、意識障害や重いまひの人でも、二時間ごとの体位変換をしてください。脳卒中や手術のあとでも、一週間後には体を起こすよう心掛けてください。特に脊髄損傷の人は気をつけないと、じょくそうが再発することもあります。
 予防策は、(1)毎日鏡で臀部を観察、(2)臀部を保護するオイル塗り、(3)車いすにエアクッションを置き、腕でヒップアップの運動をする、(4)皮膚の摩擦が少ない海水パンツ、サテン揃のシーツの利用−などです。じょくそうの予防・治療が、リハビリの効果にもつながります。
(鹿児島大学医学部霧島リハビリテーションセンター看護部・土橋和子、田畑節子)

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