第36回:遊ビリテーション

楽しさが訓練効果生む

 リハビリというと「苦しい」、あるいは「きつい訓練」という表現がしばしば便われます。もちろんリハビリは決して苦しいものではありませんが、その中に遊びや楽しみの要素を取り入れることは非常に大切です。
 「遊ぴ」は生活の中で重要な意味を持っています。体を使った遊びなら筋肉や心臓、肺を活性化し、知的な遊びは脳の蓑えを防ぎます。また他の仲間と遊ぶことで、豊かな人間関係を築くこともできます。
 リハビリの重要な分野に、陶芸や刺しゅうなど物を作る楽しみを通した「作業療法」があります。私たちは、さらに「遊び」をリハビリに取り入れた「遊ビリテーション」にも取り組んでいます。
 毎週土曜日の午前中を利用して「遊ビリテーション」を行っており、風船パレーや輪投げ、玉入れなどは最も簡単に楽しめるものです。また二列に分かれて座り、新聞紙で作った棒でゴムボールを相手ゴールヘ入れる棒サツカーや、覇いすリレーなどもあります。障害の軽い人も、車いすレベルの重い人も一緒にゲームを楽しんでいます。一人ずつ順番に行うゲームもありますが、やはりグルーブで勝敗を競うゲームが評判がいいようです。
 それぞれのゲームは、リハビリとしての手足の関節の動きや協調性の訓練、筋力の強化の要素を含んでいます。また周囲への注意や集中力の訓練、応援による発声訓練などの意味もあり、それをみんなで楽しみながら行えるわけです。
 人は体よりも頭で生きています。リハビリで機能が回復しても、退院後自宅にこもりがちとなり、機能がどんどん低下する人も見られます。単調な生活や孤独が本人の意欲を減退させ、体力を奪ってゆくのです。「遊ビリテーション」はみんなで一緒に遊び、笑い、共感することで、リハビリの意欲や自立の意識を高めます。
 「遊ビリテーション」は入院中だけでなく、退院後のデイケァや市町村の機能訓練教室などでも、もっと取り入れてほしいものです。それが単調な毎日に活力を与え、訓練効果も大きく高めることになります。
 (鹿児島大学医学部霧島リハビリテーションセンター・堀ノ内啓介、田中信行)

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