第42回:つえの選び方

見た目より機能を重視

 つえというとまず足の骨折やまひが思い浮かぶように、つえの第一の役割は体重を支えることです。脳卒中などによる下肢の筋力の低下のほか、腰やひざの骨・関節の変形、痛み、足の切断など、自分の体を足で支えられなくなったときに重宝します。歩くときのバランスをとったり、転倒や下肢の変形の予防にも使えます。
 お年寄りで足腰が弱った人のつえはまさに「転ばぬ先のつえ」です。足が不自由なのに見た目を気にして使いたがらない人がいますが、歩く機能を維持することや転倒防止を第一に考えるべきです。目が悪くなれば眼鏡を、耳が遠くなったら補聴器を使うのと同じなのです。
 つえの形や長さはいろいろあります。材質も軽い木やアルミ、合成樹脂製があるので、それぞれ使う人の状態に合わせて選んでいきます。手の力が十分ある人、また脳卒中でも下肢機能の回復のよい人などは簡単なT字形のT字つえがおすすめです。軽くて多少でこぼこ道でも自由自在に使え、握りや長さも調整できます。つえの先端にゴム製のキャップをつけると当たりが柔らかくなり、滑りも防げます。
 歩行時にふらついたり、体重の大半をつえにかけないと歩けない人には四点支持つえを使います。先が四つに枝分かれしているので、体を支える力は非常に強くなります。しかし四つの先端がすべて地面につかない砂利道や、でこぼこ道ではかえって不安定になるので、室内での歩行訓練で主に使われます。小脳矢調症などの人に適しています。
 松葉づえはもっとしっかり体重を支えてくれるので、足の骨折や人工関節などの手術後によく使われます。脊髄(せきずい)損傷の人でも、腕や体の筋力が十分であれば足に装具をつけて松葉づえ歩行訓練をしてもらいます。手や肩の筋力が弱ってしまった人はロフストランドつえを使用するといいでしょう。F字形をしており、上部の輪に前腕部を入れるので、腕全体で体重を支えます。
 もっと足の力やパランスの悪い人にはコの字形歩行器や小さな車付き歩行器もあります。歩行訓練の初期や自力で歩けない人の寝たきり予防に使います。買い物袋付きのシルバーカーもつえの一種です。
 つえは第三、第四の足です。愛用のつえで行動範囲を広げて、人生をより楽しんでください。
 (鹿児島大学医学部霧島リハビリテーションセンター・二俣麻里子、田中信行)

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