第45回:入院しての生活訓練
家族も介助方法学ぼう
入院して行うリハビリは、訓練室での歩行訓練や筋力トレーニング、作業療法だけをするわけではありません。食事や排せつ、入浴などの日常活動に使えるようにする練習にも並行して取り組んでいきます。特に最近はえんげ障害や尿失禁、失認や失行など、退院後もリハビリが必要な人が増えているので、身近にいる看護婦から、自宅での介護法やリハビリ方法を教えてもらうことも大切です。
六十七歳、男性のAさんは脳こうそくの後遺症で左右の不全まひと、食べ物や水分をスムーズに飲み下せないえんげ障害、頻尿型の尿失禁などを抱えて入院してきました。
特にえんげ障害では食べ物を誤って気管に入れてしまい、肺炎を起こす、ということを何度も繰り返していましたから、初めは胃ろう(腹から胃にチューブを通す)を考えました。しかし本人の「口から食べたい」という意欲は強かったため、口腔(くう)アイスマッサージなどでえんげ力を鍛えることにしました。Aさんや家族の粘り強い努力の結果、水分と薬はチューブ注入するものの、食事はおかゆ状にとろみをつけれぱ口から食べられるまでに回復しました。
また寝返りや起き上がり介助のため、奥さんには腰を痛めない介助方法を教授。ただ、すぐに手を貸すのではなく、まずは見守って自立を促すことも教えました。
退院前には家族全員に病院に来てもらい、入浴や立ち上がりの介助の仕方、関節の拘縮を防ぐ訓練の手伝いを体験してもらいました。尿失禁にはぼうこうに良く効く薬を処方したので、家族には失禁の理由と薬の大切さを説明しました。
現在もAさんには排せつや入浴、食事に一部介助が必要ですが、訪問看護やデイサービスをうまく利用して生活しています。
障害者やお年寄りが自立した生活を送るには、家族や周囲の協力が不可欠です。しかし、家族が介助に疲れてしまわないよう、介護保険や福祉サービスのホームヘルプなどをうまく利用することも大切です。
(鹿児島大学医学部霧島リハビリテーションセンター・武田文夫、田中信行)
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