第51回:骨粗しょう症
カルシウム、運動で予防
骨粗しょう症とは、骨を作る細胞とそこに沈着するカルシウム塩、すなわち骨量が著しく減少した状態です。骨がもろくなり、骨折しやすくなります。
もっとも多い原因は老人性骨粗しょう症ですが、若くても長期間の寝たきりや手足のまひ、副腎(じん)皮質ホルモンの長期投与などが原因で起こります。診断は、腰椎(ようつい=腰の骨)や手根骨(手をつくる骨)のレントゲン撮影で骨量を量ったり、腰椎の変形がないかを見て判定します。
86歳、女性のYさんは、右大たい骨けい部骨折で手術を受けました。患部は回復しましたが、腰痛のため背中を丸めており、若いとき155センチあった身長が145センチに縮んでいました。レントゲンを撮ると、腰椎の影が非常に薄く、変形や圧迫骨折も見られて、重度の骨粗しょう症と診断されました。手術後ほとんど寝ていたため手足の筋力も弱り、軽い痴ほう症状もありました。
リハビリでは、Yさんを早く立たせて運動させることを目指し、こ関節の可動域訓練と座位の訓練を始めました。腰椎コルセットを作り、活性型ビタミンD3の服用や骨吸収を抑制するカルシトニン注射も行いました。入院2週目には自力で起き上がれるようになり、歩行訓練に移りました。温水プールでの水中訓練は血流も改善し、最も効果がありました。4週目には腰痛が軽くなってコルセットを外すようになり、3カ月後には1本づえで歩けるようになりました。痴ほうの進行も見られず退院しました。
骨粗しょう症が進行したものはレントゲンでも分かりますが、そうなる前にX線吸収率やDEXA(二重エックス線吸収法)での診断が大切です。予防や対策は、
(1)骨量を増やす牛乳(1日500ミリリットル)や小魚などでカルシウム摂取量を増やす
(2)造骨を促す運動(1日8000歩)
(3)活性型ビタミンDを増やす適度な日光浴−が大切です。
「骨は1日にして成らず」。10−20代から丈夫な骨を作っておくべきです。特に女性は閉経後に骨量が減るので、多めのカルシウム摂取や運動を心がけてください。骨粗しょう症はやせた人に多く、若い女性の「やせ志向」は問題です。場合によっては女性ホルモン補充療法も必要です。お年寄りなら転倒防止のため、かねてから足腰を鍛え、段差の解消や手すり、照明にも留意してください。
(鹿児島大学医学部霧島リハビリテーションセンター・今川康稔、田中信行)
目次に戻る