第63回:脳卒中の再発予防
危険因子抑え治療継続
脳卒中には高血圧、糖尿病、高脂血症、心房細動、喫煙、ストレスなど多くの「危険因子」が関与しています。医療と行政が協力してこの危険因子の抑制に取り組んだ結果、「発症年齢」は遅らせることができましたが、「発症総数」は増え続けています。高齢化に伴う血管障害の増加が原因といわれています。予防への取り組みでは「数」を減らせないため、発症後に残った機能障害へのリハビリが課題となっているわけです。
脳卒中は大変再発しやすい病気です。いったんリハビリで歩けるようになっても、再発すれば何にもなりません。危険因子を抑えることで再発のない良好な状態を続けたいものです。
高血圧の治療の一環として、薬局や電器店にある家庭用血圧計の購入をおすすめします。服薬して2−3時間してから測ると薬の効果を確認できます。結果は主治医にとっても貴重なデータになりますので記録しておいてください。
最近では単に血圧を抑えるだけでなく、血管の壁を傷める物質(アンギオテンシン2など)を抑える薬を併用して、血管を守ることも大事とされています。血しょうレニン活性が 低い場合は、少量の利尿剤の併用が有用でしょう。このような「少量多剤併用」は副作用が少なく、相乗効果で血圧も下がります。ただし血圧値の急な低下は危険なので、家庭での血圧値を基に主治医とよく話し合ってください。
また脳こうそくや心房細動がある人には、血液や血小板の凝集を抑える薬が欠かせません。入浴は激しい発汗や熱い湯を避け、ふろから上がった後はコップ1−2杯の水を飲むことをすすめます。
糖尿病は全身の血管を傷める病気のため、もっとも注意深い管理が必要です。主治医と相談しながら、簡便な自己血糖測定器などを活用してください。
コレステロールや中性脂肪と脳卒中の関係はあまり明確ではありませんが、やはりコレステロールは1デシリットルあたり200ミリグラム以下、中性脂肪は同150ミリグラム 以下が望ましいでしょう。これも1種類の薬で効果がなければ、作用の違う薬を少しずつ合わせると下がることが多いようです。
脳卒中の再発は痴ほうや寝たきり、えん下障害の最大の原因です。「リハビリと予防は表裏一体」と肝に銘じ、継続して治療してください。
(鹿児島大学医学部霧島リハビリテーションセンター・川津学、田中信行)
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