第64回:機能の維持
専門家に定期的相談を
Mさん(67)は3年前、脳出血で右半身まひになりました。霧島リハビリセンターに入院、約5カ月の訓練を経て、つえと装具で歩けるようになって退院しました。しかしその 約1年後、下肢が突っ張ってほとんど歩けなくなった、と戻ってこられたのです。突っ張り(痙性=けいせい)と足先が突っ張って内側にねじれる状態(内反尖足=せんそく)で、足底が床につかず装具も合わなくなっていました。これで体重を支えられるわけはなく、歩けないはずです。
すぐ再入院になり、突っ張りを抑える薬の投与や、突っ張りの原因となっているふくらはぎの筋の神経ブロック注射を受けました。また尖足を矯正する起立台に立って、ふくらはぎの筋肉を毎日10分引き伸ばしました。突っ張りが改善されてきてからは、ひざの屈伸練習や歩行訓練を徹底して行いました。足に合わせて装具も作り直して、Mさんはまた、つえで歩けるようになりました。
一度リハビリで身体機能が回復したからといって、家でのリハビリをやめたり、自己流の訓練や悪い姿勢でいたりすると、機能は再び低下します。良い状態で保つためには継続したリハビリが大切なのです。
洗面、食事、着替え、トイレ、入浴といったADL(日常生活動作)など、自分でやれることはどんどん自分でやるべきです。周りの人も、時間がかかるからといって過剰な手出しや手助けをしてはいけません。
しかし、自分でできるからといって、さくやひもを握って 起き上がる自己流の方法を編み出したり、つえや装具の使用をやめたり、単に楽な方法を取ると、筋肉の突っ張りや関節の痛みが出てくる原因になります。Mさんの場合もまさにそれだったようです。定期的にリハビリ専門医や理学療法士、作業療法士に会い、歩行や起き上がりの様子、装具の具合をみてもらう方がよいでしょう。
リハビリは1回きり、というものではありません。再発作はもちろん、機能が低下してきたらすぐ医師や療法士に相談し、それに応じた新しい訓練や装具の調整をすべきです。入院だけでなく、自宅で療法士の指導を受けられる訪問リハビリや通所リハビリもありますので、自分の生活に合ったものを選んでください。
(鹿児島大学医学部霧島リハビリテーションセンター・二俣麻里子、田中信行)
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