第71回:神経原性疼痛
「ブロック治療」が有効
軽い外傷や手術、抜歯などの後に、病気そのものは治ったのに、その部分の痛みが何カ月、何年も続くことがあります。これらのなかでも、反射性交感神経性ジストロフィーとか、カウザルギーといわれる疾患は、特に焼け付くような、あるいは強い電撃を受けたような激しい痛みを起こします。これらは、脳血管障害や帯状疱疹ヘルペス後にみられることもあります。
初めはしばしば疼痛部の皮膚が熱感を持ち、はれてテカテカ光り、進行すると皮膚が萎縮し、皮膚温も下がります。シャツの布が軽く触れたり、風に吹かれるだけで強い痛みが誘発されます。そのために痛みのある部位を動かさないでいると、関節が硬くなったり(拘縮)、筋肉が衰えていわゆる廃用症候群という二次的な問題が起こります。このような疾患に対しては、ペインクリニック科での専門的な治療が、リハビリと並行して重要になります。
Nさんは追突事故に遭い、最初は軽いむちうち症状だけでしたが、次第に首の後ろから肩にかけて痛みが強くなりました。左手がしびれ、触られるだけで我慢できないほどで、家事どころか左手を全く動かせなくなりました。反射性交感神経性ジストロフィーと診断され、ペインクリニック科で局所麻酔薬の静脈内投与や硬膜外ブロック、麻酔薬のケタミンの持続点滴、星状神経節ブロック、腕神経叢ブロックなど、あらゆるブロック治療が行われました。痛みは完全に消えませんでしたが、痛みに耐えながら腕や手の関節や筋肉を動かすリハビリを頑張って家庭復帰しました。
S氏は腰椎椎間板ヘルニアの診断で手術を受けましたが、手術後も腰から下肢の激しい痛みが続き、両下肢カウザルギーと診断されました。ペインクリニック科で、Nさんと同様の種々の神経ブロック治療や、硬膜外刺激装置植込術、腰神経後枝内側枝高周波熱凝固などを試しました。さらに薬物療法として抗うつ剤を内服し、痛みは軽減しました。
このような痛みはいわゆる鎮痛剤はほとんど効きません。病院を転々とし、気分的にも落ち込んでしまいます。ぜひ、専門のペインクリニックで積極的な治療を受けるとともに、廃用症候群の予防のためリハビリに励むことが重要です。
(鹿児島大学医学部霧島リハビリテーションセンター・横山知子、田中信行)
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