第83回:高齢者の不眠症
生活リズムの調整必要
睡眠は、起きている間の心や体の疲労を回復させるのに大切です。特に高齢者やリハビリ中の人が不眠になると、体力を消耗してしまいます。そのため日中の集中力や記憶力が低下して訓練は停滞、転倒の原因にもなりかねません。夜は眠れないため深夜に起き出したり、周囲の家族に不満や苦痛を訴えたりして、介助量を増やす要因にもなります。
高齢者の不眠の場合、1日の睡眠時間全体は増加するのですが、昼間ウトウトする分、夜の睡眠が短縮します。寝付きが悪く途中目が覚めますし、朝も早くなります。また浅い睡眠が長く、深く眠っている時間が少ないため、睡眠効率は低下しています。
心や年齢以外の不眠の原因としては、病気やけがによる体の痛みや頻尿、脳卒中による夜間せん妄、狭心症や心不全などの心疾患や睡眠時無呼吸症候群、気管支ぜんそくなどが挙げられます。降圧剤や気管支ぜんそくの薬も不眠の一因になります。1人暮らしによる生活リズムの乱れや不安、うつ傾向も大きな問題です。
対策にはまず起床・就寝時間を一定にします。日中は適度に運動し、昼寝を30分程度にとどめて生活のリズムをつくることです。食事摂取は体温を高め不眠の原因になるので、就寝2時間前には済ませましょう。お茶やコーヒー、たばこも控えてください。
騒音や部屋の温度、寝具や照明の調整も大切です。静かな音楽や淡い香りも心を落ち着かせ、快い眠りに誘います。ぬるめの湯を使い入浴、足浴しても効果的です。
それでも眠れない場合は睡眠薬を用いますが、作用時間の長いものから短いものまであり、不眠のパターンによって使用する薬が異なります。高齢者は体内の薬の代謝が悪く、服用した翌日までぼーっとすることがあります。転倒の原因にもなるので、決められた量以上は飲まないでください。薬をやめる場合も、反動で一時的に副作用が出ることがありますので、主治医と相談しながら中止してください。
高齢者の不眠にはいろいろな要素が絡み合っています。不眠の原因や生活リズムの調整、適切な薬の服用を主治医とよく相談することが大切です。
( 鹿児島大学医学部リハビリテーション医学講座・ 又吉達、田中信行)
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