第93回:パーキンソン症候群
原因特定しリハビリを
以前本欄で脳のドーパミンの欠乏で手のふるえや身体の動きが鈍るパーキンソン病
の治療やリハビリについて述べました。今回のパーキンソン症候群は、さまざまな病気や薬の副作用によって、ドーパミンがでた後の脳の経路が障害されパーキンソン病と同じような症状がでるものです。
多発性脳梗塞(こうそく)によるものが最も多いのですが、向精神薬や一酸化炭素中毒、マンガン中毒、脳腫瘍(しゅよう)などで起こることもあります。原因が薬の場合は中止することで比較的良くなりますが、その他の場合はドーパミンが働いた後の経路でおこっている病気なので、パーキンソン病に効果のあるL-ドーパ系の薬が効きにくいのでやっかいです。
症状はパーキンソン病によく似ていて、筋肉が硬くなるため表情や体の動きが鈍くなり、バランスが悪く、歩こうとしても転倒したり足がすくんだりします。
Aさんは軽い脳梗塞のあと夜になると幻覚が出て騒ぐため(夜間せん妄)、それを抑える薬を処方されました。夜間せん妄は良くなったのですが、次第に動きが鈍く転びやすくなりました。当科にきて薬によるパーキンソン症候群と診断し、薬を減らしたところ、良く動けるようになりました。
Bさんは軽い脳梗塞が積み重なってだんだんと歩けなくなりました。強いまひはないのに筋肉が硬くバランスが悪いことから、パーキンソン症候群と診断しました。L-ドーパ薬などへの反応も悪いため、筋力の低下や関節の拘縮、心肺機能の低下を防ぐリハビリに最も力を入れました。手足の関節の屈伸や体のひねり、深呼吸を数回、1日4回は行い、1日100回のいすからの立ち上がりや1日2000歩の介助歩行で、動きも筋力もある程度改善し、自宅へ帰ることができました。
以上のように、同じような症状でもパーキンソン症候群ではその原因をはっきりさせて治療を始めるべきです。しかし、原因やL-ドーパ薬の効果がどうであれ、パーキンソン病でもパーキンソン症候群でもリハビリの重要性は変わりません。薬だけに頼ることなく、手すりや衣類など工夫しながらなるべく自立した生活をしましょう。そして、家族や訓練士の協力を得ながら積極的に運動し機能向上・維持に努めることが大切です。
(鹿児島大学医学部霧島リハビリテーションセンター・山中弘子、田中信行)
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