第100回:訪問看護

医療支援からケアまで

 障害を持つ方が家庭で生活するために、特に介護保険が出てきてから、いろいろな 制度が設けられました。
 その一つに訪問看護があります。主治医からの指示書に基づいて看護婦が週に数回、患者さんのお宅に訪問するものです。血圧測定や全身状態の診察という医療的な支援から、服薬や、介護の仕方の指導、家族の精神的支援、在宅でのリハビリテーションの導入まで、幅広くかかわっていきます。
 67歳のAさんは、10年ほど前に脳幹部の脳出血を起こし、両方の手足のまひと嚥下障害が残りました。病院や施設で加療やリハビリテーションを行った後、今は自宅で奥さんと暮らしています。食事は腹壁と胃を管で直接つなぎ、流動食を取っています。自分で寝返りができないので、2時間ごとに介助で体位の変換が必要ですが、排せつは尿器で行っています。
 近くの訪問看護ステーションから週に2回、看護婦が訪問しています。だ液の誤嚥があり、肺炎や気管支炎を起こしてたんが多かったため、たんを吸引する器械の購入を勧めました。器械の使い方を看護婦から奥さんに指導してもらい、いつでもたんを吸引できるようになったため、奥さんの不安も解消されました。今では、本人の呼吸の状態も落ち着き、奥さんと一緒に起きあがりの練習をしています。
 88歳のBさんは、長年の糖尿病が元で閉塞性動脈硬化症になり、左脚の膝から下を切断しました。義足は作らず車いすで退院し、自宅で週に2回の訪問看護を受け始めました。精神的に落ち込みが大きく、家では自分から何もしようとはしないため、看護婦にはBさんに話しかけ、励ましとともに切断肢の処置や車いす操作などをなるべく自分でできるように指導するよう伝えました。
 血糖の検査や食事の指導、身のまわりの動作の訓練も行った結果、Bさんは徐々に自信を取り戻し、血糖も安定してきました。今では車いす操作も上手になり、看護婦と一緒に散歩することを楽しみにしています。
 このように訪問看護とは、訪問の看護婦と主治医、またほかのリハビリテーションのスタッフやヘルパーとも話し合いながら、家庭という生活の場で医療と看護を行うものです。
 利用の方法や内容に関しては、近くの訪問看護支援センターやかかりつけの病院に問い合わせてください。
 (鹿児島大学医学部霧島リハビリテーションセンター・松窪いずみ、田中信行)
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