第103回:介護保険の理念
機能維持重視のプランを
介護というと、何か体の不自由なお年寄りの介助や手助けをするという印象があり
ます。しかし、昨年から始まった介護保険の理念は、「できるだけ在宅で自立した生活」を目指すことであり、決して単に障害のあるお年寄りのお世話をするだけの制度ではありません。
お年寄りであっても介護度は決して不変なものではなく、リハビリの有無により大きく変わってきます。
日本リハビリ医学会では介護保険でも、「リハビリ前置主義」、つまり今の介護度になる前にリハビリは十分に行われたのか(もうリハビリで改善の余地はないのか)ということと、「維持的リハビリ」、つまりリハビリの継続で今以上の介護度の悪化を防ぐことを最も重視しています。
介護保険によるサービスは、認定された6段階の介護度を基本にケアマネジャー(介護支援専門員)と本人・家族の話し合い、それに主治医の意見書をもとに介護計画(ケアプラン)が作成されます。
介護保険で受けられるサービスの種類は多数ありますが、患者さん本人への直接的支援としては、(1) 病院、施設への入院、入所(1週間程度の短期も含む)(2) 訪問、あるいは通所リハビリや医療 (3) 在宅での生活支援− に大別されます。
寝たきりは筋力や関節の動き、心臓や肺、精神機能を低下させ(廃用症候群)、種々の合併症を起こして介護度を確実に悪化させますが、それを防止する唯一の手段が歩行や運動、レクリエーションなどのリハビリです。
ケアマネジャーの本来の職種はいろいろですが、ぜひ、このリハビリの効果や方法について十分勉強すべきです。本人や家族にも、リハビリを取り入れた積極的なケアプランを勧めてほしいものです。
もし作成されたケアプランが常識的な家事や入浴介助、買い物などの生活支援中心で、リハビリの少ないものであれば、自律や維持機能どころか寝たきりを促進する可能性さえあるからです。
介護度は本人の障害の重さだけでなく、リハビリとのバランスで決まるという意識を持って、主治医の意見も聞きながらリハビリの継続に努めるべきです。
「できるだけ在宅で自立を」の理念を進めるため、機能維持のための訪問、あるいは通院、通所リハビリを組み込んだ介護計画が最も大切だと思われます。
(鹿児島大学リハビリテーション科・田中信行)
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