第112回:まひした手足の腫れ

関節を動かす訓練十分に

 

 脳卒中などで手足がまひするといろいろな原因で手や足に腫(は)れ(浮腫・ふしゅ)が出現することがあります。静脈血やリンパ液の循環には、血管自身の収縮に加えて筋肉のポンプ作用、すなわち手足の運動による筋肉の収縮が重要です。

そのため、特に足を垂らして長時間同じ姿勢でいると、健康な人でも足がむくむことがありますが、まひがある人ではなおさらです。ただし、まひのない手足や顔のむくみは、心臓や腎(じん)臓、甲状腺の病気などが考えられるので注意が必要です。

まひした手足の浮腫をほっておくと、浮腫のために関節が動きにくく、ついには固まってしまう(拘縮)ので注意が必要です。浮腫の予防には、まず、数時間ごとに上肢、下肢の各関節を10回程度十分に動かすこと(関節可動域訓練)が最も大切です。自分で動かせない場合には、介護者や訓練士が他動的に動かしてあげます。また、入浴やマッサージで循環をよくすることも大事です。

さらに(1)体位を変えたり起こすときにはまひした腕を痛めないように扱う(2)手を肩まで上げられないような状況では、座っているときや歩行中は三角布やアームスリングなどで腕を支える(3)寝るときはクッションなどを利用して手足を少し高めにして休む−なども大切です。

また、まひした手足の浮腫に痛みや熱感を伴うものは、上肢であれば肩手症候群、下肢であれば深部静脈血栓症、蜂窩(ほうかい)織炎などが考えられ、それぞれ早期治療が大切です。肩手症候群の治療には、ステロイドが最も有効ですが、いろいろな物理療法も行われます。家庭でも簡単にできる温冷交替浴は、バケツや洗面器を二つ用意して、水道水に30秒間、そして40度程度の温水に2−3分間、上肢を交互につけます。これを4−5回くり返し、最後は温水で終わります。これは温水と冷水の刺激で血管の伸び縮みを促し末梢(まっしょう)循環を良くします。

 一方、下肢深部静脈血栓症は、下肢の深部静脈に血液の固まりができて静脈の流れが悪くなるもので、足が腫れて熱感や痛みを伴います。予防は下肢を早くから動かすことですが、発症後は動かすと血栓がはがれて、肺の血管につまってしまう(肺塞栓・はいそくせん)危険があるので、安静にして血液凝固抑制剤を使います。

重度まひや肥満、喫煙、糖尿病などがあると起こりやすいので、症状が出たら早めに病院を受診してください。

( 鹿児島大学医学部リハビリテーショ鹿児島大学医学部リハビリテーション科・ 下堂薗恵、田中信行)

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