第133回:家屋改造

将来考え余裕ある計画を

 

 脳卒中や脊髄(せきずい)損傷、大腿(だいたい)骨骨折によるさまざまな障害も、リハビリテーションによって機能回復できます。しかし、家庭や職場に帰ると、つえや手すりを利用しての歩行や階段の上り下り、トイレの利用や入浴、家事もしなければなりません。日常生活では、車いすでの屋内外の移動やバスの乗り降り、駅、デパートを利用することもあります。

「できるだけ在宅」で「自立した生活」がリハビリや介護保険の目的です。そのためには、本人の努力に加えて、道路や駅、バス等のバリアフリー化や生活の場である家屋の改造、工夫など生活環境を改善することが必要です。

一般に日本家屋、特に古い家ほど玄関の上がり口や廊下が地面から高く、玄関に入るまでに何段もの段差がある家もあります。廊下と部屋との段差や和式トイレ、狭くてふちの高い浴槽など改造すべき点が多く、手足に障害がある人や車いす利用者、お年寄りには大きな問題です。

家屋改造には、まず主治医やリハビリ担当者から患者さんの歩行、移動の到達レベルや知能、判断力、車いすやつえなど装具が必要かどうかをよく確認します。そして本人の希望や家族、介助者の能力、現在の住居の状況、さらに市町村や介護保険からの補助金額、自分たちの費用の負担能力を考慮して計画を立てます。

改造のポイントは障害のレベルで異なりますが、(1)段差、手すり(2)トイレ、風呂(3)台所(4)居室とトイレの配置などが最も注目すべき点です。将来、本人だけでなく介護者も年をとることを考えて、余裕のある改造をしておく方がよいでしょう。

家屋改造の公的な費用補助を受けるためには、まず介護保険の認定を受け、早目に計画を立ててケアマネジャーに相談します。障害者の家屋改造に経験のある複数の業者で見積もりをして選ぶとよいでしよう。

介護保険の補助は上限20万円で、そのうち1割は自己負担です。市町村によってはそれにプラスした支援制度があります。例えば、鹿児島市の場合は住宅改造助成金事業として工事費100万円(上限)に対し、3分の2を助成します。他の市町村でも工事費80万円(上限)に対し市町村から3分の1、県から3分の1助成されます。しかし、各市町村で年に2、3件しか出ていません。

助成制度がない市町村もあるため、各市町村間の格差は今後ぜひ解消すべきものと思われます。

 

(鹿児島大学医学部リハビリテーション科: 野間 知一、田中 信行)

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