第134回:パーキンソン病

周囲の理解と見守り大切 

 

 パーキンソン病は、約180年前にロンドンの医師、ジェームス・パーキンソンが初めて報告した、手足が震える、動作が遅いといった特徴のある病気です。脳の「黒質」という場所のドーパミ

ンと呼ばれる物質を出す細胞の減少が原因ですが、ドーパミンが送られる「線条体」という部分が脳梗塞(こうそく)などでやられても同様の症状(パーキンソン症候群)が出ます。いずれも脳の

ドーパミン神経を活性化する薬をきちんと服用することと、適切な運動によるリハビリが最も大切です。

 この病気では、手足の筋肉が硬くなるため、関節の拘縮が起こりやすく、運動不足になりがちです。動作が遅いので周りの人が何でもやってしまうと、本人はますます運動不足になります。毎日

の散歩や運動とともに、自分でできることは自分でやることが大事です。パーキンソン体操やストレッチで硬くなりやすい筋肉をほぐしたり、特に硬くなりやすい腹や胸の筋肉を動かすために、深

呼吸や体をねじる運動を加えます。寝返りや起き上がりが困難な人には、固めの敷き布団やマットレスにし、掛け布団は軽くて体にまとわりつかないものにしましょう。

 Aさんは70歳の農家の主婦で、もともと畑仕事が好きでした。7年前から次第に動作が遅くなり、表情も硬く手も震え、小刻みな歩き方となり、5年前にパーキンソン病と診断されました。薬

で症状は少し軽くなったものの、動作が遅く、足が残り体が前のめりに動き出す突進歩行もあり、胸の筋肉の動きも悪いため、一時は肺炎にもなりました。当センターに入院し、パーキンソン病の

薬剤を調節し、積極的なリハビリ指導も行いました。今では、小さな菜園を作ったり、グラウンドゴルフにもよく参加しています。手が震えて、打つ前にスティックがボールに当たることもありま

すが、周りの人もよく分かってくれていて、「やり直してよかど」と言ってくれます。家族や地域の人たちの理解や見守りも非常に大切です。

 運動は、無理せず、疲れない程度に身体を動かすことが大切です。かかりつけの医師や理学療法士のアドバイスを受け、自分にあった運動を継続して行ってください。

 

(鹿児島大学医学部リハビリテーション科: 衛藤誠二、田中 信行)

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