第140回:肩手症候群

温冷交代浴や低周波 有効

 

 肩手症候群は、脳卒中などの発症後約1カ月目くらいから、まひした側の手指の痛みがみられるものです。痛みに加えて、むくみのために急速に手指が曲がったまま伸びなくなり、リハビリの大

きな阻害要因になります。脳卒中後に発症することが多いのですが、そのほかに手足の外傷や頚椎(けいつい)症、心疾患、帯状疱疹(ほうしん)に伴う反射性交感性ジストロフィーと呼ばれるも

のもあります。

脳卒中後のものは、通常の消炎鎮痛剤や利尿薬はほとんど効かず、ステロイドの投与が有効なので、早めの診断、治療が必要です。また、まひ側に生じる中枢性疼痛(とうつう)と見分けること

も重要です。

自律神経のなんらかの障害が原因と思われますが、まひした側の腕の取り扱いにも注意が必要です。特に、まひした腕を垂らしたままにすることや無理な肩の運動は禁物です。肩関節が脱臼した

り、靱帯(じんたい)、血管、神経が引っ張られて症状が悪化する場合があります。そのため、脳卒中初期は三角きんで腕を 固定し、まひが改善されてきたら外します。

また、就寝時は肩の下にクッションを入れ、患部を高めに保って、むくみを防ぎます。もちろん、安静にしているだけでは肩が動かなくなるので、理学療法士による肩の他動運動、マッサージ、

低周波刺激も行います。

肩の訓練は専門医や訓練士が十分に注意して行わないと、筋や腱を痛め、それがきっかけとなってしばしば肩手症候群が悪化します。

指や手背のむくみについては42度の湯に2分、16度の冷水に30秒、腕を交互に浸す温冷交代浴を4、5回くらい繰り返すのも血管運動神経のはたらきを促し有効です。

肩の外側(三角筋)や前腕部(手指伸筋群)の筋肉を弱い電流で10分間くらい収縮させる低周波刺激も有効です。

手指の症状だけなら、副腎皮質ステロイドの内服が最も効きますが、肩の痛みもある場合は、肩関節腔内へのステロイド注射も効きます。どちらも副作用があるので、専門医の判断のもとに投与

することが大切です。

外傷や頚椎(けいつい)症に伴うものは、ステロイドは効きにくく、頚部(けいぶ)交感神経節ブロックがよく行われます。脳卒中後のまひ側の手のはれ、熱感がある場合は肩手症候群を疑い、

早めの対応が大切です。

(鹿児島大学医学部リハビリテーション科:石川 聖子、田中 信行)

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