第146回:ギラン・バレー症候群

早期のリハビリが最重要

 

 ギラン・バレー症候群はさまざまなウイルス感染をきっかけに、手足の末しょう神経の障害によって、両手両足が急に動かなくなる病気です。神経を包む膜である髄鞘(ずいしょう)に対す

る自己免疫疾患で、神経の伝達が遅れると考えられています。

Aさん(50歳、男性)はある日、風邪の症状があり、薬を飲んで休んでいましたが、翌朝起きると手足が動かなくなっていました。検査で髄液中のたんぱくの増加、筋電図での神経伝達の遅れ

が分かり、ギラン・バレー症候群と診断されました。ガンマグロプリン療法や高気圧酸素療法を受け、症状は徐々に軽くなりましたが、手足の筋肉が委縮して棒のようにやせ細り、発症から2カ月

後、当センターに入院しました。入院時は、歩くことはもちろん、起きあがりや着替え、車いすへの移乗もできず、指の関節が固くなって、はしを握ることもできませんでした。

リハビリでは、座る訓練や、手足の関節可動域訓練、両手におもりをつけての筋力トレーニング、低周波電気刺激による筋肉の刺激を行いました。さらに、筋力増強剤のたんぱく同化ホルモンを

併用しました。また、指先の力や器用さを取り戻すため、毎日字を書く練習やワープロの練習もしました。

Aさんの場合、手の筋力の回復は比較的早く、着替えや食事は入院後4週間でできるようになりました。しかし、足の筋力が回復せず、精神的にもいら立っている様子が見られました。

ひざと足首を固定する長下肢装具を用いて立って平行棒の中を歩く訓練を続けた結果、入院2カ月後には両側につえをついて歩けるようになりました。家事とともに、仕事への復帰の意欲も出

て、さらにリハビリを続けています。

ギラン・バレー症候群は基本的には治せる病気です。しかし、中には呼吸筋の障害のために人工呼吸器が必要な人や、嚥下(えんげ)筋の機能が落ちて、飲み込む動作が難しくなる人もいます。

また、髄鞘だけでなく、神経繊維全体が冒され、筋委縮が回復しにくいタイプのものもあります。いずれにしても、専門医による的確な治療と、早期のリハビリが最も重要です。

(鹿児島大学医学部:今中大, 鹿児島大学医学部リハビリテーション科:田中信行)

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