第2回:脳卒中後の歩行
訓練すれば8割が可能
体が不自由になっても自分の足で歩きたいとの願いは尽きません。脳卒中で歩けなくなったAさんを通じてどうしたら歩けるかをお話しします。
なぜ脳卒中患者は歩けない
麻痺のない下肢で立ってもバランスが取れない、麻痺した足が床に引っかかって前に出せない、あるいは麻痺した足に体重を乗せると膝が折れたり、突っ張り過ぎて腰がぐらつくためです。訓練すれば、8割程は歩行出来ますが、脳卒中再発による両側麻痺ではぐっと難しくなります。
歩けるようになるためには
脳卒中再発作で座位保持も出来なくなったAさん、51歳は「歩くのは無理」とB病院で言い渡されて、発作後一年半経って霧島リハセンターに来られました。全身の筋萎縮がひどく、右半身は完全な麻痺、左半身にも軽度の麻痺がありました。
バランス能力向上のため麻痺の軽い左下肢と躯幹の筋力強化(椅子からの立ち上がり一日200回、訓練用機器での抵抗付き膝屈伸一日100回、マット訓練)と平行棒内歩行訓練とを一日4〜5時間行い、筋力増強促進のため、蛋白同化ホルモンも併用しました。入院後3ヶ月にはぐっと逞しくなり、看視は必要ですが杖と下肢装具での歩行が可能になりました。
麻痺を回復させるには
Aさんの右片麻痺は一年半経過していたため、適応はありませんでしたが、発作後4カ月以内の患者さんには集中訓練を行います。集中訓練では神経路を再形成して麻痺を回復させる目的で、麻痺の程度に合わせて数種類の運動パターンを一日合計500回以上反復しますが、麻痺の回復が3〜4倍促進されます。
歩行能力をいつまでも保つには
一度取り戻した歩行能力を失わせるのは脳卒中再発作、下肢の突っ張り(痙性)の増加、転倒、膝や足首の変形・痛み、運動不足による筋力低下です。これらの防止には高血圧治療などの再発予防と杖や下肢装具の使用、毎日の運動量の維持が大切です。杖・下肢装具を外すと、歩容の悪化、転倒、痙性増加、関節の変形・痛みを招きやすく、歩行能力低下につながります。
リハビリテーション医療は歩行障害に対して多様な治療手段をもっています。御相談下されば、必ず貴方の歩行を応援します。
(鹿児島大学医学部リハビリテーション科・川平和美,東郷伸一)
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