第14回:ひざの痛み治す
減量、筋トレで負担減
Aさんは78歳の女性です。67歳のとき脳卒中で左片まひとなり、右ひざに負担がかかるようになりました。通常の歩行や正座で右ひざが痛むようになったのです。
近くの病院では「変形性膝(しつ)関節症(長年のひざへの負担と加齢によるひざ関節の変形。軟骨がすり減って痛みが起こる)という老齢の病気です。適度なひざの運動をしてください」との診断。内服薬と湿布を処方され、その後もときどき関節に注射をしていましたが次第に痛みはひどくなり、足を動かすのも難しい状態になりました。
71歳のとき、ひざの変形を補正する手術を、さらに73歳のとき右ひざを人工膝関節に入れかえましたが、痛みは取れず、「痛みがなく歩けるようになりたい」と、Aさんが私たちのリハビリセンターに来られたのは2度目の手術のあとです。
Aさんは身長144センチ、体重56キロ。25%の肥満と中等度の左片まひはありましたが、ほかに大きな病気はなく、ひざ関節症のリハビリをこなす体力は十分ありました。
リハビリではまず、ひざへの負担を滅らすため、ダイエット(1日の摂取カロリー1000〜1500キロカロリー)に取りかかりました。運動療法では、ひざに負担をかけずに太ももの筋肉を強化する訓練=大腿(たい)四頭筋訓練=を重視。あおむけに寝て、ひざ下にクッションを置き、それを押しつぶす運動(ひざ伸展運動)や、いすに座った姿勢で足首におもりをつけひざを屈伸する運動を一日各100回から200回繰り返しました。
またリハビリセンターの温泉を利用した水中歩行と、その後のひざの曲げ伸ぱし(ROM訓練)、温熱療法としてホットパック、温泉入浴、超音波療法も行いました。同時につえ、ひざサポーター、足底板(O脚、X脚の矯正)を作り、正座や和式便所は禁止にするなど、ひざに負担をかけない状況も整えました。
約1カ月半の入院でAさんの体重は4キロ滅り、歩行時の痛みは消えました。現在Aさんは痛み止めもほとんど不要、家庭と病院でリハビリを継続しています。Aさんは、痛みのないひざを自分で取り戻したのです。
(鹿児島大学医学部リハビリテーション科・鈴木康義、田中信行)
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