顆粒球吸着除去療法(GMA)の研究に関するお知らせ

皮膚疾患には難治性のものが少なくありません。膿疱性乾癬、ベーチェット病、壊疽性膿皮症、隆起性持久性紅斑、スウィート病などいわゆる好中球性皮膚症と称される疾患群はその代表的なものです。

 

鹿児島大学皮膚科では顆粒球吸着除去療法に着目し、好中球性皮膚症に対する効果について臨床研究と基礎的研究を平成12年から進めてきました。顆粒球吸着除去療法は酢酸セルロースビーズを吸着材として炎症組織に集積し病因となっている顆粒球・単球の除去とその細胞機能の制御を目的として開発された体外循環療法です。これまでに70例以上の治療経験を積み重ね、優れた臨床効果を確認し多くの論文として発表してきました。また本療法では活性化した病的な顆粒球(好中球とマクロファージ)だけが選択的に除去されること、またそのメカニズムを解明しました。

 

鹿児島大学の研究成果を踏まえ、平成22年から23年にかけて膿疱性乾癬に対する全国多施設共同試験が実施されました。その結果、この治療法は膿疱性乾癬に対して有効かつ安全で、患者のQOLを改善することが確認されました。こうして鹿児島大学で始まった新たな治療法は膿疱性乾癬に対する適応が承認され、平成24年10月1日保険に収載されました。

 

これらの研究成果はヨーロッパの学会で優秀賞を受賞するなど世界的に注目され、現在EU諸国で多施設共同研究が準備されています。