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鹿児島大学大学院医歯学総合研究科

地域医療学分野/
離島へき地医療人育成センター

Department of Community-Based Medicine
Education Center for Doctors in Remote Islands and Rural Areas

お問い合わせ
TEL.099-275-6898
FAX.099-275-6899
MAIL:ecdr-office@umin.ac.jp


センターの概要 summary

−離島へき地医療に貢献できる医療人の育成−


   平成19年4月1日、鹿児島大学大学院医歯学総合研究科に「離島へき地医療人育成センター」が設置されました。これは文部科学省に対しての概算要求が認められたもので、平成19〜23年度の5年間特任教授、准教授、助教を配置して、鹿児島大学大学院医歯学総合研究科の国際島嶼医療学講座の教員と共同して、離島へき地医療に貢献できる医療人の育成をしようとするものです。

【概 要】
本事業は、全国の医学部学生、大学院生、および医師に門戸を開いて離島へき地医療に貢献できる医療人の育成を目的とするセンターを設置する。新センターの育成プログラムは離島へき地包括医療に関する高度の知識と幅広い支援方法を習得することを目的とする。このことにより人的資源の質を高め、離島へき地に関わる人材を増やすことを目標とする。

1.事業の必然性
2.事業の取組内容
3.事業の実現に向けた実施体制等
4.事業達成による波及効果等(学問的効果、社会的効果、改善的効果等)

1:事業の必然性

【目的・目標】
鹿児島県は、28の有人離島(平成17年 全国第4位)を有し、離島人口は191,386人(平成12年 全国1位)と最も多い県である。
鹿児島大学は平成13年度に地域貢献の点から離島に医療を確立する方略を明らかにし、離島医療の担い手を育成する目的で、世界でも初めての離島医療学講座を医学部につくった。平成15年度には大学院重点化に伴い大学院医歯学総合研究科の国際島嶼医療学講座へと進化させ、東南アジアの離島へき地と鹿児島県離島へき地での医療に共通した問題解決法を明らかにし、鹿児島で離島医療の担い手をつくることで国際的にも貢献できるようにした。
これまでの実績としては、講座に配置された教授と助教授の2名を中心に学部教育と大学院教育を行い、さらに、JICAによる東南アジア諸国からの要請に対しても、この講座が「離島医療」研修コースプログラムを開発し、離島診療所等での研修の指導を行ってきた。
大学院学生に対しては、市町村や保健所、地元医療機関と協力して離島住民を対象にした生活習慣病予防や長寿に関する教育・研究や離島臨床演習を積極的に取り入れ、大学院教育の実質化に取り組んでいる。
これまでに253名の医学部学生が、臨床教授がいる下甑手打診療所、公立種子島病院、県立大島病院、与論パナウル診療所等の離島医療機関を始め、10箇所以上の離島へき地医療施設で離島実習を終えている。さらに、平成19年度からは医学部医学科学生全員95名が離島実習を受ける。
一方、医学部・歯学部附属病院では、大学院医歯学総合研究科国際島嶼医療学講座が行っている離島へき地医療人育成教育を土台にして、地域医療等社会的ニーズに対応した医療人教育支援プログラム「離島へき地医療を志す医師教育支援」(平成17〜19年度)で、離島医療現場で行う診療に附属病院が専門的な立場から支援を行うことができるITシステムを開発し、離島医療支援システムの構築を進めている。国際島嶼医療学講座もこのシステムの構築に関与した。
本事業は、これまでの実績を基に、離島医療人育成において、全国の地域医療人育成の拠点と連携して、全国の医学部学生、大学院生、その他離島医療を志す医師に対し、個別の状況に応じた柔軟なオーダーメードのプログラムを作成し、実習・研修を行う。
これにより、離島へき地包括医療に関する高度の知識と技術及び幅広い支援方法を習得させ、地域医療に関わる人的資源の質と量を高めることを目的とする。
そのために、全国の医学部学生、大学院生、および医師に門戸を開いた「離島へき地医療人育成センター」を医歯学総合研究科に設置する。このセンターの主たる育成目標は下記のとおりである。
@離島へき地包括医療の知識、技術と態度を習得させる。
A全国の離島へき地医療の教育機能を持つ拠点と連携し、知的・人的交流を通してわが国が直面している離島へき地医療人を育成する。
これは第3期科学技術基本計画における地域に開かれた大学の育成の一環として、地域が大学と連携して、地域の大学を核とした知識・人材の創出と地域活力の好循環を形成する事業である。
【必要性・緊急性】
医師の地域偏在は未だに解決されず、特に離島へき地における地域医療が危機的状況にある。さらに、医師のいない生活基盤に対する地域住民の不安は、地域の活性化や地域再生を阻害している。離島へき地医療を目指す学生や医師に対する育成体制は未だ十分でなく、その環境を急いで整備する必要がある。
【独創性・新規性等】
@離島へき地医療に貢献できる医療人育成プログラムは、予め準備されたもの以外に、プログラム 参加者の経験等の状況に応じた柔軟なオーダーメードのプログラムを作成する。この手法により、 現役医師等限られた条件の中でもプログラム参加が可能になることで希望者も増え、医師の再教 育及び生涯教育の活性化が実現する。
Aこのプログラムに参加できる門戸は離島へき地医療への志を持つ者に広く開放し、当センターが その窓口となり、全国的なネットワークを形成し、幅広い研修が行われるようになる。
B研修先の離島へき地医療機関において、総合診療を経験し、地域包括医療に関する知識、技術や 態度を直接的に習得し、限られた医療資源の中で必要とされる医師としての臨床判断能力が高まる。
【中期目標及び中期計画との関連性】
 この事業は、鹿児島大学の中期計画にある、「大学の教育研究等の質の向上」のためのフィールド学習や学外臨床実習等を重視したカリキュラム編成や、離島へき地の生活・文化の向上に資する教育プログラムの開発を実現する。

2:事業の取組内容

【全体計画】
@離島へき地医療人を志す医師のニーズに応じたオーダーメード地域包括医療プログラムとプライマリ・ケアを中心とした育成プログラムの企画調整、生涯学習支援の実施を担当する教授と准教授、遠隔医療やe-learningシステム、データベース構築等を担当する助教、および事務員の配置を行う。
A全国の離島へき地医療を志す医学部学生を対象に夏期短期離島へき地医療実習コースを定期的に行い、離島へき地医療への理解と自信を深める。
B大学院学生に対しては、離島へき地において住民を対象にした疾病の予防及び長寿の調査研究に関する高度離島へき地医療演習コースを行い、より高度な離島へき地医療に貢献できる医師の育成を行う。また、将来、鹿児島県の離島へき地医療従事を志す大学院学生に対しては鹿児島県の「へき地勤務医師等修学資金貸与制度」とも連動させ、経済的支援を行う。
C卒後臨床研修後の医師に対しては、医学部・歯学部附属病院等において内科疾患だけでなく、虫垂炎、骨折、小児疾患、泌尿器疾患、耳鼻科疾患、外傷に対する創傷処置などプライマリ・ケアに必要な外科的専門項目を中心にした研修、県立大島病院において離島中核病院における救急疾患に特化させた研修、下甑手打診療所などにおいて保健・福祉を含めた地域包括医療に重きをおいた研修を組み合わせた離島へき地医療専門研修コースを設ける。
D離島医療を目指す中堅医師に対しては、これまでの経験を考慮し、各々のニーズに応じたオーダーメード研修プログラムを提供する。
E離島へき地医療に従事している医師に対しては、医療人教育支援プログラムで整備予定の症例やセミナーをデータベースとして活用するe-learningシステムを発展させ、離島へき地における生涯教育を支援する。
F医療人教育支援プログラムで整備予定の症例やセミナーを基にデータベースを作成し、さらにデータの蓄積を行う。
G初年度にセミナーを開催し、広報を図るとともにセンターの運用やプログラムの内容に関し広く意見を求める。また、平成21年度と最終年度にもセミナーを開催し、外部も含めた評価を受けるとともに、今後の方向性に関して検討する。
H離島へき地医療人育成に取り組んでいる拠点の実態調査と、連携に向けて連絡会議を実施する。
I事業の実施に必要な設備を整備する。

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3:事業の実現に向けた実施体制等

【実施体制】
当センターには、教育部門に特化した「卒前卒後離島へき地教育プログラム開発分野」と研修部門に特化した「医療従事者離島へき地研修プログラム開発分野」を置き、前者に医歯学総合研究科国際島嶼医療学講座の専任教授(センターの総括と、全国の医学部学生に門戸を開いた離島へき地医療教育に参加する機会の提供と支援)と専任助教授(クリニカル・クラークシップ及び大学院生に対する離島へき地医療人育成プログラムの展開)を併任で配置し、後者に専任の教授(オーダーメード地域包括医療プログラムと生涯学習支援の実施)、専任の助教授(プライマリ・ケアを中心とした育成プログラムの企画調整)、専任の助手(遠隔医療支援やe-learningシステムの運営、データベース構築)、事務員(センター運用や各種技能の補佐)それぞれ1名を新規に配置する。
さらに、離島へき地医療施設(下甑手打診療所、公立種子島病院、県立大島病院、与論パナウル診療所)の臨床教授に加え、県下の他の医療施設の医師、鹿児島県、島嶼各市町村、鹿児島県医師会等が協力する。
【工夫改善の状況】
学内においては、研究科の「離島へき地医療人育成センター」と附属病院の「離島へき地医療教育支援室」との連携により、教育・研修の円滑化を図る。
 なお、鹿児島県の「へき地勤務医師等修学資金貸与制度」との連動によるプログラム参加者への経済的支援や、入学者における地域枠の充実等により、離島へき地医療人の人材の循環を図る。
 さらに、離島へき地医療人を志す医師が研修・研鑽できるように、研修する医療機関等からの経済的支援や給与の保障等の方策を検討する。

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4:事業達成による波及効果等(学問的効果、社会的効果、改善的効果等)

事業達成により離島へき地医療の魅力の再認識と医師の地域偏在の解消、医師の再教育及び生涯教育による医療人の育成と「地域医療の再生」、地域医療の再生による地域の活性化・地域の再生、国際医療に通じる離島へき地医療の場を活用した国際的な地域医療人の育成等の波及効果が期待できる。

※臨床教授
 医学部臨床教育の指導体制を充実するために、臨床教育に協力する保健医療機関等の優れた医療人に学部長が付与する称号。保健医療機関等において臨床経験を15年以上有する者が対象。



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