部局間学術交流協定校 Red Cross College of Nursing, Chung-Ang Universityとの学生交流

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鹿児島大学医学部保健学科看護学専攻 教員
山口 さおり  稻留 直子

鹿児島大学医学部は、平成24年11月に韓国の中央大学校赤十字看護大学Red Cross College of Nursing, Chung-Ang University(CAU)と学術交流協定を締結しています。平成28年1月までに3回の学生交流プログラムが企画され、双方の大学を学生が訪問し、交流を深めています。

 

平成27年度は、平成27年8月30日から9月6日までの8日間、CAUにおける第3回目の学生交流プログラムが計画され、「国際看護学」を受講した看護学専攻3年生6名が参加しました。今年度の研修は、「CAUでの授業や実習への参加、学生や教員との対談、および保健診療員の活動見学と保健医療関係者との面談を通して、本校学生が母国語以外の言語でディスカッションする力を身につけるとともに、海外の保健と看護に関する人的資源や教育の多様性について理解すること」を目的とし、鹿児島大学学生海外研修支援事業の助成を受けて実施されました。8日間の主なプログラムは、以下の通りです。

2015 CAU-KU Student Exchange Program

Aug.30 午後:ソウル到着、CAUのゲストハウスへ移動
Aug.31 ウェルカムセレモニー
CAUの紹介、韓国のヘルスケアシステムの説明
プログラムオリエンテーション
CAU赤十字看護大学の施設見学およびキャンパスツアー
Sep.1 基礎看護技術演習(CAUの学生と一緒に演習に参加)
銅雀区Senior Wellness Centerの視察
Sep.2 CAU附属病院の施設見学および看護学実習
Sep.3 講義“Emergency & Disaster Nursing”への参加
(鹿児島および鹿児島大学紹介のプレゼンテーション)
銅雀区保健所の視察
Sep.4 京畿道驪州市道全里保健診療所の視察および保健診療員との対談、家庭訪問への同行
プログラム修了証書授与、フェアウェルパーティ
Sep.5 CAU学生との交流(韓国の歴史・文化に触れるフィールドワーク)
Sep.6 午後:帰国

 

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今回の研修プログラムは、CAU側に本校学生の希望を伝えて計画して頂きました。CAUにはSPRING(Simulation Practice in Nursing)センターというシミュレーションセンターがあり、同センターでの基礎看護技術演習にも参加しました。また、‘Emergency & Disaster Nursing’の授業では、本校学生が自己紹介と鹿児島および鹿児島大学のプレゼンテーションを英語で行う機会を与えて頂きました。中でも、学生が一番興味を持っていたのは、韓国版のナースプラクティショナーである保健診療員の活動です。保健診療員は、保健・医療へのアクセスが悪い農漁村地域に設置されている保健診療所で活動する看護職で、100種類以上の薬剤の処方権を持ち、住民に最も近いプライマリヘルスケアの提供者として活躍しています。今回は、ソウルから3時間以上離れた驪州市にある道全里保健診療所を訪問し、家庭訪問にも同行させて頂きました。 以下は、参加した学生の研修を終えた感想や抱負の一部です。この学生交流は、学生が看護学専攻のディプロマポリシーである「看護の問題をグローバルな視点でとらえ、幅広く人々の健康に貢献できる」能力を身につける重要な機会となっており、今後の発展的な継続が期待されています。

 

student01 今回の研修を通して、韓国での看護職の役割や位置づけ、保健体制などに加えて、目標にも挙げていた自身のコミュニケーション能力についても実感し、学ぶことができた。グローバル化が進んでいる世の中で看護師として活躍していくためには、コミュニケーション能力は必要不可欠であると強く感じている。韓国の病院には国際病棟があり、韓国の大学でも英語の他にもロシア語などの第二外国語に力を入れている様子が見られた。研修を通して、国際的に繋がりを持つことにとても憧れた。これからコミュニケーション能力を高めていけるようにさらに努力し続け、誰もが話をしたいと思ってもらえる人材になりたいと思う。今回の研修は、私の初めての海外であり、とてもすばらしい経験で大きな一歩を踏み出すことができた。このようなすばらしい機会を与えていただけたことを、とても嬉しく思っている。
student02 今回の海外研修では、CAU病院やシニアウェルネスセンター、保健診療所などの見学を通して韓国の医療・看護について学び、日本と韓国の医療や看護の共通点や異なる点をたくさん発見し、日本の医療・看護のいい点や今後の課題、韓国の医療体制で日本にもあればよいと思うことについて考えることができた。また、CAUの学生や教員との交流を通して、国が違っても同じ話ができたり、一緒に学んだり、笑ったりできるという喜びを感じることができ、海外の看護や医療だけでなく、文化、歴史、人々に興味を持つきっかけとなった。そして、英語やコミュニケーション能力の重要性を感じ、自分の意識が高まり、将来に向かって何をしていけばよいのか、自分に何が必要か具体的に考えることができた。
student03 英語があまり話せず、自分の意見を言ったり、韓国の学生や先生方に自分から積極的に質問したり話したりすることができなかった。また、一緒に講義にも参加させてもらったが、専門用語を英語でも理解できるようになりたいと思った。また次の機会があれば、今回の研修よりも積極的にコミュニケーションがとれるようにすることを目標に英語の学習を行っていきたい。さらに、保健所や保健診療所を訪問した時に、日本の医療制度についてもまだまだ知識が不足していると実感したし、研修を通して保健診療員についてとても興味を持ったので、さらに知識を深めていきたいと思う。
student04 多くのことを学びたいなら、英語で自分の気持ちを表出することができる力・相手の言っていることを聞き取る力が必要だと切に感じた。英語の文法的な知識を知っているだけでなく、それを言葉として相手に伝えようとする勇気が必要だった。私は、研修プログラムの中で9月3日の災害看護の授業で、鹿児島と鹿児島大学についての紹介を韓国の学生たちにプレゼンする機会をいただいたのだが、そのプレゼンを通して「言葉の壁を越えてコミュニケーションが取れたときの喜び」を知り、自信がついた。だから、これからは英語を聞く機会をたくさん持ち、自ら積極的に話していきたいと思う。
student05 これまでの私は、将来的な活動の場として国際看護に興味を持っていてもなかなか一歩を踏み出すことができていなかった。今回の研修は、私にとって大きな第一歩を与えてくれた非常に大切な研修となった。英語で韓国の学生や教員に意思を伝えようとするも、伝わらなかったり、あきらめてしまうことも多々あった。国際看護に興味を持ち、助産師になりたい私にとって、英語を学ぶことは非常に重要であり、今回この出来事でもっと熱心に取り組まなければならないとも思わせてくれた。また、日本と異なる保健や看護のあり方を体験することで、日本の良さ、異国の良さを知り、現在の自分の勉強不足の点と、もっとそれぞれの国の看護について学びたい、文化について学びたいという意欲へとつながっていった。これからさらに、実習、学習に意欲的に取り組み、将来につながるように、もっと広い目で世界の看護を見ていきたい。
student06 私には、海外の災害現場で救護班として働くことと、地域の在宅医療現場で働きたい夢がある。両極端の夢ではあるが、これが私のやりたいことである。日本では最近高度な医療行為を行うことができる看護師の研修制度が始まり、これからの医療界での活躍が期待されている。特に、鹿児島は常駐の医師がいない村や離島が数多くある。そのような地域に、医療行為や診療を行うことができる看護師を派遣すれば、僻地の医療を守ることができると考える。在宅の現場でも、患者の状態に合わせて、看護師よりもさらに医学的な視点で患者を見ることにつながり、急変の対応も可能となるだろう。日本でも韓国のように、看護師が医師と対等に働くことができる環境を目指していくため、私自身もこれからさらに勉学に励み、夢実現に向けて切磋琢磨していきたい。