鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 心臓血管・高血圧内科学

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Department of Cardiovascular Medicine and Hypertension, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Kagoshima University

診療について

医療関係者様へ:当科が専門的に行っている疾患・治療

医療関係者様向け

冠動脈インターベンション(PCI)

冠動脈インターベンション(PCI)について

1977年にスイスで第1例目のPCIが行われ、以降世界に広がっています。1990年代にはステントが使用されるようになり、その後、ステント内再狭窄を劇的に減少させた薬剤溶出ステントが開発されました。日本では2004年に薬剤溶出ステントが認可され、現在多くの患者さんに使用されています。

当科での治療方針の説明も含めて、PCI施行例を2例ご紹介させていただきます。

①慢性完全閉塞例

病変形態によってPCIの難易度は変わりますが、慢性完全閉塞病変は、そのなかでも一番難易度が高いとされるタイプCに分類されます。

本症例では、冠動脈造影検査前に外来で冠動脈CT(図1)を施行し、左前下行枝が完全閉塞(赤両矢印)しているのが分かります。さらには、閉塞部の距離、血管の蛇行や石灰化の程度についても評価できます。

冠動脈造影検査では、冠動脈CT所見と一致して左前下行枝に完全閉塞を認めました(図2左上 黒矢印)。次に、マイクロカテーテルを使用してガイドワイヤーを進めていきます。図2右上では、ガイドワイヤー(白矢印)が完全閉塞病変を通過しているのが分かります。バルーンで拡張した後、ステントを留置し(図2左下 黒矢印)、左前下行枝末梢まで良好な血流を得ています(図2右下)。治療後、労作時の胸痛は消失し、心エコー上、左室壁運動も著明に改善しました。

本症例のように冠動脈病変の診断のみならず、PCI施行においても冠動脈CTは非常に有用であるため、閉塞距離が長い完全閉塞病変においては、冠動脈CTを積極的に施行し、治療成績向上に努めております。

②冠血流量予備比(FFR: fractional flow reserve)

PCIの適応に関しては、冠動脈造影による狭窄度だけではなく、症状の有無、心筋シンチやトレッドミル検査の結果等をふまえて決定するように心掛けています。さらに、FFRも積極的に測定しています。FFRは、狭窄病変によってどれくらいの血流が阻害されているかの指標になり、近似式として、FFR≒Pd/Pa (Pd:狭窄病変遠位部圧、Pa:狭窄病変近位部圧)で表されます。FFRが0.8以下の場合をPCIの適応と考えています。

本症例では、左前下行枝近位部に中程度の狭窄を認めますが(図3左 黒矢印)、心筋虚血が不明であったためFFRを施行しました。図3右において、緑の圧波形はPd、赤の圧波形はPaになり、上部の黄線がFFRになります。本症例でのFFRは0.79で、引き抜き圧においては、左前下行枝近位部狭窄に一致した部分(白両矢印)で大きな圧回復を認めました。

同狭窄部位に薬剤溶出ステントを留置し、病変は良好に拡張しています(図4左 黒矢印)。ステント留置後のFFRは、0.90まで改善し、引き抜き圧では治療前に確認された狭窄部位での圧回復は消失しています。

冠動脈病変の評価として、従来から冠動脈造影検査が施行されてきました。しかしながら、近年は冠動脈造影による形態評価に加えて、FFRによる機能評価も重要視されてきており、今後もFFRを大いに活用していきたいと考えております。