鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 心臓血管・高血圧内科学

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Department of Cardiovascular Medicine and Hypertension, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Kagoshima University

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肺動脈カテーテル治療の流れ

初回の右心カテーテル検査は「慢性血栓塞栓性肺高血圧症」の診断を確定するとともに、重症度を判断する目安になります。また同時に肺動脈造影検査を実施し、肺血管内の血栓の量や部位を詳しく評価し治療の方針を決定していきます。肺動脈カテーテル治療の適応と判断された場合は治療の方法、起こりうる合併症、入院期間等をご説明し、ご了解いただいたら手術日程を決定し一旦退院となります。治療前の平均肺動脈圧が高値の場合は、少しでも肺動脈圧を低下させ安全に治療が行えるように必要に応じて肺血管拡張薬や在宅酸素療法を開始し、病状が安定した段階で治療を開始しています。

病状にあわせて肺動脈カテーテル治療日の1-3日前に入院していただき、採血や胸部レントゲン、心臓エコー検査などを行い治療前の病状の最終確認をします。

肺動脈カテーテル治療当日は検査室で仰向けに寝てもらい酸素マスクをつけます。治療に使うカテーテルは鼠径部(あるいは右頸部)の血管から入れます(写真1)。

カテーテルを入れる部位に穴が開いたシートをかけ、局所麻酔をします。静脈にシースと呼ばれる10㎝ほどの細い管を入れ(写真2 白矢印)、シースの中にガイドカテーテルと言われる治療用の長い管を入れて(写真2 黒矢印)、治療目的の肺動脈まで進めます。本症例では右下葉肺動脈までガイドカテーテルを進めています(写真3)。

肺動脈造影では、右下葉肺動脈の一部が器質化血栓により閉塞(写真3 白矢印)しているのが分かります。ガイドカテーテルの中にガイドワイヤーと呼ばれる細いワイヤーを入れて、閉塞しているところを通過させます(写真4 左)。次にガイドワイヤーを利用してバルーンを閉塞部まですすめて拡張します(写真4 右)。

バルーンで拡張した後の造影で、閉塞部から先の肺動脈に血流が改善しているのがわかります(写真5)。同様の手順で複数の閉塞部位に治療を行います。1回の治療に要する時間は、2-3時間です(写真6)。

治療終了時に胸部CTを施行し、肺出血等の合併症を起していないかチェックします。その後集中治療室に移動し血圧、脈拍、酸素状態に変化がないか経過をみていきます。経過が良好であれば翌日一般病棟に戻ります。一般病棟で数日経過を観察して問題がなければ次回の治療日程を決めて退院となります。

肺動脈カテーテル治療は1回の入院期間が1週間~10日程度(②~⑦)です。これを平均肺動脈圧が異常と定義されている25mmHg未満になるまで繰り返します。治療回数は診断時の重症度で変わってきますが、だいたい4-5回で終了する患者さんが多いです。治療終了後は抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)で病気が再び悪化することを予防しながら通院治療を継続します。肺動脈カテーテル治療を受けたほとんどの患者さんが非常に良好な経過をたどっていますが、日本で保険承認されたのが2010年と比較的新しい治療法のため、カテーテル治療終了後も定期的に病院で検査を受け経過をみていく必要があります。