お知らせ

 鹿児島大学医学部神経病学・老年医学の髙嶋博教授、樋口雄二郎医師らの研究グループは、東京大学医学部附属病院神経内科(辻省次教授)、同大学院新領域創成科学研究科(森下真一教授)らとの共同研究により、神経難病「シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)」の新たな原因遺伝子としてMME遺伝子を発見しました。

 CMTは、末梢神経の異常によって四肢の感覚と運動が徐々に障害されていく遺伝性の進行性神経疾患です。末梢神経の障害部位、遺伝形式などでタイプ分類されており、これまで多くの原因遺伝子が見つかっています。しかしながら、これらの原因遺伝子を調べても異常が発見されるのは半数以下であり、さらに未知の原因遺伝子があると考えられていました。  

 本研究は、全国の医療機関からおよそ9年間かけて1000例を超えるCMT患者のDNAを収集し、既知の原因遺伝子の解析を行いました。その中から変異が見つからなかったCMT患者を対象として、次世代ゲノムシークエンサーを用いた網羅的な遺伝子解析(エクソーム解析)を行い、常染色体劣性遺伝型のCMTの原因としては最も頻度の高い原因としてMME遺伝子を発見しました。

 この遺伝子によって作られるネプリライシンというタンパク質は、末梢神経に豊富に発現しており、細胞内の不要となったタンパク質の分解や処理機構に異常が生じることで、神経変性を来すことが推定されます。  この発見はCMT患者の診断率の向上だけでなく、病態解明および今後の治療開発にも大きく貢献しうる成果です。本研究の成果は、神経学分野において最も権威のある雑誌の1つである米国神経協会雑誌(Annals of Neurology)に掲載されました。

  以下のサイトでPDFファイルのフリーダウンロードが可能です。 http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ana.24612/abstract

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