ベストティーチャー賞(令和6年度)
ベストティーチャー最優秀賞
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氏名:毛利 翔悟 |
この度、令和6年度鹿児島大学医学部医学科ベストティーチャー賞に選ばれたことを大変光栄に存じます。私の教育活動を評価して下さった学生の皆さん、医学科FD委員の先生方に、心から深く感謝申し上げます。
私は2022年12月に医歯学教育開発センターに着任し、まもなく3年が経過します。主に医学科卒前教育のプロフェッショナリズム科目(「新入生オリエンテーション」「患者と医療」「チーム医療1・2」「医療面接1・2」「診療手技1・2」「シャドウイング実習」「医療倫理」)の実施・運営に携わっており、また循環器内科医として3・4年生の循環器講義や、4~6年生の診療参加型臨床実習では指導医も担当しています。これに加えて進級・卒業に関わる多くの試験(共用試験である臨床実習前後のOSCE・CBTや卒業試験)の運営や、模擬患者の養成、共用試験の評価者養成などの業務もあり、多忙ながらも非常にやりがいを感じております。
私が医学教育において日々意識していることは、「学生の到達段階に合わせた指導」です。具体的には、医学科カリキュラムの各フェーズ(Phase1〜3)(図参照) 毎の到達目標に応じて、指導内容や学習方略を調整しています。虚血性心疾患を例に挙げると、3年生には講義で病態生理を、4年生には模擬患者やシミュレーターを用いて問診・診察を、5〜6年生には実際の患者を対象に臨床現場での実践を経験させます。学生の到達段階にマッチした教授法を選択し組み合わせることで、学生が段階的に病態・疾患への理解を深め、無理なく着実に学習できることを目指しています。
教育活動を通じて全学年の学生と関わることで、それぞれの学年のニーズや意見を直接聞きながらカリキュラムの見直しも行っています。例えば、令和6年に3年生を対象に「循環器を勉強していて難しいことは何か」とアンケートを取ったところ、61% (77/127名)の学生が「心電図」と回答しました。この結果をもとに教授に相談し、令和7年度には2コマ用いて「心電図ワークショップ」を開催しました。また、時系列は前後しますが「学生の学習意欲を高める取り組み」として、令和6年度に心電図検定(日本不整脈心電学会)合格を目指す勉強会「eサークル」を開催しました(図参照)。医学科1〜6年生の希望者を対象に、講義と演習を組み合わせた形式で月1回実施し、10数名の学生が1級(循環器専門医レベル)を含むすべての受験級で合格するなど好成績を残しました。令和7年度も53名の学生が参加しており、新規参加者や、より上位の受験級を目指し2年連続で参加する学生もおり、熱く賑わっております。心電図に苦手意識をもつ学生が多い中で、カリキュラム外の勉強へ積極的に取り組む姿勢には、私も大変刺激を受けております。今後は勉強会の参加者からフィードバックを得て、カリキュラム内の教育改善にも反映させていきたいです。
私の座右の銘はトーマス・エジソンの「There’s a way to do it better – find it.(今よりもっとよい方法が必ずある、それを見つけなさい)」です。近年、医学教育も急速に変化しており、私自身も着任後の短期間で「共用試験臨床実習前OSCE・CBTの公的化」「医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂」などに直面してきました。新しい教育手法の導入には人的・心理的な負担が伴うため、マニュアルや評価法の統一を行い、教職員の負担を軽減しつつも大学全体の教育の質向上に寄与することが私の役目だと認識しております。私自身、未だ学びの途中ではありますが、ベストティーチャーに選ばれたことを心の支えに「より良い教育」を模索し続け、鹿児島大学が「より良い学び場」になるよう努めて参ります。
ベストティーチャー賞
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氏名:谷本 昭英 |




