目の加齢性変化
七十二歳の主婦です。

半年ほど前から目がヒリヒリ痛み、目やにが出るようになりました。
近くの眼科では白内障が少しあるが、ほかに異常はないと言われました。
左目の中心に何かが引っかっている気がします。
目が痛むのは薬の使いすぎだと言われ、薬をやめたら痛みはなくなりましたが、今でも目の前に黒い物がとんだり左目がかすんで見えたりします。
何か悪い病気なのでしょうか?

どのような病気が考えられますか?

症状は二つあるようです。
一つは左目がヒリヒリ痛んだり目やにが出ることです。薬をやめたら痛みはなくなったとのことですが、起床時からでしょうか、それとも午後になると起こるのでしょうか。
もう一つは、目の前に黒い物がとんで見えることです。
突然起こったのでしょうか。もう少し詳しく知りたいところですが、2つの症状は白内障とは関係のない別々の原因によるものです。
年齢のことを考えて、具体的な原因を考えてみましょう。悪い病気ではありませんので安心してください。

原因は何ですか?

目がヒリヒリ痛む原因として最も考えられるのは涙の量が少なくなったことです。また目やにの性質はねばねばしたものだと思います。

高齢になると多かれ少なかれ涙が少なくなるために、黒目が傷つきやすくなって目がヒリヒリしたり目やにがでるのです。涙が少ないところに抗生物質などをむやみに使うと目の表面を傷めることが多いのです。目ぐすりをやめたらよくなったことは、関係があると考えられます。

”目の前に黒い物が飛ぶ”という症状を飛蚊症(ひぶんしょう)と言います。
眼球の中はゼリー状の液体で満たされているのですが、高齢になるとだんだん水分が多くなるとともに小さなかたまりができるのです。このかたまりが眼底の網膜 にかげをおとして目の前にあるかのように感じるのが飛蚊症です。
この症状は60歳を過ぎると半数以上の人が感じるくらいありふれたもので、病気でもなんでもないのです。


治療法はどうなりますか?

涙の分泌が減少すると黒目に傷がつきやすくなります。黒目(角膜)に傷がついた状態を角膜びらんと言い、もっとひどくなると乾性角結膜炎(かんせいかくけつまくえん)と言ってやっかいな状態になります。こうなると目ぐすりをやめたくらいではよくなりません。
この場合には、黒目を保護するために人工涙液を使ったり、さらに特別な治療が必要になります。

飛蚊症は最初に片目に起こってから数年後に反対の目に起こってくることもあります。これを治療によってとりさることはできません。まあ気にしないで我慢していただくよりほかにありません。知らないまに感じなくなるようになることが多いのです。


相談者にアドバイスを。

目ぐすりは必要な場合にだけ使うものです。ふたたびヒリヒリしたり目やにが出たりしたら、専門医に涙の分泌量などを調べてもらって適切な治療を受けてください。

飛蚊症のことは以前もこの相談室に書いたことがありますが、眼底の病気の前ぶれで起こってくることがままあります。けれども、白内障以外には特別なものはないようですから安心してください。


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