新生児鼻涙管閉塞症
生後二ヶ月の息子のことで相談します。

目に涙がたまりやすく、目ヤニがずっと続いています。 出産した病院では、「新生児涙のう炎」という説明を受けました。まだ小さいので、眼科には連れていっていません。

本を見ると、自然に治ると書いてあるものもあれば、別の本では早く眼科に連れていったほうがよいとも書いてあります。

「新生児涙のう炎」について教えてください。どのような治療をするのでしょうか。

どのような病気ですか?

涙嚢(るいのう)に炎症が起こる病気のことで、「乳幼児涙嚢炎」ともいいます。

涙は、目の表面を潤したあと瞼の内側にある涙点という穴から流れ出て、鼻の骨の内側にある鼻涙管をとおって鼻腔にぬけるようになっています。その途中に涙を一時的にためる涙嚢という小さな袋があります。そこが腫れたりただれたりするのが涙嚢炎なのです。

鼻涙管は生まれた時に全開しているのがふつうですが、薄い膜が張っていることがあります。これを新生児鼻涙管閉鎖といいます。
生後一か月くらいまでには膜が自然になくなって、涙が鼻にぬけるようになります。しかし、膜がいつまでも残ると涙が涙嚢にたまったままになり、ちょっとしたことで炎症を起こしやすくなるのです。

このような「新生児涙嚢炎」あるいは「乳幼児涙嚢炎」では、涙が目にあふれたり、目ヤニが多かったり、充血しやすかったり、瞼の内側を軽く圧迫すると白っぽい膿が出たり、といった症状があります。
お子さんの病気は、このような「新生児涙嚢炎」に間違いないと思います。


治療について教えてください。

生後二か月を過ぎても症状がとれないようですから、自然に治るのは期待しにくいと思います。

この病気そのものは物を見たり視力の発達に影響することはありませんが、いつまでも症状が続くのは赤ちゃんには不愉快なことですからできるだけ早く眼科医の診察を受けさせて治療することを勧めます。

治療はまず涙嚢部を指で圧迫したり、抗生物質の点眼を行います。
涙点のところから薬を注入する鼻涙管洗浄という処置を行うこともあります。

このような治療によって治ることが多いのですが、効果がない場合にはブジーと呼ばれる細い針金を鼻涙管に挿入して薄い膜を破って開通させるのです。
このブジー療法は一回で効果のあることが多いのですが、日をかえて2〜3回繰り返す必要のある場合もあります。

新生児涙嚢炎は一度良くなれば再び起こることはありません。


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