外斜視
3歳5ヶ月の男児です。

保健所の3ヶ月検診で斜視の精密検査を受けるように指摘されました。
病院で検査したところ、外斜視で手術が必要とのことでした。

視力は正常とのことで、ふだんはほとんどわからないのですが、このままでは悪くなるのでしょうか?手術に要する日数はどのくらいでしょうか?それに手術の安全性・確実性が心配で す。また、手術しても再発することがあるのでしょうか?

外斜視の手術の適応を教えてください。

外斜視は視力や両眼で物を見る機能(両眼視機能)がだんだん発達してくる2歳から3歳ごろに起こります。

起こりはじめの頃は、ふだんは両眼で物を見ているがときどき斜視になる、という症状をとります。
その後の経過はまちまちですが、数年の間に斜視が目立ってきて間歇性の度合が少なくなることがあります。このころになると、明るい所でまぶしそうに片目をつぶるという症状が頻発します。
もう少し年長になると、眼の疲れや遠近感の異常などを訴えることもあります。

外斜視は内斜視と異なり、恒常性になっても視力には影響しませんが、両眼視機能が十分に発達しなくて立体感や奥行き感覚が不十分になることがあります。

また、顔の中に占める目の位置は整容的にとても大切です。治療としては手術療法が主体ですが、その時期については斜視の状態に応じて決めております。
斜視の程度を斜視角といいますが、これが大きい場合や斜視になる頻度が増加する傾向にあるものは比較的早期に手術に踏みきるのが普通です。そうでなければ、小学校入学までを一つの目安にして手術の時期を決めるのがよいでしょう。


どのような手術をするのですか?

一つの目には6本の筋肉がついていて、脳から筋肉に命令が伝えられて目が動きます。 この際に脳からの信号のバランスが崩れると斜視になるのです。
目を外側に向ける筋肉(外直筋)の働きが強すぎる、あるいは内側に向ける筋肉(内直筋)の働きが弱すぎると外斜視になります。

このような斜視を治すためにはバランスの悪い神経系の命令の改善をはかるの理想的ですが、今のところ不可能です。
できることは、眼球への筋肉の付着部を移動させて、筋肉の効率を変化させて斜視を矯正することを目標とした手術です。
外斜視の場合には、外直筋を弱めるために付着部を少し後ろにずらすか、内直筋を強めるために筋肉を短くする手術をします。

斜視はどちらかの片方の目が悪いという訳ではありませんから、程度や症状に応じて片眼だけ手術したり両眼を手術したりします。


安全性・確実性を心配していますが。

目の筋肉をいじるだけですから、眼球内にまで手術操作を行うような内眼手術に比べるとずっと安全です。
子供さんですから全身麻酔が必要ですが、時間は30分くらいがふつうで、長くても1時間以内で終わります。入院は数日で十分です。
筋肉を露出するために作った白目の創も1週間ほどで目立たなくなり、1カ月もすれば手術をしたのかどうかわからないくらいにまできれいになります。ただ1年間位は定期的に観察します。

手術の効果ですが、多くの場合に一度の手術で改善し、再発することはありません。
斜視の程度が大きかったり両眼視機能の発達が送れている場合には、一度では不十分で再度手術を必要とする場合があります。 また、最初から半年くらいの間隔で2回にわけて手術を計画することもあります。


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