緑内障
七十一歳の女性です。

昨年5月に右目が見えなくなりました。
緑内障の始まりということで、眼科ではレーザーで治療、五日間入院しました。その後は一週間に一回の通院、目薬は毎日さしています。

まだ症状が出ていない左目もあらかじめ治療した方がいいのでしょうか?
眼圧は20ミリ以下です。

また最近よく頭痛があり、市販の風邪藥を買ったところ、使用説明に「緑内障の人はのまないように」とありました。服用できる薬はありますか?

緑内障とはどんな病気ですか?

眼球はほどよい眼圧(眼球の硬さ)を保つことによってうまく働くのであって、硬すぎて軟らかすぎてもいけません。

緑内障というのは眼圧が高くなることによって視神経が痛んでくる病気です。
緑内障といってもいろいろな種類がありますが、話をわかりやすくするためによくみられる2つのタイプについて説明しましょう。いずれも50歳以上の方に起ってくるものです。

一つは急に眼圧が上昇する場合で、これを急性緑内障といいます。
房水とよばれる眼球の中を循環している水の出口が急に塞がるために眼圧が高くなるもので、頭痛や吐き気が発作的に起って一晩のうちに目が見えなくなることさえあるのです。
このような急性緑内障は、すばやく診断して治療すれば病気からすっかり解放されるのがふつうです。

もう一つは慢性緑内障で、やはり房水の流れがよくないために眼圧が高くなる病気ですが、この場合は急激ではなくて慢性に起ってくるのが特徴です。したがって、最初は症状がまったくなくて、数年あるいはそれ以上もの長い間眼圧が上昇したままだと視神経が損なわれて視野が狭くなったり視力が低下してはじめて気付くということが多いのです。
相談者の場合は、慢性緑内障にかかっているのだと思います。


予防的なレ−ザ−治療は効果がありますか?

慢性緑内障の治療についてですが、急性緑内障とちがって治療によってすっかり解放されることはないので、気を許すことなく根気よく治療していくことが大切です。
眼圧を20ミリ以下に常に下げた状態を維持するのが治療の目標です。

治療の方法には大きく三つあります。

まず眼圧を下げる点眼薬を使います。医師の説明どおり、一日に2回か3回、一種類か二種類の点眼薬を忘れることなくきちんきちんと点眼することです。

点眼薬だけでは十分に眼圧が下がらないときには内服薬も使うことがありますが、副作用があるので使うのは一時的にします。

点眼薬で眼圧がいつも20ミリ以下になっていれば問題はないのですが、それでも視神経が損なわれる心配がある時は、レーザー光線や手術によって房水の流れを改善してもっと眼圧を下げるようにするのです。

相談者の場合ですが、右眼はレーザー光線の治療と目薬で眼圧が20ミリ以下になっているようですから問題はないと思います。
ただし、眼圧が20ミリ以下に落ち着いていても、視神経がもともと弱い眼では視野が損なわれることがままありますから、視野の検査を定期的に受けられるのがよいでしょう。18ミリとか19ミリといった程度ではまだ心配で、もっと眼圧をさげたほうがよいこともあるからです。

左目のことですが、自覚症状がなくても、視野を精密に検査すると視神経の損 傷がすでにはじまっているのがわかることがあります。
視野が正常であればほとんど心配はいりませんが、すこしでも視野に異常がある場合は今後のことも考えて、眼圧を下げる点眼薬を工夫してもらうとか、場合によっては予防的にレーザー治療を受けることも必要になるのです。


服用できる痛み止めや風薬はありますか?

たいがいの風邪薬は緑内障でも使用してかまいません。医師と相談してみてください。


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