近視
こんにちは。私は目のことについて、疑問なことがあります。 是非、私の質問に答えて下さい。お願いします。

私は小学四年生のころから少し目が悪くなり始め、 今では勉強やテレビを見る時は、眼鏡をかけています。
一方、五年生のころから同じ塾へ行き、他の習い事では一つしかちがわなく、同じような生活をしている友達は目はとても良く、眼鏡をかけていないのがうらやましいです。

どうしてこんな差が生まれてくるのですか? 
また、目が悪くなると、もう元にはもどらないのですか?(私の目は左右どちらも0.1)。
くわしく教えてください。


目が悪くなる原因にはいろいろありますが、あなたの目が悪くなったのは近視のためだと思います。

近視がどういう目であるかを説明しましょう。名前のとおりに近くのものは良く見えるのですが、遠くのものは良く見えない目なのです。

カメラでもビデオでも記録したいものをフイルムに写しますね。僕たちの目もカメラと同じような仕組みになっていて、目の一番奥のところを眼底といって、そこには神経がたくさんつまったフイルムのように薄い膜がはっているのです。このフイルムに物が写 ることによって僕たちは物を見ているのです。

遠くの物がはっきりと見えるためには、眼底にきちんとした映像がうつることが大切なのです。ところが、近視の目では遠くの物は眼底よりも手前にピントがあってしまうので、肝心の眼底にはぼけた映像しかできないので良く見えないのです。
近くのものは眼底にきれいなピントが結ばれるので良く見えるというわけです。

近視で目が悪いといっても、視力が良くないのは遠くの物を見る時だけですね。
目の中に病気があって視力が悪くなった時には眼鏡をかけてもピントがうまくあわないことがあって困るのに、近視の時は眼鏡をかけると遠くの物のピントを眼底にあわせることができるのです。
近視にもいろいろ程度があるので、ピントが丁度眼底にあうような眼鏡をかけて視力を良くしようとしているのです。

ところで、私たちの目にそなわっているピントをあわせるはたらきを屈折といいますが、人間の目の屈折は正視か近視か遠視のどれかなのです。
この中で一番多いのは正視の目であって、遠くの物に自然にピントがあって良く見える目ということになります。
遠視も正視と同じように遠くの物にピントが良くあう目ですが、少し無理をしないといけない目なのです。

僕たち一人一人が少しずつ違う個性をもっていますね。人間だけでなく生き物に共通する特徴で、生物の多様性といいます。
たとえば、身長も体重も一人一人ちがいますね。ところで、なぜある人は近視になり、ある人はならないのかというのはなかなか難しいことで、それは身長や体重がどうしてちがうのかということと同じことなのです。近視になる原因は生まれつきの性質が大きいといわれていますが、育った環境や生き方も関係するかもしれませんね。身長だって昔の人よりも今の人のほうが大きいといわれていますし、近視になる人も増えたといわれていますから、生活の仕方も関係しているのかもしれません。

近視にならないようにしたいとか、近視をなおしてしまいたいとかということですが、身長が高くなりすぎないようにとか、伸びすぎたので低くしたいとか、考えたり望んだりする人はほとんどいないとおもうのですが、どうでしょうか?

ところで、近視というのは本当に悪い目なのでしょうか。決してそうではないのです。
まず、近くの物はとても良く見えるのです。無理をしないで楽々と近くが見えるのは近視が一番なのです。

もっと良いことは、年をとると誰でも老眼といって近くの物にピントが合わせにくくなりますね。ところが近視では年をとっても老眼鏡をかけなくてよいのです。

こうして近視の目にも良い点がたくさんあることを覚えておきたいものですね。

(南日本新聞 子供何でも質問箱 2000年3月)


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