鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 心臓血管・高血圧内科学

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Department of Cardiovascular Medicine and Hypertension, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Kagoshima University

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肺高血圧

肺高血圧症は現在でも機序不明な点が多い難病ですが、近年新しい治療薬や治療法が次々開発されています。肺高血圧症グループは右心系に病態の主体があるもの(左心不全由来を除く)に対し治療介入を行っています。その原因は膠原病やサルコイドーシスといった全身疾患や一部の血液疾患、肝臓疾患、肺疾患、肺動脈内血栓と様々なため、常に病状を総合的に診断し、必要に応じて他科と連携して治療にあたることも多い分野です。そのため内科領域の幅広い知識を身につけることができます。また病態把握にはカテーテル検査以外に心エコーによる評価が欠かせないため、心エコーによる診断力を培うことができます。

慢性的な肺動脈内の血栓により肺血管抵抗が上昇する慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症は、以前は肺動脈血栓内膜摘除術(PEA)という手術しか治療法がありませんでしたが、冠動脈のカテーテル治療を応用したバルーン肺動脈形成術(BPA)が2010年に日本で保険承認されました。複数回のカテーテル治療が必要になりますが、徐々に肺動脈圧が改善することで治療毎に自覚症状が改善し、最終的には肺動脈圧が正常域に到達する症例もおられます。当院は2011年からこのBPA治療を開始し、2012年4月から南九州で唯一の肺高血圧症専門外来を開設したこともあり、県内や近隣県からのご紹介を多くいただくようになっています。

このように肺血管拡張薬の適切な使用やBPA治療の普及により日本国内の肺高血圧症の予後は非常に改善しており、既存の欧米のデータと比較しても素晴らしい結果が報告されています。これは通常多くの疾患が欧米の大規模臨床試験の結果やガイドラインに基づき国内のデータが検討されていく経緯と異なっており、最近オールジャパンとしての国内データを海外に発信するための大規模な多施設共同レジストリも立ち上がり、当科も鹿児島の基幹病院として参加しています。

しかし治療がすすむ一方で病態機序についてはまだ不明な点も多く、国内外で盛んに研究が行われている分野でもあります。当科でも様々な臨床研究や他科との共同研究、遺伝子解析研究といった基礎研究を実施しています。

肺高血圧症は稀少疾患ですが、薬物治療やカテーテル治療の進歩により予後不良の難病から救命できる疾患になっています。循環器専門医としての知識や技術が循環動態の管理や治療に役立つのはもちろんですが、内科医としての診断力を身につけたい方、未解明の病態への興味があり、臨床だけでなく研究にもバランス良く取り組みたいと考えている方に是非勉強して欲しい分野です。