鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 心臓血管・高血圧内科学

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Department of Cardiovascular Medicine and Hypertension, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Kagoshima University

教育について

研修医の方へ:心臓血管・高血圧内科学の多彩な研修イメージ

心筋症

研修医の方へ:心筋症

心筋症は、これまで“原因不明の心筋疾患”と定義されていたが、心筋症の病因(肥大型心筋症や拡張型心筋症の遺伝子変異の同定など)が徐々に解明され、一部原因が判明したため、国や地域で心筋症の分類法は違いがあります。日本では、図1に示すように原発性心筋症と二次性心筋症に分類されます。原発性心筋症は、二次性心筋症を鑑別したのち診断されていきます。原発性心筋症としては、肥大型心筋症・拡張型心筋症・拘束型心筋症・不整脈原性右室心筋症があり、二次性心筋症としては虚血性心筋症・高血圧性心疾患・サルコイドーシス・アミロイドーシス・ファブリー病・心筋炎などが知られています。

このため、原発性心筋症や二次性心筋症の鑑別診断のために、原因不明の左室肥大(長年の高血圧歴(-)、大動脈弁狭窄症(-)など)や心機能低下症例が当科に紹介されます。研修医の先生には、こういった症例の二次性心筋症を中心に鑑別を勉強していただきます。鑑別のためには、採血・検尿・心電図・心エコーなどから疾患を絞っていく必要があります。また、検査所見だけではなく身体所見や家族歴、既往歴などが重要となることもあります。例えば、サルコイドーシスのぶどう膜炎や皮疹、アミロイドーシスでの手根管症候群や巨舌、ファブリー病での被角血管腫やX連鎖性遺伝の家族歴などがあげられます。心臓の検査に関しては、上記に挙げた非侵襲的な検査から行い、症例によっては、心不全評価のためのカテーテル検査や診断確定のために心筋生検なども行うことがあります。このように、心臓の検査だけでなく問診や身体所見などを総合的に診断することが学べます。

そして、診断が確定したら治療となります。心筋症では、心機能低下により心不全をきたすため、心不全グループとともに様々な心筋症による心不全治療を学んでいただきます。また、閉塞性肥大型心筋症では、左室流出路圧格差軽減のために、薬物治療(β遮断薬、Ca拮抗剤、抗不整脈薬など)、ペースメーカー治療、カテーテル治療(経皮的中隔心筋焼灼術)、外科的治療(中隔心筋切除術)などの選択方法を経験することができます。肥大型心筋症では、心電図やホルター心電図、肥大形式などで突然死のリスク評価を行っていただきます。

当科ではファブリー病の診療・研究に力を入れています。この疾患の鑑別が重要であるのは、ファブリー病は疾患特異的な治療法がある数少ない二次性心筋症だからです。ファブリー病の診断ですが、心エコー上の肥大形態からでは鑑別が困難であり(図2)、α-ガラクトシダーゼA酵素活性を調べるため採血を行い、α-ガラクトシダーゼA酵素の遺伝子に変異がないか当科で調べます。また、酵素が分解する基質の上昇や心筋生検でのファブリー病に特徴的な病理所見(図3)を確認し総合的に診断します。このような遺伝子解析などの経験も積むことが可能です。